三位一体改革意見書と動議提出
(03/07/13)
<前書き>
町田市議会2003年6月議会において、国の税制の三位一体改革問題において、自治体側からの主張を、提起しようとして本会議に提出し、うちの会派などが提出した議案が、採決で多数を得て、成立しました。
下記には、その内容の趣旨と、経過の概略を記しました。
<記事の一覧>
1. 三位一体改革意見書と動議提出
2. 会議の進行と運営
3. 会議の進行と運営 2
4. 会議の進行と運営 3
5. 地方交付税の考え
6. 地方交付税の考え(続)
7. 動議の採決と議案の採決
1. 三位一体改革意見書と動議提出
税制の三位一体改革問題に対する問題で、議会で国に意見書を出すことで、議会会派の意見調整が行われていました。
通常は、定例議会の最終日にこうした意見書を、まとめて表決します。
しかし、そうした期日で間に合わない場合、議会の各会派でその議案提出が合意できた時には、(全員賛成の議員提出議案)議会の途中の期日であっても、最短の期日で、議案の本会議上程、提案説明(通常は省略)質疑、討論、採決の手順で進行させます。
今回は、議案の中身に全会派の合意が成立せず、二つの議案を、急遽本会議に上程することで、各派代表者が合意しました。
6月17日の夜、文書で、「意見書を6月18日の本会議に上程し、議決してもらいたい旨の動議」が2件、それぞれの意見書に合わせて議長に提出されました。
2. 会議の進行と運営
こうした意見書を提出する際には、幾たびの時間をかけて各会派の協議が行われます。ましてや、最終日の日程でなく、定例会の途中で、追加する日程を入れ込むとなると、本来は全会派の同意を必要としています。本会議に「動議」をかけて、新規に議題を盛り込むことになります。
実際には、その新規に議題を盛り込むというのは、きわめて困難な事柄です。そのことが緊急性がある。あわせて、その内容に、議員全員が納得できる。そうした提案(議案)が会議の途中に日程追加を認められる内容です。各会派の代表者が合意した事項に限って、日程追加となります。
会議の順序を変えたり、なにか追加事項を加えることなど、さしたることではなさそうですが、議会の会議進行ではそうはいきません。
では、唐突に動議をかけて、新規に追加日程を入れようとするとどうなるか。まず、その日程追加は実ることはほとんど無く、逆に、「動議を否決」という事態になります。現実の事態では不条理に思われる方もありますが、大半の議員から見て、ノーマルな手法とは判定されません。
がまん強く、他派の賛同を得る。これが議会の王道となっているようです。
3. 会議の進行と運営 2
会議における結果が見えたとしても、意見書を独自の出す立場(少数意見)を理解をするのが、多数派の立場だと考えます。
たとえ、多数派である自分が提出する意見書の可決される決まっているにしても、少数意見の議案の取り扱いも、等しく議題立てすることは大切な事柄です。つまり、両者を議会の場の議題にあげる。これは議会運営にかかわるものに託された役割と考えます。
世間には、「何でも多数決でよし」とする見地もあります。しかし、私は多数派と少数派の議論を、等しい舞台に乗せることが必須だと考えています。むしろ、これは決して少数意見でなく、大方の意見でもあるでしょう。
なぜなら、多数派にとっては何事も多数決で決することはできますが、そうした手段は滅多にとらない(ほとんどとることが無い)ことが、美徳となっています。
上記の結果、次のことにつながります。
この動議の取り扱いを、全員の起立で決めることから、「異議なし」で決めることに議会運営委員会で再決定しました。
それに至るには、その異議なし方式を提案したうちの会派の委員が、議運の委員に説明を行い、皆さんのご理解をいただきたいと求めました。私もこうした会議を再度開くに至ったことに理解を求めつつ、議運の委員全員に申し訳ないと釈明をしました。
そうした過程を経て、この動議の取り扱いに関して、委員全員の同意を得ることができました。
あわせて、この件に関する取り扱いで、議運の採決自体を、「異議なし」で行わうことも、議員全員の了承を得ることができました。
そうした結果、今回の動議の取り扱いでは、本会議の採決で「異議なし」の方法をとることに決しました。
こうした経過で、本会議の開催が1時間ほどは遅れたのではないでしょうか。ようやく、本会議が始まりました。
4. 会議の進行と運営 3
私の記事の書き方は、この件で歯切れが悪くなっていなか、そのような問いかけがありました。
その指摘は、正解です。私は会議で申し訳ないと釈明したのですが、全部が理路整然と説明できる経過であれば、そうした釈明は通常必要ないのかも知れません。
突き進めていけば、「私の会議の進め方で不十分な点があったので、その件を再度の手続きをやってほしい。全体の運営をスムーズにやっていくには、その方法がベターと考えるが、皆さんのご理解を受けたい。前の続きを覆す結果となって申し訳ない。今後は、その取り扱いに注意します」と言うのが、私の釈明です。
議運の委員、ひいては他会派議員の全員がそれを了解してくれたということです。
5. 地方交付税の考え
この共通点を持った両案の「三位一体改革意見書」の相違点は、地方交付税の抜本的な改革を求めた内容のものと、地方交付税の維持を求める内容のものでした。
もとより、地方交付税を受けていない町田市にとっては、現状の地方交付税制度で、その交付が一切ありません。そうした状況下では、その改善を求めることは必須のことですが、地方と国の関係で言うと、中央が地方にまず財源をまわす確約をするべきである。そのことが明示されないでは、「全国の大多数の自治体が存亡の危機に瀕するのでないか」、こうした思いが「地方交付税」を維持する内容を含んだ三位一体改革意見書」となりました。
全国に3,300の自治体がありますが、この地方交付税を受けていない自治体がわずかに100ばかりと言います。このうちの3,200の自治体の意向だけでなく、その存亡を問われかねない状況を無視するわけにはいかないとするのが、われわれの考えでした。
6. 地方交付税の考え(続)
この文面を確認しておきましょう。
可決成立した案(多数派案)
否決された案(少数派案)
1.基幹税の再配分を基本とする税源移譲等の地方税財源の充実強化を図ること。
2.地方交付税のあり方を抜本的に見直すこと。
3.国庫負担金の廃止・削減は、単なる地方への財源負担の転嫁とせず、税源移譲等との一体的実施をすること。
上記のように、第2項目が根本的に違っています。また、この要求項目の全文は、まったく同一のものです。
多数派案は、全国議長会関係で検討されたもので、否決された少数案は、一つの会派と諸派で出した案です。
各派の度重なる打ち合わせが行われましたが、統一した案を作成することができませんでした。
これで、通常は議会の途中の採決をせず、最終日の採決とします。
しかし、内容が緊急をようするということをどの会派も確認しました。結果として、このように両案を、動議で提出することにまとまりました。そのことで、問題があったと考えます。(この件は、別途詳述)
7. 動議の採決と議案の採決
議運では、その取り扱いをするにあって、「動議」提出で両案を18日の本会議で採決することにしました。また、議案の提出順に採決することに決めました。(この結果、小数会派案が先に審議される手続きになりました。無意識のうちに、このような配慮がなされているのが議会です。この逆になると、他の議案が詮議できない可能性があります)
さらに、別記事のように、この「動議」による議案審議を行うことが、本会議では「異議なし」の採決方法をとることに、再度の議運を開いて、全員異議なしの了解を得ていました。(議会では、「異議あり!」の発声で議事の進行が混乱します。別の機会の詳述)
こうして、最初の議員提出議案18号(友井和彦議員外2名)を18日の本会議に上程し、議決してもらいたい旨の動議が、まず表決(簡易表決)され、「異議なし」で可決しました。
その結果、この議案18号が審議されることになりました。質疑、討論は無く、採決で賛成少数で否決されました。
次に、最初の議員提出議案19号(大塚信彰議員外3名)を18日の本会議に上程し、議決してもらいたい旨の動議が、まず表決(簡易表決)され、「異議なし」で可決しました。
その結果、この議案19号が審議されることになりました。質疑、討論もあり、採決で賛成多数となり可決されました。
議員の多くは、この「質疑」に疑問をも持ったようです。議場内に首をかしげ、ため息をつく議員の姿が幾人も見えました。
もっとも、その議員は議案提出者になっていないので、他の側の議案に質疑するのも自由だという論理であるのでしょう。
なお、この成立した案は、まちだ千世紀・公明党・ねっと・共産党で提出したもので、所属会派の全員がそろって賛成しました。
|