● 本会議で記名式投票を初めて実施
 (議員定数を36名に削減)

◎ 概要(議員定数削減問題の決着と、その投票方法)

 町田市議会は、議員定数を4名削減する条例を賛成多数で可決しました。採決あたって、初めて記名式投票を採用しました。厳しい議論と、議員・会派間で激しい攻防を繰り広げた議員提出議案でした。各議員にも様々な見解があるようなので、ここで状況を省みることにしました。大勢の議員が独自に自分のHPを持つ時代に相応しい、インターネット上の議論を展開したいと思います。
 すでに、議員定数の削減を求める請願は、昨年の3月議会で採択しています。その後、議会改革特別委員会で、「その人数を何人とするべきか」について審議を重ねました。途中で,議会事務局員の増員を求める請願(議員定数の大幅削減も盛り込まれていた)が提出され、委員会・本会議で不採択と」決めました。その請願の主張は、「議員と職員の区別を理解しない主張で、他の自治体にも例を見ない」考えであることを、私は委員会審議で明らかにしました。
 その後の、委員会審議では、議員削減数に関して様々の意見が出てきました。最終的に「4名削減」が多数意見となり、採決で「4名削減」が決まりました。
 賛成した委員は「定数を4名削減する条例案」を、「議員提出議案」として提出することになりました。議会全体では、「減員数」に様々な見解と意見があり、その後に「2名削減する条例案」も、削減反対派議員から出されました。
 議会審議に精通した議員が、<投票方法に、「記名式投票」と「無記名式投票」がある>ことを見出されたようで、両者の投票方式「要求」が出され、本会議決着となりました。ダイナミックなな動きとなったものです。是非、下段に記した詳細な経過をご覧ください。 
 今回の議員定数の削減が「議会と議員」に限ったことでなく、行政のスリム化に大きな影響を与えていかなければ、その意味がないことになります。真に求められるのは、行政の簡素化であらねばなりません。このことが出来たか出来ないかで、議会と議員の存在価値が決まります。
 <参考写真>は、下段をクリックしてください。

    記名投票を求めた「投票による表決要求書」
   本会議場の全景(傍聴席より撮影、議会事務局提供)

        上の段の写真は白票(可とする=賛成)青票(否とする=反対)を示している(モデルは、吉田本人です)
        下の段の写真は、投票の感じを示したもの。(当日は、緊迫した状況で記録写真は存在しない)

見出し

  * エピローグ
  1 投票にいたる経過
  2 議運の資料でびっくり
  3 会派は一致した行動と決定
  4 投票方法で、記名式投票をはじめて実施
  5 条例案(定数4名を減)を記名式投票で多数採決
 
* エピローグ

  町田市議会は、平成12年12月議会で、議員定数を4名削減し、36名にすることに決定しました。平成12年3月議会で、「定数削減の請願」採択に続き、次回改選期に36名に議員定数を削減することに決定したことになります。
 これまでの主な経過は、次の通りです。
  平成10年の最後の議会に、「議員定数を削減することを求めた請願」が提出されました。議会運営委員会の審議で、当時の「総務常任常任委員会」に付託されることになりました。
 当時の議会の主導権争いも絡んで、審議自体を特別委員会で行う方法で進んでいました。その議会改革特別委員会では、その請願対象となった「議員定数問題」だけでなく、議会全体の改革をテーマとして、審議することになりました。
  月に1度以上のペースで委員会を開催し、前記のように、平成12年3月議会で、その請願が多数で採択しました。吉田は委員会で賛成し、本会議でも賛成しました。理由は、「議会も民間の痛みを分かち合ってほしい」、「隗よりはじめるべきだ」と言う、主旨にそったものです。
 その後、具体的に定数の減員数について議論を進めてきました。突如として、「議会事務局員の増加を求めたタイトルの」請願が出てきました。実質は、議員を減らして、議会事務局にその仕事を肩代わりさせると言う考えです。私は、「議員が減っても、議会職員が増えるのでは意味ない」と主張しました。他に特に意見はなく、その請願は「非現実的」と委員会で不採択となり、本会議で不採択とした。(委員会審議の経過についての詳細は、前回記事をご覧ください)

1 投票にいたる経過

 議員定数の問題となると、議員個人にとって重大問題であるため、議員相互・会派内でも扱いが慎重です。委員会審議の過程でも明らかですが、1名会派は別として、少数会派でも減員数が提案に幅があったり、会派内の意見が異なったまま提案される会派もありました。我が自民党会派の場合(議員数が15名と跳びぬけて多く、正直に言いまして)は、意見調整が大変です。少数会派議員に申し訳ないことですが,全員集合するのも大変です。ましてや、1人でも議員が欠けたところで、「議員定数の問題」を議論するわけには行きません。
 議員間に、気持ちの「ずれ」が起きたら取り返しがつかないことも発生します。その間に、他の会派の動きが様々に展開されていたようです。自民党の場合は、あくまで慎重に判断することが特徴となります。自民党は「4名減員」の一致を前提に、「投票方式に関しては、最終日に判断しよう」と言うことにしました。私を含めて執行部は、イニシアチブを取るのでなく、模様眺めをしていました。(吉田の判断で、他の執行部役員の見解ではないのですが、・・・)

2 議運の資料でびっくり

 議会運営委員会に、<本会議の表決を、「記名式投票」と「無記名式投票」で行う、二つの要求が出た>との説明がありました。4名以上の議員から、そうした要求があれば、本気議で無記名投票を行う規則になっているとのことでした。(議会議事録を読むと分かるはずですが、普段のレベルでは問題にもなりませんでした)
 「無記名式投票」は、「社民・民主・ネット会派」の単独で出たものです。もう一方の「記名式投票」は、多数の議員が名を連ねていました。その提案者名にびっくりです。態度を決めていないはずの、我が自民党議員の署名も含まれていました。議会運営委員会の中で質問をする訳にはいかず、後で確認することにしました。「何かの間違いであろう」、と考えました。
 
3 「会派は一致した行動」と決定

 大半の議案は、会派一致で対応します。自民党に限らず、大半の会派はそのように行っているようです。いくつかの問題では、会派一致とせず、賛否自由とします。(過去の例については、毎議会の議案の態度で、詳しくその賛否と特徴的な見解を書いています)
 上記のように、自民党は「4名減員」の一致を前提に、「投票方式に関しては、最終日に判断しよう」としていました。議会運営委員会後の打ち合わせで、喧喧諤諤の状況となりました。12月20日段階で、「記名式投票」を要求する署名を提出されていた自民党会派議員は、自発的に署名を削除されました。(以下の記事を含めて、写真編の「記録した写真資料」をご参照してください)
 最終的に自民党は、執行部役員が「記名式投票」要求に署名をすることになりました。一度自分の氏名を削除した議員の内、一名も再度署名をされました。

4 投票方法で、記名式投票をはじめて実施

 本会議の表決で、記名投票を採用することになりました。経過は、次のとおりでした。まず、無記名投票で「条例案採決の無記名投票」要求の投票を行いました。演壇の上に置いた投票箱に、(議長選挙の方式で)投票用紙を用いた投票を行いました。結果は、賛成少数で退けられました。同様に「条例案採決の無記名投票」を賛成多数で決めました。長老議員・事務局の話では「記名投票」の前例が無く、町田市議会史上初めてのことだと言うことでした。この市議会の模様を「TV放映」していれば、市民に高い視聴率を得たことでしょう。
  記名式の投票では、白票(可とする=賛成)青票(否とする=反対)を用います。この審議過程を記録したビデオや写真は存在せず、参考にするための目的で、吉田がモデルとなったその参考写真を準備しました。見出しの下のところから、リンクしています。
 投票では、議長を除いた全議員が投票しました。
 ○ 自分が投票する、白票(可とする=賛成)青票(否とする=反対)かのいずれかを高く掲げるタイプ
 ○ どちらを入れるか、分かりにくく投票するタイプ
 ○ 淡々と投票するタイプ
   それぞれに投票しましたが、吉田は特別のパフォーマンスをせず、淡々と投票しました。
   最終的には、議事碌にも賛否の氏名が記録されます。
   その後、「議会便り」の発行に関して、審議の詳細や、会派名や議員名を賛否ごとに、掲載するべきだと言う意見が、議会運営委員会の編集を決める会議で審議されました。1時間以上の審議で、「二つの議案の内容と、記名投票に至る経過、賛否が議員ごとに記名すること」を決めました。その調整案は、吉田が出したものです。どちらかと言えば、吉田は、自己の意見に固持するタイプですが、今回は珍しいことでした。自分でも,不思議なことです。

5 条例案(定数4名を減)を記名式投票で多数採決

 議員提出議案第31号 町田市議会議員定数条例の一部を改正する条例は、小宮議員他の提案(吉田も提案者の1人)したものですが、議員提出議案第32号 町田市議会議員定数条例の一部を改正する条例 谷沢議員などの提案したもの、両者に質疑が浴びせられました。それぞれ、提出した議員の筆頭者が答弁しました。賛成多数となった「31号議案」の筆頭提出者である小宮議員さん、ご苦労様でした。
 採決は、現状に遠い案(40名を36名に減員する)を先に行いました。現議員数39名(1名欠員)で、議長を除く全員が投票しました。結果は賛成27票、反対11票でした。結果的に、32号議案の採決はなくなりました。
 そうした結果、定数36名と決まりました。次期の改選から適用されます。(2001年1月31日)