決算特別委員会議案審査報告書について

<前置きと総括>
 決算委員会は、町田市の場合、審議の際に総員合意のものがその報告対象となります。わたしは自分が決算委員を務めたとき、自分なりにユニークな意見を何回となく提言しましたが、全体の合意を得ることがなかなか困難でした。その当時の決算委員会は、自分の意見でもっとも印象に残るのは、「国民健康保険審査会委員」の委員報酬を、年間の定額制から委員会の出席回数に変更を提案しました。その翌年から、実施することになり、それまで一人で年間報酬10万円以上になっていたもので、その後は開催しない時は支払い報酬がゼロとなりました。

 決算特別委員会報告では、まず、経常収支比率に注目しています。報告で、「財政構造における、経常収支比率は80%を超えると弾力性を失い始めるとされていますが、前年度に比べ 2.0ポイント低下して82.8%となっている」と記しています。続けて、財政力指数では、「前年度より0.039 低下して 1.108 となり弱体化傾向にある」としています。
  一般会計の歳入決算では、総額を1,184 億4,964 万円を示し、前年度に比べ99億3,224 万円 の減少となっていることを問題として指摘している。。また、市税収入が54.5%を占めていることには、景気低迷により個人市民税の減少や、固定資産税評価替による減少や、都市計画税率の引き下げなどを指摘し、前年度比においては 2.1 %減となり3年連続の減少に注目している。
また、歳出の決算では、総額1,142 億1,097 万円を示し、前年度に比べ98億7,954 万円減少していると指摘した。
 一方、特別会計では、一般会計から104 億2,139 万円の繰入金により、収支の均衡を維持している状況であることを明らかにした。
(全容は、報告書本文を参照)

<報告書本文>
1.認定第2号 平成12年度(2000年度)町田市一般会計各特別会計決算認定について

本委員会は、11月6 日付託された上記議案審査の結果、下記の意見を付して認定すべきものと決定したから報告する。



意見
平成12年度(2000年度)一般会計及び各特別会計決算は、歳入総額1,958 億3,815 万円 に対し、歳出総額1,892 億3,355 万円で形式収支は66億460 万円の黒字となり、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実質収支においても59億9,339 万円の黒字となっ ている。
財政構造における、経常収支比率は80%を超えると弾力性を失い始めるとされているが、前年度に比べ 2.0ポイント低下して82.8%となっている。
さらに、財政力の強弱を判断する財政力指数では、前年度より0.039 低下して 1.108 となり弱体化傾向にあるといえる。
一般会計の歳入決算総額は、1,184 億4,964 万円で、前年度に比べ99億3,224 万円 の減少となっている。
このうち、市税収入は54.5%を占めているが、景気低迷により個人市民税の減少、固定資産税評価替による減少、都市計画税率の引き下げなどで、前年度比においては 2.1 %減となり3年連続の減少である。
加えて、国庫支出金が、介護保険円滑導入臨時特例交付金、少子化対策臨時特例交付金、地域振興券交付事業費補助金の皆減により37億円減少している。
また、歳出の決算総額は、1,142 億1,097 万円で、前年度に比べ98億7,954 万円減少している。
一方、特別会計の国民健康保険事業会計、下水道事業会計、忠生土地区画整理事業会計、駐車場事業会計、老人保健医療事業会計、鶴川駅北土地区画整理事業会計、介護保険事業会計にあっては、一般会計から104 億2,139 万円の繰入金により、収支の均衡を維持している状況である。
市税の収納率は、前年に比べて0.5 ポイント上昇したものの、50億6,149 万円に上る収入未済額があり、また不納欠損額は前年度比54.1%増大するなど税財源の安定確保には、極めて厳しい傾向がある。
このため、税負担の公平性を堅持しつつ、なお一層の努力に期待するものである。


歳出においては、予算現額に対する執行率は96.6%となっているが、31億408 万円もの多額な不用額を生じさせている。さらに、その不用額を財源と見受けられる安易な流用が常態化されている。
今後は、都市計画道路、公共下水道などの都市基盤整備をはじめ、高齢社会及び少子化に対応する施策の充実、環境対策、保健医療、市民文化事業の推進など、回避することのできない事業が目白押しである。
よって、予算は効率的かつ有効に執行するよう適切な執行管理の徹底を図り、限られた財源を効果的、重点的に配分するべきである。現下の極めて厳しい財政状況の中、特に財政運営に当たっては、充分な配慮を持って運営されるよう、強く求めるものである。
また、今後は費用対効果及び真に市民にとって必要であるか等の事業評価をすべきである。
さらに、行財政改革を進め市民の行政需要に応えられるよう、可能な限り行政の簡素化と経費の節減に努め、緻密な計画に基づいた強固な財政基盤の確立を求めるものである。
なお、当該年度決算の結果を翌年度当初予算に反映できるよう、決算認定議案提出時期を遅くとも9月に提案されるよう強く求めるものである。
このため、財務会計システムの早期導入を図り、監査事務の簡素化を図るとともに財務会計システム導入までの間、専門知識を有する者を雇用し、監査事務の補助をする方法を検討されたい。
次の諸点については、委員会審査の際に指摘したところであるが、今後の予算編成及びその執行に当たり特に留意されたい。


1.一 般 会 計

(歳 入)
(1 ) 各種負担金については、公平の観点からも収納率の向上を図るよう努力され たい。

(歳 出)
1 総 括
(1 ) 委託契約において、前年度の業務内容の検証が行われず、積算根拠が不透明
なものがあり改善を求める。
(2 ) 契約行為については、経済状況も考察して、最低価格を率と額とを併用して、弾力的に運用されたい。また、指名に際しては、検査結果の評価を多用すべき ではない。
(3 ) 東京都農業信用基金協会出資金をはじめ17機関に出資金を計上しているが、活用状況がつかめていないので調査されたい。
(4 ) 市民窓口業務の品質管理にISO9000シリーズの導入を図り、サービスの向上に努められたい。
(5 ) ISO14001環境管理システムの導入を鶴見川クリーンセンター以外の施設でも導入されたい。

2 総務費
(1 ) 審議会等の開催日時の案内については、「広報まちだ」やホームぺージ等を利用し、さらなる充実を図られたい。
(2 ) 未使用用地の公有財産(普通財産)が相当数あるため、可能な限り活用や処分を検討されたい。
(3 ) 庁舎を初め公共施設については、太陽光発電施設等を設置し、光熱費節減と環境対策を推進されたい。
(4 ) 男女平等推進センターの相談事業の充実と多目的実習室の利用促進を図られたい。
(5 ) 各種積立金はそれぞれの積立目標額を設定して、健全なる財政運営を図られたい。
(6 ) 行政評価システムの導入に当たっては、政策・施策の評価がより重要となる。 財務諸表の作成もあわせ、十分なる検討をされたい。
(7 ) 管理職試験について、受験率を高める努力をされたい。
(8 ) 任用制度については、筆記試験重視の見直し、自己評価の導入、受験年数の引き下げ等をあわせて、検討されたい。
(9 ) 相模原市との間で実施している人事交流事業は、都内各区市、東京都、国及び民間企業とも行うよう努められたい。
(10) 市民フォーラム内保育室の利用率の向上を図られたい。
(11) すずかけ会館の1階部分については、地元との協議を早期に図り、有効活用できるよう努力されたい。
(12) 電算化の推進に伴い、システム開発等の予算対応については、綿密な精査をされたい。
(13) NPO支援について、積極的に行うべきだが、補助金、委託金等の事業審査は厳正に行われたい。
(14) 投票率が上位の投票所について、要因を分析し、投票率向上のための方策に活用されたい。

3 民生費
(1 ) 高齢者生活支援型サービスについては、該当基準を明確にし、サービス受給者の実態を把握し、介護保険の認定審査を定期的に受けられるよう配慮されたい。
(2 ) 高齢者の施設入所待機者数が多いが、今後、民間の介護保険適用老人ホーム等の導入を積極的に図られたい。
(3 ) 障害者施設においては、利用者が希望する施設に入所できるよう、対応を図られたい。
(4 ) 通所療育施設「わさびだ療育園」での入浴やリハビリ等、さらに利用拡大が図られるよう努力されたい。
(5 ) 保育園待機児童解消のため、保育施設の整備等、施策のさらなる充実を図られたい。
(6 ) 不登校やひきこもり等、子どもへの家庭訪問を行う相談事業の充実に努められたい。
(7 ) 国民健康保険事業を精査し、一般会計からの繰出金については、市民の理解 を求めるべく対応されたい。

4 衛生費
(1 ) 環境計画の推進に当たっては、庁内の各部署への周知徹底を図り、積極的に取り組まれたい。
(2 ) 環境保全課は広範囲に事業展開しているので、組織の見直しを検討されたい。

5農林費
(1 ) 学校給食への地場農産物の供給を促進されたい。
(2 ) 都市農業の振興のために、施策の充実をより一層図られたい。

6商工費
(1 ) 小山・相原土地区画整理地内の企業団地の誘致を積極的に図られたい。

7土木費
(1 ) 生産緑地追加申請認可基準については、農業振興のみならず都市空間における緑の確保としても検討されたい。
(2 ) 市民バス運行事業については、利用増進を図るよう努力されたい。
(3 ) 野津田公園内の小野路屋敷については利用率が上がるよう努力されたい。

8教育費
(1 ) 小・中学生を対象としたスポーツクラブの実態を把握するとともに、支援策 を充実されたい。
(2 ) 増加する不登校の児童・生徒に対応出来るよう、心の相談員やスクールカウンセラー体制の充実を図られたい。
(3 ) 学校の部活指導に当たっては、教員の人員配置や外部指導者の活用を図られ たい。
(4 ) 自然休暇村(川上村)の委託料については、人件費他委託費を精査し、経費の節減に努められたい。
(5 ) 大地沢青少年センター宿泊棟の利用率を高めるよう、一層努力されたい。
(6 ) スポーツ大会出場祝金については、格差をなくすよう要綱の見直しを図られたい。
(7 ) 施設管理公社を法人化し、業務委託の見直しを図られたい。
(8 ) 学校の余裕教室をさらに地域開放できるよう努力されたい。
(9 ) 総合体育館・室内プール等において、トレーニングルームの公開指導ができるよう努力されたい。


2.特 別 会 計

1.下水道事業会計
(1 ) 下水道事業計画が策定されていない地域については、早期に計画を策定され たい。

平成13年(2001年)11月19日

決算特別委員長 藤田 学

議長 中里猪一様