市営保育所の委託先決定に関しての抗争

<前置き>

 この3月議会で、市長が提案した条例案を本会議で否決しました。私が議員になって9年目を迎えましたが、そうした事態は初めてのことであり、当選4期生に聞いてもその事例はなかったようです。ずっと以前に、「職員の特別勤務手当支給」で否決された例があるようですが、それ以来の事態であるようです。

 「まちだ新世紀」会派所属議員(以下、会派)が一致して反対したのが、本会議の採決で否決となる大きな理由でした。その反対理由の最大のものは、「本条例は行政改革の一環としての民間委託ないし民営化の方向に無い」との判断によるものでした。
 発言は、藤田学議員でした。その発言の全文は、本人のHPをご覧下さい。
 この議案採決結果の詳細では、「まちだ新世紀」の全員と、「共産党」は全部を市立でと言う見地から反対し、一部「市民派」所属議員も反対しました。その結果、市が提出したこの30号議案は、委員会では可決(所属会派の議員数の関係)したが、本会議で逆転否決となる事態となりました。

<経過>

 そういう事態の中で、この保育園は4月を向かえることになり、そこで働く人は、市の臨時職員と言う扱いで運営される事態になった。行政担当者は、この議案が否決される前後から、議会フロア―に現れることになり、事態の収束を図っていた。
 一方で、その保育園では、家族の皆さんが心配しているとの情報も伝わってきたため、事態をそのまま放置してよいのかという考えもあり得たが、会派では「市の対応の変更」が絶対的な条件である!という立場をくづしませんでした。
 その後は、いわゆる水面下の動き、と言うことになる。とにかく、この事態を解消する方針が、行政から出たようであり、頻繁に「条件提示」の話が流されてきた。しかし、会派としては、議会の中で(特に委員会を開催して、そこで市が明白な方針を示す)決着をつける以外に無いという、一貫した方針をとりました。

<臨時議会の開催>

 町田市は、4月30日に本会議を招集し、この保育所運営を新設の社会福祉法人に委託するという条例を、第58号議案として、再提案することを明らかにしました。もとより、本会議の招集権は市長にあり、退ける理由はない。再び否決するか、委員会を開催して、市の中長期的な方針を変更させるか、この選択となりました。

<賛成に転換>
 
 4月30日の議会では、幾人もの議員が本会議で質疑した。まちだ新世紀では、もとより委員会審査の方針であったため、本会議の質疑は行いませんでした。「市民派」所属の議員が多数質疑を行っているので、その経過と詳細は、それぞれをご覧いただきたい。質疑した議員名。新井議員、大西議員、井上議員。

 委員会では、斉藤稔議員、若林章喜議員が発言しました。斉藤議員が委員会で賛成討論。主要な、解明点と、改善点は、委託先の「町田市福祉サービス協会」の業務を限定させてことにより、天下り組織として、第三の管理公社化を防ぎました。また、天下った理事の人員を整理させることを認めさせました。
 さらに、一部その方向がでていたが、今後の保育園開設では、早期にその主旨を広報し、幅広く運営に希望者が参加できることを条件付けました。(14年5月6日、欠落文字を一文字追加)

<本会議で賛成の討論を行い、全員が賛成>

 結果、「まちだ新世紀」会派は、今回に臨時議会において、市が提出した第58号議案に、全員が賛成しました。本会議に賛成にあたっては、会派代表の大塚信彰議員が賛成討論を行いました。
<以下、発言の全文>
まちだ新世紀を代表し第三十号議案に対して賛成の立場から討論を行ないます。
本案については第一回定例議会に上程されたものと同一の内容であります。その際、我々は、「本条例は行政改革の一環としての民間委託ないし民営化の方向に無い」との判断をし、反対の態度表明をいたしました。そして、今臨時議会に再度上程される事となり、改めて慎重な委員会審査を行ないました。その結果、「町田市福祉サービス協会」の設立にあたっての経緯が明らかになり、組織の役員構成の変更や今後の委託にあたっては早期に広く保育行政に携わる対象者に周知していくこと等、新たな提案が質疑を通して明らかになりました。以上のことから本条例に賛成するものであります。なお、今後も行政運営に対して、我が会派は行政改革推進の立場で提案される議案に対して臨んでいくことを申し述べて、賛成討論といたします。

<補足説明>

 この問題となった条例案は、「30号議案」と言い、町田市立の保育園を新設の社会福祉法人に委託するというものです。その結果、8園あった市立保育園は、7園になることになっていました。

 そもそもそうした事態は、次の理由によります。町田市で、昨年発生した児童の家庭内における虐待問題に端を発して、町田市は「子ども家庭支援センター」を作る事になりました。この主旨には、誰しも賛成で、この条例<子ども家庭支援センター条例条例>の議案には、全員が賛成しています。最も、「採決議案の結果と私の態度」に記したように、そこの開設時間が極めて限定されていることには、議員に不評でした。

 さて、その「子ども家庭支援センター」を開設するにあったて、この問題となった、若葉保育園の人員でもって、この施設の運営に当たることになりました。行政説明では、市の職員を増加させないためということになります。一方で、職員の減員もせず、他の市立保育園には手をつけない方向の文書を組合に示し、いち早く説明していました。この事態は、公明党に川畑一隆議員が、3月議会で明らかにしたものです。
 さらに、町田市では、この社会福祉法人開設の準備を着々と進め、この3月に退職する担当の部長が、そこの理事となって、業務にあたることにしていました。そのことが、議会で発覚したことも、議員の反発を強めるものでした。

*吉田の出番は、今回ほとんどありませんでした。しいていえば、3月26日の本会議、反対している「まちだ新世紀」会派を賛成に廻らせようとする行政幹部の動きを封じるため、「直ちに、本会議開催」の方針を、各会派に伝えに廻ったことくらいでした。(こうした動きの最中に、議運委員長として会議開催を行い、時間切れとしました)