● 学生インターンシップ(研修生)
     から見た、町田市議会議員
 
 以下の文章は、「学生インターンシップ(研修生)の受入体験を語る」(1)、(2)(前々回及び前回のアップ記事)に対応した記事です。(私が、平成10年の末に受け入れた)研修学生の一人であった喜友名智子さんが書いてくれた文章を、吉田つとむが、「HTML」化したものです。ただし、冒頭の見出しのみは、私が追加しました。
 筆者の喜友名智子さんは、インターンシップの学生研修生(3名の学生の一人)でこられた時に慶応大学4年生でしたが、今春より、松下政経塾の塾生となられており、他の研修生と一緒に、国内外に研修に飛び回る毎日だそうです。(機会がありましたら、地方自治体・議会に関する研修状況も書いていただこうと思います)
 喜友名さんが、研修生としてこられたのは、平成10年の11月から、最終的には翌年の1月までした。研修生は、1人の時と、複数の研修生が一緒に入るときもありました。吉田個人を見るのでなく、町田「市議会議員」及び「市議会」を見てもらいたい、とお願いしての研修であり、その報告文です。喜友名さん達には、随分と時間を経てから原稿依頼でしたので、記憶をたどっての作業であったはずです。研修生の皆さんに、迷惑な依頼をしたものですが、それぞれに了解していただいております。 
 
◎ 私が見た、町田市議会議員
                                    研修生 喜友名 智子
 今回のインターンシップでは、実際に地方議員さんの活動の様子を見る、地方議会の様子を見るということで非常に貴重な経験になりました。私自身「政治の現場で仕事をしたい」と考えていながらも、実際に議員の方と話したり、議会を見にいくということがなかったので、その分イメージが漠然としていたのです。このインターンシップが自分の今後を具体的に考えるためのいい材料になったと思います。
 インターンシップを始めるにあたっても「地方議員の活動を自分の目でみてほしい」という吉田さんの言葉と私の目的が重なったので非常によかったです。
 以下、主な研修の場となった決算委員会と本会議での感想を述べていきます
@ 決算委員会:
 決算委員会の前に吉田さんから渡された予算の資料を見て、正直言って気が萎えました。莫大でこれを全て理解している議員がはたして何人いるのだろう。恥ずかしながら、私も議会の話の内容は半分くらいしか理解できませんでした。議員と行政の間でさまざまな質問や意見が取り交わされていましたが、これを一般の人たちにわかりやすく説明することは難しいなと感じます。
 内容によってはかなり白熱した場面も見られました。議論続行が不可能で審議ストップもありました。よく議員や行政は税金を無駄使いしてコスト感覚がないという批判を聞きますが、少なくとも真剣に税金の使い道を考えているなと認識をあらためさせられた場面もありました。
A本会議:
 みなさん、もちろん熱心に本会議に臨まれていると思います。それぞれの議員さんが教育やコンピュータ問題などさまざまな分野からの一般質問をしていて、町田市のことを真剣に考えているんだな、という空気を感じました。本会議での質問を聞いていると国会で行なわれているものとは随分と様相が違います。国と地方の役割を考えれば当然のことです。地方レベルでは住民の生活にとって身近な問題がトピックになります。これはどっちが上で下でといったものではなく、対象が異なっているだけなのです。
 
 ただひとつだけ、どうしても気になることがありました。これは人によってかなり異なる意見が出てくると思いますが、「野次」についてです。テレビの国会中継などをみるとよく野次が飛ばされていますが、ここでもやはりありました。どんなによい政策を持っていてもその人が野次を飛ばすのを目撃した後では、私は次の選挙でその人に投票する気がどうしてもおきません。他人が話しているときには静かに聞きましょうと習わなかったのですか?「野次なんて議会では日常茶飯事だ」といわれても、その品性を疑ってしまいます。特にまともな質問ができない人と野次を飛ばすひとにはある程度の相関があるようです。論理的な政策論争をしていないから野次という手段でしか対抗できないんだろうなと思えてなりません。まあそんなこと気にするひまなんか政治家にはないといわれるとそれまでですが。若輩者ということは承知の上で言いたいのですが、私は将来議員になってもああいう見苦しい真似はしたくないです。野次ではなく建設的な「批判」「論争」だともっと住民のためになると思います。
B その他
 今回のインターンシップ中は年末年始だったこともあり「新春の集い」のお手伝いもさせて頂きました。
 吉田さんと近所を歩いていると「あらぁ、元気―?」「最近どうなの」といろんな住民の方から声をかけていただいています。私は国政で活動している代議士さんは直接知らないけれども、おそらくこういう付き合い方ではないんじゃないかと思います。代議士さんよりも身近な存在なのだなと感じます。
 
(まとめ)
 現在の政治には政策論争がないとよくいわれます。議員が社会で必要とされている政策について学ぶこともなく、必要な条例をつくることもないと。しかし20年も30年も条例案の提出や審議がないというのは、民主主義のシステムを取っている国の状況としてはどうみても奇妙です
 最近になってやっと議員による条例つくりの動きが出てくるようになりました。しかし実際に自身で条例をつくるとなると、法律や各分野の専門知識など非常に広範で莫大な知識と労力を要します。自身の政策スタッフを法律上持てない地方議員にとっては現在の状況は非常に厳しいものがあるなと感じました。
 議員のひとりひとりは真剣に社会のことを考え、すばらしい視点を持っている人がたくさんいます。しかしそれを条例なり何なりで、形にだす段階が非常に難しいのです。
 現在の議員や議会については問題があるのは事実です。しかし一方で評価できる部分もある。報道などでは悪い面ばかりが強調されて、なかなかよい面が表に出てこないのですが、全部を否定するのは間違っていると思います。
 さらに国会と地方議会の違いも考えました。同じ政治家であるけれども、やはりかなり異なります。しかしそれは先に述べたように国レベルの仕事だから上、地方だから下という陳腐なものではない。単に対象が異なるだけなのです。国会議員には「政策のプロ」ということが求められますが、地方議員には「地域のプロ」であることが不可欠です。どちらも政治家ということには変わりがなく、忙しさや難しさも同じなのです。
 とにかく自分の目で議会という場所、議員という人間を見ること。そして自分の頭で判断すること。批判だけでなく、良い面での評価もきちんと行なうこと。非常に短期のインターンシップではありましたが、貴重な経験になりました。
(以上)
(以下、私のコメント:喜友名さんから、議会の野次について、手厳しい指摘を受けました。私も野次(けっして上品とは言えない内容の言葉)を飛ばすことがあり、反省する面もあります。しかし、議会の中には、それぞれの人間関係があり、他の議員の発言に、つい野次を飛ばします。最近の「野次」で新聞記事となった例として、次のものを紹介します。自由民主党総裁選挙に立候補した加藤紘一候補が、自・自・公連立を批判する演説を行った際、聴衆である野中官房長官が、「参議院はどうするのだ!」と野次を送ったそうです。この例は、両雄の関係を示す内容として、味があるものと思います。−喜友名友)さんが議員になったときには、理性ある行動を貫いて下さい)
 学生インターンシップ(研修生)から見た、町田市議会議員に関する記事は、この行で終わります)