インターン記録レポート 雑務
町田市議会議員 吉田つとむ    2002/3/31作成
 山梨 紀子  
主要研究項目
 雑務
 記 事 3月9日(土)コートのいらない温暖気候

◎ 山梨さん
 いかがわしい目覚めであった。今朝私を起こしたのは、鳥のさえずりでもなければまばゆい朝日でもなく、目覚し時計でさえもない。他でもない自分のくしゃみであった。もう少し眠れたはずなのに、くしゃみの連発によって睡眠は妨げられた。そういえば、今日は吉田さんもくしゃみを連発していた。だがその音といったら、思わず振り返ってしまうような大袈裟なものであった。それは、くしゃみというよりむしろ、大型動物の鳴き声のようであった。
● 吉田
 そう言えば、吉田はちょっとした冷え込みでも、大きなくしゃみをします。本会議場でも、そうしたくしゃみをすることがあります。その日も会議で大きなくしゃみをしてしまったようですね。またまた、山梨さんに書きこめられました。

◎ 山梨さん
 午前中は金森図書館の見学。というか見物。新築だけあって美しい。そして広い。本屋と見紛う程の充実した品揃え。特に雑誌の充実度は抜群。ここに慣れてしまったら、家の近所の図書館はもはや「図書館」とは呼べまい。
 その後事務所へ。駐輪場の建物の三階を借りられるらしい。成瀬駅南口徒歩約30秒。眺め良好。フローリング。冷暖房完備。おまけにトイレはウォシュレット。新築で、なかなかの物件だ。吉田さんが「城」と呼ぶのも、まあうなずける。
 お昼時。選挙の会計係、山路さんに電話をかける吉田さん。しかし今だに携帯電話を使いこなせていない為、何故か井筒さんにかかってしまう。前にもこんな光景を見たことがあるような気がする。意のままに携帯電話を使いこなせる日はいつのことやら…。
 昼食は私と山路さんと吉田さんの3人で『鯉寿司』へゆく。ところで、吉田夫妻は口喧嘩が多いそうだ。しかもその原因はくだらない些細な事が主らしい。山路さん曰く、吉田さんが返答の際によく、「ほい」や「へい」を連発する事が奥さんにとってカチンとくる火種なのではないか、との分析であった。
● 吉田
 私が山梨さんを連れて行って、初めて気に入ってくれたのが、この金森図書館でした。山梨さんが、雑誌が大変好きだと、ここで初めて知りました。一度、町田市の版画美術館に連れて行かないといけなかったのですが、そんな時間がありませんでした。そういえば、選挙カーで、版画美術館にも立ち寄りました。山梨さんは一度も選挙カーに乗れませんでしたね。
 当日も書類の整理を続けたのですが、地元の集会室を少しだけお借りしました。山梨さんが言うように、新装で仕事には快適な部屋です。吉田は、後援会の行事で、「新しい議会報告」に使用しました。さらに、山梨さんと山路さんとの会話で、吉田と妻の「会話」が語られたのですね。結構、吉田の言葉は、妻をいらつかせているようです。今までにインターン生が何人もいますが、初めてこうしたリアルな話を、このインターンレポートの記事に持ち出してきました。こうした恥ずかしい事態をオープンにしたことで、私も少しは反省せざるを得ないでしょう。これも「選挙運動」のなせる技と思います。携帯電話の件は、山梨さんが書いた通りです。まだ,電話をかけてきた相手を登録することも覚えておらず、よく、かけ間違いをしています。

◎ 山梨さん
 昼食後、事務所で会計の仕事の手伝い。言わば雑務だ。レシートを月日順に並べ替える。2001年のレシートが実に沢山ある。去年の時点でこまめに整理しておけば、後の手間が省けたはずである。その事を指摘すると、前に村上さんも全く同じ事を言ったとの返事。二人のインターンに同じ事を言わしめるとは、ある意味凄い。以前私は吉田さんをアリとキリギリスでいう前者、ウサギとカメでいう後者と分析したが、明らかに間違いであった。
 吉田さんはパソコンを3台所有しているようだが、今日はノートパソコンを持参していた。ホームページはかつて日本一と言われたほど(事あるごとに自慢している)なので、パソコンは「命」らしい。その「命」であるが、使いこんであるとはいえ、パソコンの大敵、ホコリにまみれているのがいささか気になった。
● 吉田
 書類の整理、これをためてからしか、手をつけない事例が続いています。童話の世界で比較されているようですが、その判断を見誤った、とはっきり書くところが、山梨さん流です。
 パソコンの取扱まで看視されました。とにかく、山梨さんは良く観察しています。



3月13日(水)おおむね晴れ
 活動内容:本会議(補正予算、施政方針、新年度議案)の傍聴

◎ 山梨さん
 朝10時から始まると聞いたので、いつもより早く家を出る。およそ10時。市役所6階傍聴席に到着、着席。大学の大教室の2階席のような所である。平日の朝っぱらだというのに既に15人くらいが座っていた。着席から約15分。会議はいっこうに始まらない様子。すると放送で、10時45分からになったと告げられる。この瞬間はまさに、遅刻しないように猛スピードで登校したのに、授業が休講だった時の気持ちとほぼ等しい。
● 吉田
 10時に始まるから、およそ10時に到着が、山梨流!ものごとは、10時に開始されるのだったら、10分前にはついて欲しいというものである。予定時間になっても会議が開催されないのは、大学の「休講」とはわけが違うよ。議会は開始が遅くなっただけで、その日にはやんない「休講」のとは違うんです。そうしたことは、山梨さんがもう少し早く着て、私が委員長を務める「議会運営委員会」を傍聴すると、ほぼその経緯がわかると思うんですがね、・・・・。

◎ 山梨さん
 10時45分。今度はちゃんと始まるらしい。議員ら入場。市長とその仲間達と、市議会議員とが向かい合う形になっている。真ん中に議長。その横に副議長。議長席の椅子だけ必要以上に背もたれが高く、立派に見えた。正直な話、吉田さんもこの椅子に座りたかったのではあるまいか。初めて見る議会会場は、議長が司会者、副議長がアシスタント、市長軍団が観客、議員が解答者であるクイズ番組の会場のようであった。議場の中央に、板塀で囲まれた区画があり、その中に速記者がいる。傍聴席からは頭しか見えない。しかし一体何の為に速記者を板塀で囲んでいるのだろうか。
 まず最初に、議員歴20年の人々に表彰状と記念品の贈呈が行われる。20年といったら私が生きてきた年数にほぼ等しい。なかなかすごいことだと思う。記念品は、箱の大きさからして紅白まんじゅうではないかと察する。
● 吉田
 おっと、いきなり「議長のポジションに、吉田はほんとは就きたかったのではあるまいか?」という、本音トーク番組の司会者みたいなことをのたままわれてしまった。山梨さんは今までのインターン生の中で、議員の心の中に最も入り込むのが得意な人物であるらしい。ここでの記事は質問というものではないが、このサイトの閲覧者には話題として取り上げえられたので、やむなく、その過程を書きましょう。通常、議長になるには、会派内で他の議員の同意を必要とします。ということは、立候補の意思ありと、何らかの方法で皆さんに伝える必要があり、今回の当選で、とりあえず「議長」の当選条件を聞いてまわった。そうすると、「同僚議員の支持・他の会派の同意が第一である」ときた。さらに、冗談半分で聞くと、他の議員に「私が議長候補ということはありませんよんね」と聞くと、皆が「そうだね」と口をそろえて返答されました。まー、こんな状況です。 
 そうだ、私はまだ、「雑巾がけ」が続いているのだ!
<説明事項>
 本会議場の配置では、山梨さんが「副議長」とみなしたのは、「事務局長」です。通常、副議長は議場内の自席にいます。議長が用件があって、議場を離れる時に、その代わりを務めます。今回の一般質問の際、午後の時間などに副議長が議長の職をやっていました。

◎ 山梨さん
 やっと本会議が始まる。議論内容はよく分からないが、白熱ぶりは伝わってくる。やじも飛ぶ。傍聴席でも相槌を打ったり舌打ちをしたりする人がいた。そして、私の斜め前方辺りに、鼻をかんでいる前場君を発見。ここの所会っていなかったので、インターンに嫌気がさしていたのかと思っていたら違ったようだ。会議はなおも白熱。こんなに熱いものが繰り広げられるなんて思いも寄らなかった。
 正午あたりで昼休憩。地下食堂は微妙なので、なか卯で親子丼を食べる。
 1時。会議続行。傍聴席では人が激減していた。会議も、午前の熱は急激に冷めたようだ。淡々とした会議が延々と続く。原稿の棒読みが眠気を誘う。細切れに仮眠をとるが、遅々として時は進まぬ。傍聴席からは議員の背中しか見えないのだが、吉田さんもきっと寝ていたに違いない。
 (議長)「今からおおむね30分の休憩となります。」
 おおむね30分後、最終ラウンドが始まる。傍聴席の過疎化はなおも進行し、私と前場君とあともう一人、朝から隅っこの席にいた男性の、3人のみとなった。休憩中、吉田さんから「あと少しで終わるんじゃないか」というようなことを聞いていたので、楽勝と思いきやなかなか終わらず。眠い時は眠ればいいのだが、眠くない時は暇である。会議を聞きつつ、自分の手相を見たり、吉田さんから預かった手帳をめくったりして時を過ごす。全議員が持っている冊子の内容を、市長の助役が延々と音読。冊子と同じ内容なのに、こうした場でわざわざ読むことには何か意味があるのだろうか。
● 吉田
 議論が白熱する。それは、当然のことです。議員たるもの、会議で「持論を展開する」か、行政の担当者の提案に疑問点をぶてけ、「こんなことも、説明できないのか」と迫るのが、仕事と言っても過言ではありません。居眠りが仕事ではないのです!
 山梨さんは、「どんな議論がやられているかわからなかった」ということですので、その話を先に、少し説明しましょう。

<議論の以前の段階>
 行政側には、市有地の売却を急がないといけない場所がありました。地価が下がりつづけていることもあり、早期売却(本来は、鉄建建設と言う会社が持つ土地を中学校として入手したいという考えをもっていた。そこで、町田市が持つ旧下水処理場跡地との等価交換交渉)の話を進めていたましたが、その土地には、財産処理(市有地でない部分などが含まれていた)が完了していない土地があり、結果的に、相当の価値下落をして売却(先の鉄建建設)することが決まった。その売却相手は、その土地を自身では必要とせず、町田市内の民間企業の転売する(倉庫を建てるという話し)こととなり、そのことは町田市を含めて全て、公開の了解事項であった。
 ところが、町田市に「徳洲会病院」という全国展開の大手病院が進出構想を持ち、その土地が対象に取り上げられた様子でした。もちろん、そういう需要があって、病院側はそれぞれに進出計画を立てます。しかし、行政側にとってみると、「住民の健康」や、「地域の医療」等に関わる事柄は、誰にでも自由に計画してください、というわけにはいきません。まず、市と協力関係にある医師会の存在があります。さらに町田市は自前の市民病院を持っています。次に、周辺の大学病院との協力関係があります。そうした機関の同意や理解が無いと、OKという返事を出すわけにはいかないということが、町田市の立場です。現状の町田市の考えは、その進出計画を持つ病院の構想は町田市の診療計画に混乱をもたらす、と判断でした。
<当日、話題になっていたこと>
 町田市に進出しようとする徳洲会病院は、その土地を上記の会社から借受して病院建設を進める方針をとった。そうした動きを推進する、住民の署名運動があり、たくさんの署名が集まり、土地の購入者にその署名を提出したという。その結果、その土地が「徳洲会病院」に貸付される計画が強力に推進された。
 そうした動きに対して、町田市はその会社に対して、土地の転用貸しを認めず、従わない時は返還を求める仮処分措置を裁判所の申請した。これには多額の供託費用がいるが、議会は、それを市長が「財政調整基金」から専決処分で移すことを決定した。丁度、その時期は、市長・市議選のさなかであった。議会の質疑では、この「転売を認めないこと自体」の是非、「相手との契約に瑕疵」がないのか、「議会の議決時期」の問題等を取り上げられました。
 私自身は、「相手との契約に瑕疵」がないのか、と言う問題に関心を持っています。町田市は、議会の要求に応じて書類を示して、契約内容に問題なしと説明しましたので、市のとった措置に賛成しました。
 議会の議事に関しては、すべて「発言」が主体です。用意した文章と発言が異なった時は、当然に「発言」が優先します。国会では、「質問」を質問趣意書という文書であやるのが正式ですが、一般には「質疑」というものが、「質問」と受け止められています。地方自治体では、質問も質疑も、会議の中で口頭で行います。

*以下、一般記事の続き
 「原稿の棒読み」が眠気を誘う。これは現実であり、特に助役の説明は、催眠術師のような魔力を持っています。ひょっとして、そうした催眠術を身に付けた人物が助役になれるではないか、と議員の間では噂されています。間違っても、議員が会議で眠ることはないでしょう。私は、理事者の催眠術にかかりかけることがありますが、何とか踏みとどまっています。

◎ 山梨さん
 以前吉田さんから「政治家の言動が曖昧なのは、断言してしまうと自分の首を締めることになるから」と聞いたことがある。今日の会議においても、質問されても率直には答えず、婉曲な表現を多用する「曖昧な言動」を聞くことが出来た。それは質問の返答には限らず、普段からそうなってしまうのだろう。「おおむね30分」の休憩もその典型だろうか。そのため、吉田さんの「ちょっと待ってて」の「ちょっと」や、「あと少しで終わる」の「あと少し」は、いまいち信用できない。そして今日、4時20分くらいに、誰だかが「まもなく5時になりますので…」という言葉を発した。4時半も回ってないのに「まもなく5時」。凄い。せっかちなのか何だかも分からない。これはもはや「曖昧な言動」どうこうの問題ではない。政治家の体内時計は特殊なのかもしれない。
 終りに近付いて、議長の「何か質問は」との問いかけに、議員が口々に「なし!」と言うのが、最初と比べてものすごく投げやりになっていた。議員も早く終わらせたがっているんだなと感じた。
 やっと終了。我慢大会のような一日であった。 
● 吉田
 やれやれ、休憩時間の見込み違いから、インターン生の山梨さんの信頼をまたまた失いました。実際には、この休憩時間の間に、議論が切迫している課題で、当事者間の「議論のやり方」で調整がおこなわれているのです。高説明すると、それは「談合ではないか」、と言う批判もあるかも知れませんが、会議を構成する全員にわかりやすくするために、「理論を整理されたものにする」方法として採用するものです。こうした方法が、ひいては議事録でしか見ない人たちに、その議論を解かり易くするものだと思います。持論が違った同士が、この休憩中に手続きを話し合っているのですから、個々人はちょっとのつもりが、ついつい、長引いてしまうのです。
 その会議の進行では、私自身が議会運営委員長を務めています。間違った情報は出せず、責任ある判断を示すことが仕事です。そのことが、山梨さんから見ると、進行状況がつかめないという事態に見えたのです。
 「会議の延長問題」・・・・これは、会議の開催にとって、重要な事柄です。その日の会議で色々審議していたとします。その議論が白熱して、知らずに5時を過ぎたとしましょう。何も決めていないと本会議は5時で終了ですので、その議論は無かったことになります。さらに、会議を再開しようとしても、そこで会議を招集することはできません。翌日以降に、一から出直しという、とんでもない事態に陥ります。議題になっているものが、「議案」であれば、審議未了で廃案ということになります。私が議員になる前に、そうしたことが一度あったようです。そうした事態を避けるために、あらかじめ「会議の延長」を議長が宣告することになっています。そのことを、議長が忘れると、議長責任!という事態がとわれます。 
 


3月16日(土)桜満開
 活動内容:雑務

◎ 山梨さん
 何やらスキャンダラスな事件があったらしい。某氏が、昨日逮捕されたとのこと。他人事と思って聞いていたが、新聞にも載ったことを知り、事の重大さを痛感。おとついの夜、吉田さんと顔を合わせた人が、その翌日には新聞に「容疑者」として掲載されているとは、さすがに仰天である。
● 吉田
 これは、大事件でしたね。この件で、市議会では、早速「政治倫理の確立を求める決議」を行いました。その当事者は、3月8日までが町田市議会議員で、今期に引退した議員の一人でした。同じグループにいたということで、6名の前議員の送別会を木曜日に開催しました。その中の一人が、翌日に逮捕されたのです。「逮捕」されるという、そうした雰囲気は微塵も感じませんでした。実名の「容疑者逮捕」報道は、金曜日のTVニュースになり、土曜日の朝刊にはそのことが記事になっていました!
 その前議員は、政治家がもっとも避けるべき、悪魔のささやきに応じた結果でしょう。

◎ 山梨さん
 所変わって喫茶「モンブラン」。オムライスを注文。吉田さんから本会議の質問作成の説明を受ける。紙に書きながらの説明であったが、文字はまるで暗号。解読不能の旨を告げると、「インターンを続けるうちに読めるようになるんだよ」との返答。さすがである。プラス思考にぬかりが無い。
 その後、借り住まいの事務所、通称「城」にて、会計関係の作業。私が指示通りに仕事をこなしている間、吉田さんはパソコンで前場君のインターン体験記を音読し、苦笑したりしていた。
● 吉田
 私が使用した事務所は、市の建物で地元で管理するものです。住民利用施設を造ってもらいたいと考え、その計画推進にはかなり関わりました。ここで特に強調しますが、吉田は建設内容や工事発注には一切タッチしていません。そんなことで、自分の行動が問われるのももっとも避けたいからです。

◎ 山梨さん
 よく、「インターンは待つことも勉強のうち」と聞くので今日、「インターンは我慢強い人じゃないとできないっすね」と述べた所、「インターンを受け入れる側だって我慢強くないとできないよ」との返答。「インターンが最大の自慢」「インターンだけが唯一の楽しみ」「インターンこそ我が生きがい」「インターン同士の結婚こそ人生の最終目標」などと言い切るインターン狂いの吉田さんが、インターンを受け入れるにあたって何かしら我慢をしていたとは少々意外であった。
● 吉田
 ここに書いてあることは、全部が事実です。インターン生が、他の議員に対して失礼なことをさせてはいけないし、そうした発言があっても同じです。
 一般に、ビラやチラシを配って廻る。会報の発送作業に専念するでは、無給のアルバイトになりますし、会議を傍聴したり、パーティーに連れて行くだけでは、インターン生はお飾りです。こうしたレポートの提出を受け、そこで感想・意見を求める。それに対して、議員はまじめに回答を出すのが、政治家とインターン生の信頼関係ではないでしょうか。



3月19日(火)いつの間にやらインターン14日目
 活動内容:文教生活常任委員会とやらの傍聴

◎ 山梨さん
 天気がいい。桜も満開。もう春である。こんな日を市役所の会議室で過ごしてしまった私は不幸なのかもしれない。
 後から知ったのだが、HPの掲示板に吉田さんから私宛てに、遅刻するなとの旨が書かれていたようだ。その願い通り、今日は5分ほどの遅刻にとどまった。
 10:05。5階、会議室前。先週の議会に15分前集合した、「石橋を叩いて渡るタイプ」の前場君に遭遇。今日は石橋を叩かなかったようだ。会議室はドアが閉っていて、とても入りづらい雰囲気。重い扉を開けると、そこは亜熱帯。暖房と日光の相乗効果で、室温は高まりをみせている。窓から降り注ぐ春の陽射しは、暖房も蛍光灯をも不要にさせる。しかしその部屋では、電気という電気のスイッチはオンに。そして、むしろ暑いくらいなのに暖房がついていた。
 壁際に並んだパイプ椅子が傍聴席。遥か正面に議長、副議長。20人近くの市役所職員と7人の議員が向かい合わせになっている。部屋のど真ん中には速記者席。二人の速記者がおじさん達に四方八方を取り囲まれている。座っていいよと言われても座りたくない位置だ。
● 吉田
 うーん、山梨さんは、政経なのに文学部のような表現が得意な人物である。私が、最初の行換え通りにすると、もっとその味わいがさらにでてくるのでしょう。
 今日は、疎属する常任委員会の会議初日。まず配置の説明をすると、ここは委員会の場ですので、正面は委員長、その横は副委員長です。委員は向かって左に7人が並んでいます。反対側には市の職員が座りますが、担当部ごとに入れ替わります。我々議員は、委員会では委員と言い、2日間の間、同じ椅子に座りっぱなしです!また、速記者は、通常一人です。速記者側の事情で、その日は二人で仕事をしていたのでしょう。速記者が二人もいるのを、始めて見ました。
 私が、参議院議員の公設秘書をしていた頃、国会の審議では、常時二人が速記席に座っており、短時間で交代していました。たしか、議事録を当日のうちに、文書にしていたのではないでしょうか。(これは、記憶を書いたに過ぎない。誤りがあれば、どなたかお知らせください)

◎ 山梨さん
 吉田さんがたまに傍聴席をちらちら見ている。その光景は、授業参観の日に自分の親をしきりに気にする小学生を連想させた。そして時間の経過に伴い、吉田さんの挙手と発言回数は増していった。これについてその後、インターンが来ていたから沢山発言をしたのかと問うが、そんなことはなく、いつもああなのだそうである。
 昼食時間。また地下食堂かと危ぶんでいたが、今日は市役所出てすぐの「カレーのモコモコ」(店名の由来が知りたい)へ行くことに。結構辛い中辛カレーを食べる。セルフサービスのウーロン茶を、前場君が吉田さんと私の分も持ってきてくれたことに、吉田さんが「やさしいじゃないの」と、たいそう感動していた。強引で我を張るタイプより、従順でおくゆかしいタイプを好む吉田さんだが、今回のインターンはまさしく理想的だったのではあるまいか。
 午後の部。会議再開。手はほのかにカレーのにおい。会議室はいつしか適温になっていて、すがすがしい。案の定、傍聴者は減少。眠気は増大。隣の席の中大生は鼻息をたてて眠っている。大物だ。
● 吉田
 私が傍聴席を見ていたのは、インターン生がちゃんと聞いているか、それが心配で後ろの傍聴席を見ていました。傍聴席の大学生の様子を心配する、親の心境と考えてください。
 こんなところで、そっと、自己存在をしようと思っても、吉田は見逃しません。確かに、インターン生の中には、「自分の主張」を私に吹きかけてくるばかりの学生もありますが、本来のインターン生は、議員の活動・行動・発言を内在的に勉強しようというものです。私のことだけでなく、議員・理事者・職員の対応、議員と住民の関係を様々に見ることが、重要な仕事と考えます。

◎ 山梨さん
 3時頃におおむね30分の休憩。自民党改め「まちだ新世紀」の部屋にお邪魔する。吉田さんはインターンを受け入れて3年近くなので、自己紹介なしでインターン生だとわかってもらえるのでその点楽だ。ある議員さんに、インターンの活動に対し「勉強になってる?」と尋ねられた。しかしながら今日一日を振り返ってみると、放心状態で座っていたというだけなので、肯定できなかった。
 休憩中の議員さんらの会話は、意外に庶民的であった。まず、菓子をよく食べる。
「あの人、会議中いびきかいていなかった?」
「選挙の順位、当選ギリギリだったよー」
これはまさに、
「あの人授業中いびきかいてたよね」
「この前のテスト、クラス内でブービー賞だったよー」
というような学生の会話と通ずるものがある。 
 ● 吉田
 インターン生は、そのとおりに、もう町田市議会では市民権を得ています。特に、私が所属する会派ではもう極当たり前の存在です。さらに、最初のインターン生は既に社会人です。地方公務員と働いている人もあり、民間企業でキャリアウーマン(男女雇用平等法のもと、現代ではなんと表現するのかな?)として、忙しく働いている人もいます。個人レベルでは、村上さんなどは、その名前を覚えている議員もいるくらいです。
 いずれは、私たち議会や議員のことを、卒論の対象にする人もでるでしょう。
 会議は真剣ですが、委員会の休憩中はややのんびりです。
 会派室で英気を養い、後の委員会にそなえます。
 その他の会話は、半分以上が冗談です。議員同士が、そんなことを本気でいうと大変です。

 では、次回はいよいよインターン体験の最終段階を迎えます。
 私にとっては、寂しい季節が到来します。