請願署名と審査と、採択とそれに反する自分の立場と根拠

 この3月議会に提出されていた「障がい児者福祉に関連する事業の見直し」への再考を求める請願は、保険福祉常任委員会、及び最終本会議において、賛成多数で可決されました。この請願は、当初から会派にも提出署名の依頼があったものですが、その依頼を留保した上で、その内容にも一部、疑問を呈していたものです。

 私は、その所管委員会に属しておらず、最終的な本会議裁決で、請願に反する立場を取りました。自由民主党会派所属の他の議員は、全員が請願に賛成しましたし、本会議でも圧倒的な多数で採択された請願でした。私が賛成できなかった、こだわりの理由は下記の通りです。

<見だし>
請願の現実性を考える - 吉田 つとむ 03/20-00:12 No.4113
請願採択の成果 - 天野さん(転載) 03/20-18:50 No.4115
賛否の態度と、結果責任 - 吉田 つとむ 03/20-19:34 No.4116
結果責任は同等 - 天野 03/20-19:53 No.4117
私は請願に賛成せず - 吉田つとむ 03/27-00:31 No.4135
「嫌われ者」のスタンスに感謝 - 天野 03/28-15:31 No.4141
議論のあり方と、3つの視座 - 吉田 つとむ 03/28-19:21 No.4142
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請願の現実性を考える - 吉田 つとむ 03/20-00:12 No.4113

 この3月議会に提出されていた「障がい児者福祉に関連する事業の見直し」への再考を求める請願は、保険福祉常任委員会において賛成多数で可決されたとのことでした。3月15日のことです。

 自分自身、関係議員より、その一部始終を聞いたこともありますし、この問題では、「福祉のかいらんばんの掲示板(雑談用)=町田の福祉の井戸端会議」において、天野さんが断続的にその関係記事を記載されていますので、いくつかの情報を持ち合わせることになりました。
http://6602.teacup.com/machisaren/bbs

 また、その天野さんの記事を見ると、この請願はその目標を絞りに絞り込んだものとされています。では、今回の予算ではどのように反映されているか、委員会ではそのことが当然に検討されたものと考えます。少なくとも、予算に対して、この請願に置いて主張されている考えが、「付帯意見」として反映されているか、まだ、自分では確認していないところです。

 もちろん、「願意に沿うよう、努力されたし」という付帯意見が、ついています。しかし、それは請願に対して、つけられたものであり、肝心の予算に対しては、どのような意見がついたのでしょうか。これまた、これからその確認をしてみたいと考えています。

 回りくどい言い方をしていますが、一般的に、議会で請願審査をする際に、その実現性を忠実に考察するケースと、それほどでもないケースがあります。そうしたことは一般的でないという意見があるのであれば、私の通常の判断においてと置き換えても結構です。どのようなことかと言えば、抽象的な内容、達成時期や予算が伴わない場合などは、その実現性を努力目標のレベルで考えても、現実への影響は極めて少ないと考えられます。

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請願採択の成果 - 天野さん(転載) 03/20-18:50 No.4115

以下は、まちされんBBSから転載です。
http://rain.boo.jp/cgi-bin/machisaren-bbs/c-board.cgi

 私が、自分の記事をまちされんBBSに転載したところ、議論として、天野さんから、以下のレスをいただいたものです。

 内容の性格上、いつもの通り、そのまま転載いたします。
ーーーーー以下、転載ーーーーーーーーーーーー
【37】請願採択の成果

天野 - 04/3/20(土) 18:18 -

吉田議員から、
採択された請願がどのような意味を持つのかという点について、
貴重なご意見をいただきました。
少し難しい文章ですが、
雑談用BBSにも書いたように、
請願の採択=施策の実施(現実性)には必ずしも至らないということだと思います。

それでも、今回の請願提出には大きな意味があったと思います。

第1は、行政側の対応です。
昨年(今年度の予算)の小規模作業所等への補助金予算の削減の際には、
本当にギリギリの段階になって、削減案が唐突に提案されたこともあって、
私たちとしてはただ不満を感じるだけで、なんら具体的なアクションを起こすことはできませんでした。
(今回の国の小規模通所授産施設の補助金削減と同じパターンです)
当然、こうした行政の姿勢については、町作連からも激しく異議を唱えたわけですが、今回は、2月のはじめに行政側から、予算削減案が示されました。
このことは、行政側の中にも心ある人たちが多数いて、
私たちに「なんらかのアクションを起こせ!」というメッセージを発してくれたものと受けとることができます。
すみれ会の請願項目の絞込みは、その意味でも、行政側の財政事情も考慮した上で、「本当に必要なものはやはり削ってはいけない」という問題提起につながったと思います。

第2は、議会(委員会)の中で、本当に真剣な討議がなされたということです。
請願を提出した者の「義務」として、委員会の傍聴に参加されたすみれ会の皆さんの姿勢もすばらしかったと思います。
すみれ会のお子さんたちの障害の重さを考えても、子どもを家に残し、夜遅くまで議会の傍聴に参加することの「大変さ」を議会、行政ともにとてもよく理解してくださっていたのだと思います。
今回、紹介議員になっていただけなかった自民党会派に所属する吉田議員からも、
事前にお電話をいただき、「なぜ、紹介議員を出せないか」という点について、納得のいく説明をいただきました。その内容が吉田議員の書かれている「現実性」の問題とかかわってくるところです。その際、天野からは、「請願項目を絞り込んだこと」「採択と言う結果につながらなくても、少なくとも安易に不採択にするのではなく、議会で議論を尽くしてほしいこと」をお願いしました。
同じく、紹介議員にはなっていただけなかった新世紀会派の藤田議員が、議論をリードする柱を示してくださったことなども併せて、私たちの思いを十分に受けとめてくださった結果が、よい方向につながったものだと思います。
これまで、どちらかと言えば、福祉の問題には、無関心であったいわゆる保守の人たちが、こうして、私たちの意見に耳を傾けてくださるようになったことは、これからの町田の福祉の発展を考える上で、とてもありがたいことです。

私たちが今後の運動を進めていくうえで、このように醸成されてきた行政や議会との信頼関係を失ってはならないと思います。
その意味で、すみれ会の皆さんには本当に大変なことだと思いますが、
今回の問題提起をよりたくさんの人たちに広げ、協力者を増やしていく試みと、
財源問題まで含めて、「こうすれば、財政事情の厳しい町田市にとっても、メリットがある」というような、具体的な「政策提案」を期待したいと思います。
議会や行政といっしょに、しっかりとしたビジョンを描いていくことが重要です。
(残念ながら、今の町田の福祉にはこの「ビジョン」が明確に示されていないのです)
もちろん、町作連としても、言いっぱなしにするのではなく、
皆さんといっしょにがんばっていきたいと思います。

今回の請願採択は確かに予算と言う「現実性」には、直結しないかもしれませんが、将来的には、必ず大きな成果をうみだす運動の第1歩になったことは、間違いありません。
さらに議論を高めていきましょう!
ーーーーーー以上、転載引用ーーーーーーーーーー
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賛否の態度と、結果責任 - 吉田 つとむ 03/20-19:34 No.4116

 以下は、私の書きこみですが、まちされんBBSから転載です。

 天野さんへの意見を、そのサイトBBSに先に書きこみしました。以下は、その全文を引用したものです。

ーーーーー以下、転載ーーーーーーーーーーーー

【38】賛否の態度と、結果責任

吉田 つとむ(町田市議) - 04/3/20(土) 19:31 -

 天野さん こんばんは 土曜日にもかかわらず、レスをいただきました。

 記事は、まわりくどく、わかりにくい書き方で、失礼致しました。しかし、その趣旨を組みとっていただきました。

 この種の請願(予算の考えと趣旨が異なる請願)が出てきた場合は、たびたび予算に対する見地が、議員間で問題となることがあります。

1. 提出予算には相対として賛成するが、付帯意見を付けるという手法が一般的に取られています。
2. それ以外に、質疑のなかで疑問点をただし、若干の意見まで主張する方法があります。
3. 予算案に反対して、それへの反対に立つ方法もあります。

 こうした中で、請願に賛成し、予算案にも賛成すると、どの時点でその実現をはかるか、と言う課題が生じてきます。私には、「その責任を果たす自信は出来ていません」と言うのが、本日の回答です。

 もとより、天野さんが、私とのやり取りをされた時期、それ以降もこうした諸問題では、会派でさまざまに意見交換をしています。可能な範囲で、この種の情報提供も実行してきました。
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結果責任は同等 - 天野 03/20-19:53 No.4117

吉田さん、町作連掲示板の方に早々にレスをつけていただき、ありがとうございます。
また、こちらの掲示板にも転載のお手数をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。

請願主旨と予算案とが相反する場合、
議員としてその責任を果たすために、どんな姿勢を示すかと言う
とても大変な問題に、率直なご意見を記していただいたことに感謝申し上げます。

今回の請願は、まさにそのケースにあたり、吉田さんをはじめ議員の皆さんには大変なご苦労をおかけしたことと思います。
おそらく、すみれ会の皆さんも、そのことはよくご理解されていたと思います。
請願採択=施策の実施ということに、即、つながらなくても、
(つまりは、来年度の当初予算に反映されなくても)
請願趣旨について、議会で十分に審議いただき、
次の施策(予算)に反映させていきたいという思いが行動につながったのだと思います。

その意味でも、
障害者の地域生活・自立生活を進めていくうえで、
今回の予算削減がどのような影響をうみだしたのか?
その影響は、永い目で町田の障害者福祉施策を考えてみたときに、
メリットになると捉えられるのか、あるいはデメリットなのかという点について、しっかりと検証していくことが必要かと思います。

請願を提出したわれわれの側はもちろんですが、
請願を審査してくださった議員のみなさん、
議会から付帯意見をもらった行政のみなさんにも
やはり、そうすることの責任があると思います。

こうして、いつも、タイムリーに意見を交わせることに喜びを感じます。

議会中継の次の課題として、ぜひとも委員会中継の実現を望みたいと思います。
それと、これは、吉田さんにお願いしていいことかどうかわかりませんが、議員さんの名簿がいつまでたっても、旧委員会の所属のままです。折角、議会中継もはじまり、迅速な情報公開がなされているのですから、そちらの方も同様に素早い対応をするべきかな?と思って仕方がありません。
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私は請願に賛成せず - 吉田つとむ 03/27-00:31 No.4135

 3月26日、町田市議会の最終日、各種の議案・請願などの審査を行いました。

 その中で、<「障がい児者福祉に関連する事業の見直し」への再考を求める請願>の表決も行われました。

 関係する予算案の委員会では、多数意見がそれらを含まない予算に賛成した上で、関係予算に考慮すべきとの付帯意見をつけていました。

 本会議では、その予算は一括して表決され、賛成多数で通りました。また、上記の請願は、これらの予算表決に先立ち、賛成多数で採択となりました。

 そうした中で、私は少数派ですが、この請願に賛成の立場をとりませんでした。つまり、反対の立場です。(なお、これは会派全体の立場でなく、私一人が取ったスタンスです)

 理由は、今までに、署名できない経過の記事に書いたとおりです。ただし、この日の本会議では、この請願を含め、どの議案・請願にも発言をしませんでした。すべて、今回は賛否のあらわすのみでした。
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「嫌われ者」のスタンスに感謝 - 天野 03/28-15:31 No.4141

吉田さん、こんにちは。
町作連議論用BBSに書き込みいただきありがとうございます。
今回は、お手数をおかけしないうちに、
こちらの方から、転載させていただきます。

以下、転載記事です。

吉田さん、書き込みありがとうございました。

「請願に賛成せず」というスタンスで敢えて「嫌われ者」の役割を引き受け、新たな問題提起をしてくださったことに敬意を表します。

吉田さんがこの請願に賛成の立場を取られなかったことについては、これまで経過の中でも十分に議論が交わされてきたと思います。

町田市議会で審議される請願は、自分の記憶の中では、最終的には「採択」か「不採択」という二者択一の結論になります。(「継続」という一時的な判断もありますが)ここにたとえば、「主旨採択」や「部分採択」といった選択肢が加われば、また違った展開にもあるのでしょうが、こうした選択肢が加わることによって、請願者の本当の思いとは、ずれが生じててしまうということも考えられるので、そういう意味からは、今のかたちが一応はベストであると思います。(吉田さんが、今回の審査にあたって、何も発言されず、賛否のみの態度を示されたこともそうした意図があってのことと推察します)

予算と関連させて請願の現実性のところから、「反対」の立場に立たれた吉田さんですが、天野とのやりとりの中では、特に「緊急一時保護」の必要性については、「賛成」の立場から、十分な理解を示していただきました。(吉田さんと町作連との出会いが「ひまつぶし」さんのレスパイトの問題であったことからも、当然のなりゆきかもしれません)

とりあえずは、無事、請願が採択されたことで、この問題は次のステージに移ったと考えられます。平成17年度あるいは、16年度の予算において、どう「復活」させていくかという大きな課題への挑戦のステージです。請願項目を必死で絞り込んだすみれ会の皆さんには申し訳ないが、「現実性」を考えたところでは、さらなる「絞り込み」が必要です。今回の3項目の中で言えば、3の「いこいの家」の補助金については、正直なところ、受益者負担の考え方が正当かなという気もします。
むしろ、新たな項目として、障害者医療の充実を掲げてはいかがでしょうか。(当面は、「理念目標」になってしまうかもしれませんが) 2の緊急一時はもちろんですが、1の「補装具の交付」についても、障害者の生活を守る上では決して後退させてはならないものです。これについては、もっと実態を説明し、吉田さんをはじめ「反対」の立場に立たれた方に理解を求めていくことが重要です。

何度も繰り返しますが、たとえ、即座に施策につながらなくても、今回の請願は大きな意味を持ちます。
第1の意味は、請願運動を通して、まずは自分たちが問題意識をもち、賛同者を増やしていったこと。(主体的な「問題意識」のないところには何も生まれません)
第2の意味は、「反対」の立場の人の存在を通じて、新たな問題提起・課題提起がなされたこと(「反対」の立場の人も何がなんでもすべて「反対」ということではありません。問題となる点が解決できれば、むしろ強い「賛成」の立場に変わる可能性を秘めています)
第3の意味は、常にオープンなかたちで、議論がなされてきていることです。(非公式な折衝の中で、ものごとが進められるという「不透明性」には誰もが辟易しています)

ちょっとばかり挑戦的な物言いになってしまうかもしれませんが、
(でも、多分、こうした「展開」を予想されていたのではないでしょうか?)
この運動の次の「ターゲット」は吉田さんです。
われわれとしては、吉田さんにも納得していただけるような説得力のあるデータと理論をまとめあげる。それをもって、オープンな場での議論を挑むということになるでしょう。
もちろん、吉田さんも簡単には、「いい人」にならずに、論破を試みてください。
そんな真に活発な議論の中から次の展望を見出していきたいと思います。
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議論のあり方と、3つの視座 - 吉田 つとむ 03/28-19:21 No.4142

天野さん こんばんは

 皆さんからのご批判を受ける前に、請願に対する対応を先に記述させていただきました。

 今回、<「障がい児者福祉に関連する事業の見直し」への再考を求める請願>の表決で、この請願に賛成しなかったほかに、老人クラブ運営費補助金変更の撤回及び高齢者いこいの家宿泊費補助廃止の撤回等に関する請願にも、反対の立場を取りました。合わせて、町田市原資爆弾被爆者見舞金の支給に関する条例を廃止する条例には賛成の立場を取りました。

 このように並べ立てると、吉田はさぞかし、構造改革論者のように思われる方もあるでしょうが、なんどか述べてきたように、私は本来は穏健な改良主義(漸進主義)の立場に立っています。ただし、今回は町田市の行政が、従来の路線を変えた立場を取ろうとしてのであれば、自分がその足かせとはならず、市政の変革はこの際受け入れ様というスタンスを取りました。(その分、構造改革主義の皆さんは、より強固に、そうした立場の先頭を切って頑張られるであろうと考えたためです。結果として、私は大勢の請願市民の皆さんと、反対の立場に立ちました。)
これが、先ず1点目の視座です。

 2点目の視座は、町田市の公共工事の発注・落札の談合に関する、町田市の損害賠償請求(約11億5千万円)を求めるスタンスです。関係の建設会社などが公正取引委員会の談合認定を受け入れ、国に課徴金を支払っているのであるから、町田市がその約11億5千万円の損害賠償を請求するのは当然であり、その支払を渋っている企業に何らかのペナルティーを与えるべきではないかと、問いかけました。
 早速、この話題では市内の有名建設会社の経営者が、私に意見がある旨の書きこみをしてきました。損害賠償の責がある52の企業の取りまとめの事務局をやっていると、大上段に構えた書き方です。こうした請負有力企業の対応に対して、吉田がどのように対応するか、とくと、監視をしてください。

 第3の視座は、経済の自立の志向です。この問題は議会の一般質問で取り上げて久しくなりますが、「商工会議所へ運営費にまで、町田市が補助金を払っているのは無くすべきではないか」と主張し、批判的に対応してきました。すなわち、人口40万人を擁する町田市経済界の名士が居並ぶ商工会議所が、今だ町田市の補助金をもらっているなど恥ずかしい限りではないか、その様に考えており、その主張を機会あるごとに続けています。

 今回は、上記の3つの視座でとらえ返したものでした。それらに共通するのは、組織だった立場の方からは、「嫌われ者」になっても仕方ない、黙々と納税するサラリーマンの視座に再度たちかえろう、このようなスタンスからの対応です。

 ささやかですが、これが若い世代にはない、50歳の吉田の基本スタンスとお考えください。どうぞ、これからもどのような点でも、ご意見ください。

 なお、各個別の課題では、別途スレッドをたてる場合もあります。
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