● 市民センターの有料化反対請願の最終決着、及び私(委員長)の裁決で不採択

◎ この記事の要約(私が出した不採択の判断と結論)

 私が1年以上にわたって審議を続けてきた、「市民センターの有料化反対に関する請願」を12月議会の委員会で、ようやく結論を出すに至りました。結論は、請願を不採択すべきとしました。

 当日の委員会メンバーが、委員長である私を除いて合計8名となり、採決では可否同数となり、委員長裁決の結果、不採択(請願の目的である有料化反対に賛成しない)すべきものと裁決いたしました。

 もちろん、請願を不採択とすることは、施設の有料化を「是」とすることであり、一定の皆さんの反発は覚悟するところです。なお、12月21日に開催された最終本会議においても、この請願は多数決で不採択と決まりました。

 請願を退ける理由は、次の通りです。地域の市民センターを利用する人と利用しない人との不公平を無くす事が第1です。そのため、水光熱費等の維持管理費は、会議室の利用者が、いくらか負担すべきだと考えたためです。

 

◎ 見出し

  1 従来のあり方

  2 問題点の所在と行政の動向

  3 委員会での結論に至る経過(継続審査の繰り返し)

  4 私の判断(請願の不採択)と、今後の展望

  5 市民ホール集会室や、市民フォーラムの会議室との関係

 

1 従来のあり方

  ○ 市民センターの配置状況

 町田市は、市内の数カ所に市民センターと称する、市の出先機関を配置しており、そこには貸し出しようのホールや集会室も併設しています。行政の出先機関を置いた箇所として、南センター、成瀬駅前センター、忠生センター、鶴川センター、小山センター、堺センター等があります。他に、極小規模の小規模の出先機関を配置した玉川学園文化センターのような施設もあります。また、市の出先機関を置いていない成瀬センターやつくし野センター等のように、集会室やホールの貸出のみを行っている施設もあります。

 ○ 市民センターの集会室の利用状況

 ホールを除いて、集会室は、今まで誰が利用しても全て無料で利用されて来ました。地域の様々の団体や、サークルにも大変人気の高い施設で、実際には、部屋の申込のため、2ヶ月前にそのシミンセンターに出向くことが必要となっています。申込は、2ヶ月前からの予約が開始され、複数の申込がでると、その場で抽選ということもありました。そこで大半の施設では、1ヶ月前までには満杯となり、誰かが急に思い立って会議室を使用したいと思っても、実際に部屋を利用したくとも無理なことが普通の状態となっています。とくに、誰でも借りれる手軽さで、様々の団体やサークルの会合、あるいはお稽古ごとの定例会等に使用されてきました。特定の団体やグループが貸出の多くを占めていることは、市民センターの貸出看板の名称を見ても明らかです。

 ○ 他の集会室などは、どのように利用されているか

 地域には、それぞれの自治会や町内会が有り、それらの団体の中には集会所や会館を持つものがあります。その運営費はそれぞれの団体が担っており、特定の人や団体に貸し出す際は、一定の使用料を徴収するのが普通です。特に、中規模会館と言われる施設では、専任者を置くものもあり、貸出は当然のごとく有料です。周辺に市民センターが有る地区では、隣接する中規模会館とのバランスが取れないで困っているところもあるくらいです。

2 問題点の所在と行政の動向

 町田市では、行財政の改革という観点で、従来からの諸制度の見直しを図ってきています。このような地域拠点に「市民センター」を建設し、住民票・戸籍などの発給、市民税などの受け取りを行っています。合わせて、施設内に貸し出しようのホールや集会室を併設し、ホールを除いて一般に無料で貸し出ししています。市民には大変好評で、大半の施設が100%近い利用状況を示しています。

 そのための申込手続きが大変で、2ヶ月前に受付とされており、集会室を使用するものは、2ヶ月前に予定を立てた上で、申込日の期日の朝、市民センターに出向く必要があるわけです。そのために実際に利用する人は、特定の団体やグループの人たちが主体となり、気軽に借りると言っても、誰もが公平に借りているとは言えない状況です。地域センターと言いながら、結果的には、遠くの人も含めた特定のグループや団体の人たちのみが、無料で市民サービスを受け続けているとも言える状況となっています。

 特定の団体ごとに、利用の回数制限を行うことが可能ですが、同じようなグループ名で登録することは制限できず、不特定多数の人たちにフリーに貸し出す困難さが生じています。

 最終的には、利用者に一定の負担をしていただき、利用しない人たちとの関係で、公平さを保つ方法しかないと考えられてきました。

3 委員会での結論に至る経過(継続審査の繰り返し)

 当初から、市民センター集会室を利用する際の使用料負担の問題は、意見の一致を見ることが難しかろうと思っていました。だれしも、負担無しで済ませることができるのであれば、負担したくないのは当然のことであり、ここの事情を考えると、「有料化は当然」とする見解が妥当だとしても、市民センターの前で、その主旨を書いたビラを配る議員はいるか、あるいは、「宣伝カーで無料の扱いは不当だ」と唱えるかというと、それも率先してやる議員がいるかと言えば、それもまた困難なことであります。

 議員の立場では、利用者の皆さんから、全員でなくとも「有料化反対」の声を聞くと、行政の判断がでる前に「有料化推進」の声を上げることは、とても勇気がいることです。委員会の審議で重ねる中で、今回は「表決」という直前に、委員より「継続審査」の提案があり、全員一致であったり、多数決であったりして、延び延びの結論となりました。

 1年間以上も審議期間を必要としました。新しい事態が発生したというわけでなく、これからの公共施設のあり方を問う問題であったからこそ、このように審議期間と時間を要したのでしょう。もうじき3月には委員会の構成が替わる時期に当たるため、メンバーが入れ替えになります。ましてや今回は、所管する委員会の部門も変更となり、委員会の名称も変更となります。私に限らず、委員の皆さんも今回が最終決着の時期との思いが強かったと考えています。

 委員会では、賛否が同数であったため、委員長裁決で請願不採択の結論を出し、最終本会議でも多数で不採択となりました。いつものことですが、これで行政は、「議会で決められたことですので、有料化することになりました」と関係者に説明して廻ります。立派な施設を作る時は行政が造ったと言いますが、住民負担の決定は議会の専売特許のように取り扱われます。建設予算も議会で審議をするのですが、いかにせん、行政の皆さんにかかると、不都合は議会の担当とされる次第です。  

4 私の判断(請願の不採択)と、今後の展望

 自分事で悪いのですが、今回に結論がでずに、3月議会の委員会改選まで持ち越すと、「総務委員長の運営がまずい」という、議会での風評も気になります。それ以上に、自分自身として、「結論を延び延びにさせることは、請願者に失礼だろう」、との思いがありました。

 もちろん、請願者の願いは請願が採択されるですが、この結論を出すのは所管の委員会であり、最終的には本会議の採決となります。1年以上の審査をしてきたわけですから、時間としては十分です。あとは、「有料化という判断のリスクを、議員が行政に先んじて被ることはない」とする委員の深層心理が継続審査の継続事態につながっていました。

 委員の皆さんの協力を得て、平成11年12月    日、大勢の請願者の皆さんが見守る中で、ようやく結論を出すことになりました。

 やもうえない事情で、1名の委員が出席しない状況にありました。その日に審査を終了することは、委員会全体の雰囲気でありましたので、この後採決をする方向に向かうかどうかを皆さんに図りました。委員全員の同意を得て、討論に移りました。討論では、2名の議員が請願賛成の立場で発言し、反対の立場の委員は、改めて意見を述べることをしませんでした。

 討論終結後、採決の結果、4名の賛成者という結果で、委員長を除く委員の出席は8名であり、可否同数となりました。私が総務委員長に就任して初めての事態でありましたが、規則により、委員長裁決で、不採択すべきものと裁決致しました。

 委員長の判断の重みを実感しました。委員会の委員数を偶数とし、通常で可否同数という事態をさけるようにしているのでしょう。特殊事情で、委員長裁決という事態になったわけです。

 最終日の委員長報告では、この請願審査の審査経過の報告には特に気を入れていました。また、可否同数であったことと、委員長の判断で不採択にしたことの「くだり」では、演壇で特に大きな声を出しました。中途半端に言いたくなかったためでした。請願者の皆さんには、「総務委員長は、非情な人物だ」とうつったことでしょう。これも、やもう得ないことであります。いい人では、役職はつとまらないのではないでしょうか。

5 市民ホール集会室や、市民フォーラムの会議室との関係

 この項は補足的な意味で設定しました。市民ホールには、大ホール以外に集会室が4室ありますが、この集会室は全室有料です。大ホールは誰でも興行的なことであっても使用できますが、集会室の場合は、営利的なものは出来ないことになっています。もちろん、会場費などのために会費を徴収することは制限されていません。

 新しい施設として「市民フォーラム」が完成して、市民活動事業がその施設を中心としてスタートしました。また、新しく、会議室などの貸出が始まりました。従来の消費者センターの会議室は、だれでも無料で貸し出されていました。もちろん、関係団体の優先利用措置がありましたが、とにかく無料でした。新しい施設では、消費者センターの運営協議会に関係する団体などや、男女平等推進センターの参加団体、町田市ボランティアセンターの構成団体などが、会議室を利用するのは無料ですが、他の一般の団体がそれを利用する場合に有料とされています。そのことは、前議会の委員会で審議し、本会議で賛成多数で裁決され、条例が制定されています。

 市民センターを有料化する場合、古い施設では改修措置がとられそうです。また、成瀬センターのように、利用者の運営委員会が貸出業務を行っている施設はどうなるかについては、この請願審査の対象とは違った要素がある可能性があります。さて行政は、この請願不採択の結果に対して、どのようにたいおうするでしょうか。  

「市民センターの有料化反対請願の最終決着、及び私(委員長)の裁決で不採択」に関する記事は、この行で終わります。