廃プラスチック処理施設は分散配置で進む

◎ 初めに

 H13年8月10日、都市環境常任委員会が開かれて行政報告が行われた。廃プラスチックの処理施設建設が主要な議題であったため、議論の焦点と私の観点を記す。とりわけ、この廃プラ処理施設の建設は、過去3年にわたって、議会の大きな論点と議論されてきた課題であった。

● 目次

◎ これまでの経過と課題
◎ 主な論点
◎ 私の質疑結果と観点
◎ 今後の課題
◎ 資料:市が委員会資料として提出したもの

 
◎ これまでの経過と課題

1 廃プラスチックの分別と資源化への動き
 国の容器リサイクル法の導入により、プラスチック類の分別収集とその資源化が、町田市政でも課題となった。市では、一部地域でその分別収集を開始し、リサイクルセンターに集約してきた。さらに、その廃プラ類を市外に持ち出し、高温のゴミ焼却炉を持つ民間業者に焼却を委託してきた。(都市環境常任委員会の審議状況記事を参照して下さい)
 その有用な資源化方法として、これまで製鉄所の高炉で還元材として使用する方法が検討されてきた。

2 小山田のリサイクルセンターで集中処理の構想
 市では、焼却ゴミから廃プラ類を分別することで、リサイクルセンターのごみ焼却が減るので、その廃プラ処理施設を同じリサイクルセンターの施設内に造る計画を立ててきた。その計画では、廃プラ類を圧縮・結束する、いわゆる中間処理をするものであった。
 それに対して、そのリサイクルセンター施設の近隣住民からは、A プラスチック類の圧縮への不安や疑問、B リサイクルセンターがある小山田地区のみが市の中でゴミ処理をすることへの不満、等が寄せられた。

3 議会への請願と、議会の対応
 議会には、上記の2点の改善を求める請願がだされ、一方で市の当初計画を促進する請願が出された。議会全体では、市の当初計画を促進する立場が優勢であった。
 しかし、私などは、できるだけ住民不安を解消させる方法を検討するべきだとの考えで、請願賛成の立場で発言・行動した。付帯意見などがつくなどしたが、ともかく、市に見直しを求める請願は採択された。(この経過は、従来より、その都度記事にしてきた)

4 今回のPFI的方法による、分散処理施設発表
 その後も地元では、市の計画追行に批判的な運動が強まり、リサイクルセンター内に建設する工事費予算は全額削減されることになった。一方で、議会内では、当初計画の促進を求める意見もたびたび出されてきた。
 ここに来て、町田市は、民間の構想・経営を取り入れた廃プラ中間処理施設(プラスチック資源化施設)の建設を、南地区で建てていることと、そのプラン提出を求める業者公募を行う考えを、8月10日、都市環境常任委員会の席上で、行政報告した。

 
◎ 主な論点

1 PFI方式の導入
 町田市では、珍しくPFI的な方式の施設構想がでたため、委員より様々の質疑がでた。

1 入札は、どのようにされるのか
  ● 行政答弁
  一般競争入札で、誰でも参加できる方式で入札する。
2 費用・規模はどうか
  ● 行政答弁
  約1億円相当を考えている。建物は700-800平方メートル。土地は、ある程度必要になる。
  ◎ 議員質疑
   土地はどうなるか
    ● 行政答弁
     別途に考えている。業者が土地を入手する場合と、借り入れる場合がある。
3 PFIとした理由
   ● 行政答弁
    土地の空きスペースを利用する。
  ◎ 期間
   7年間を考える。
4 入札見込みはどうか
   ● 行政答弁
   業者からの打診はあった。
   9月の初めには、上記の方法による入札を考えている。
   公募委員が入札の落札者決定基準をきめる。入札者の提案書を受け、業者選定委員会で決める。
5 PFIはどのタイプのものをかんがえるか。
   ● 行政答弁
    全部を業者が行い、市はパートナーの関係で住民に責任を負う。
6 当初計画と分別方法・収集方法の違い
   ● 行政答弁
    現在の実験エリアのものと変わらない
   
2 これまでの構想との関係

 下段に吉田が行った質疑と、答弁内容を記載した。

◎ 私の質疑結果と観点

1 今回の計画は、南地区の所帯2万6千軒(人口7万人)と、その後の鶴川地区分をあわせると、町田市の3分の1の人口に相当する。とすると、小山田のリサイクルセンターの当初構想は減少させることができるのか。
  ● 行政答弁 
 可能と考える。

2 南地区、鶴川地区に処理施設を建設すると言うことは、分散処理を求めた請願に応えたと考えるか
  ● 行政答弁 
 応えたものと考える。

3 今回の建設計画地区は、順工業地区でマンション建設が著しいが、計画用地が入手できるのか、立地条件を狭くせずに、住宅地が少ない地域も入れたほうがよいのではないか。
    ● 行政答弁 
 その地域は、交通渋滞が激しく、計画には含めていない。
    ◎ 再質疑
 なおかつ、考慮すべきだと考える。

 あわせて、「委員会で視察した施設は、兵庫県内のものは稼動していなかったし、福山市のものは住宅地が近隣にない」と、私は説明した。


◎ 今後の課題
 
 私は、今回の市の計画は、議会の状況も反映したものと考えるが、全てに反対(運動)はつき物であり、この計画が順調に行くかどうかは、まだ判断できる段階ではない。ただし、町田市環境部が、分散配置という住民請願の意思をくんで構想したことであるので、計画実行は必要なことである。また、リサイクルセンターのものが、縮小して計画されたら、その近隣住民の不満の声は著しく減少すると考える。

 あわせて、このPFI的な構想による計画が進行すると、町田市の他の分野でも、今後の都市開発に適応可能なものとなってくる。モデルケースとしての意義もある。ことの実現性は重要課題である。
 

◎ 資料:市が委員会資料として提出したもの
                                                                         都市環境常任委員会資料 
 2001年8月10日
     
     南地区におけるプラスチック資源化施設の公募について

1 経 緯
  プラスチック分別収集のモデル実験を2年間実施し、収集事務所も完成している南地区において、資源化するための施設が確保できないか検討しておりましたが、新たな対 応として、民間資金を活用したPFI的な手法でプラスチックの資源化施設を企業から募集することといたしました。

2 募集方法
(1) 総合評価一般競争入札方式
 ○ 公募要領を策定し、事業者の募集を行います.
 ○ 事業者から提出された「提案書」について、選定委員会において、事業の実現性
   ・縦続性、費用、環境対策等を含めた施設の内容、道路状況等の施設の立地条件等
   を総合的に評価して、事業者を決定します.

3 資源化施設の槻要
(1) 設置場所
 ○ 南地区(横浜線以南)の準工業地域内            
                                                                          
(2) 施設の処理能力
 ○ 日量5トン未満

(3) 施設・設備
 ○ 収集された容器包装プラスチックの貯留ヤード
 ○ 破袋機、選別ライン、圧縮・結束機
 ○ 処理後のストックヤード

(4) 施設の稼働時期
 ○ 2002年初夏を予定