住民基本台帳ネットワークシステム稼動の
延期を求める意見書は多数可決

<前置き>

 この意見書は、町田市議会6月定例会で可決した意見書です。社民・ネットから提出されたものです。「まちだ新世紀」会派では、態度検討の結果、それぞれ議員の自由判断としました。
 平成14年6月28日の本会議採決では、会派議員の約半数がこの意見書に賛成しました。公明党は反対しましたが、まちだ新世紀会派の半数議員の賛成で、全体として7割を上回る議員がこの意見書の賛成することになりました。

 その後、国会の中でも自民党議員の域人もが、慎重審議、内容修正を求める意見が出てきました。7月14日現在、国会審議は最終局面に至っています。

 考えられる主な問題点は、次の内容です。

1 地方自治体の中で今だ十分に準備が完了しておらず、間に合わない可能性がある。
2 全自治体でのセキュリティーが、万全には確保されていない。
3 個人情報保護の観点で、プライバシーの確保される条件がそろっていない。 

 以下、国に送った町田市議会の意見書全文を下記に掲載します。(ただし、OCR読み込みした文章です)

<意見書全文>
住民基本台帳ネットワークシステム稼動の延期を求める意見書

 住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)は、平成11年8月、住
民基本台帳法の改正により成立、本年8月5日から施行される予定になっています。しかし、この住茎ネット稼働に際しては、いくつかの課題か解消されなければなりません。

 その一つは、住基ネットの運用方法を規定する「住民基本台帳事務処理要綱」の改正について総務省は「地方自治体に案を示し地方自治体の意見を聞いて改正する。」と述へてきました。

 しかし未だに案が示されていない状態で、これでは会国3300余の市区町村力理解し、納得でさる要綱の改正が、住基ネット施行白に間に合うとは考えられません。さらに、指定情報処理機関である地方自治情報センターも、本年4月になってから「既存住基ネットには追加修正が必要」としながらも、具体的内容と、そのスケジュールを明らかにしていない状況です。

 二つ目の課題は、セキュリティーの問題です。当該地方公共団体住民の個人情報を守る責務は、地方自治体が有しており、各自治体が住基ネットのセキュリティー対策権限を持つ必要があります。そして、住基ネット全体のセキュリティーが高い水準で維持されていることか保障されなければなりません。万一、どこかの自治体でセキュリティーの水準が低いと、そこから全国民の同人データ―が漏えいする危険性があります。従って、住基ネットを稼動するのに先立って、すへての自治体においてセキュリティーが高い水準で保たれるための人的・物質的準備か必要であり、また客観的に検証されるべきです。

 三つ自の課題は、最も重要な「プライバシー保護」の問題です。上記、住民基本台帳法改正当時から、住基ネットに関連して、プライバシー侵害の発生が危惧されており、十分な個人情報保護対策がなされることが、政府によって確約されていました。ここにいう個人情報保護対策とは、具体的には「民間事業者ならびに行政機関が保有する個人情報保護に関する法律の制定ですが、いずれも未だに成立していません。現在、国会で審議されている行政情報保護法案は、OECD8原則を踏まえて制定した地方自治体の個人情報保護条例に比へて、収集制限か緩やかであることや利用目的変更・目的外利用・他機関への提供など、行政機関の都合を優先しているなどの点において、個人情報保護が極めて不十分であり、法案の一部修正が必要と考えます。                               、
 これらの諸課題が解消されないうちに、現行住基ネットを稼働することは、国民や地方自治体に大きなリスクを背負わせるものと思慮します。 
              ̄
 よって、町田市議会は、本年8月5日の住民基本台帳ネットワークシステム稼働の延期を求めるものです。

 以上、地方自治法第99条の規定に茎つさ、意見書を提出します。