インターン記録レポート 3月下旬

町田市議会議員 吉田つとむ    2003/4/2日作成
インターン記録レポート (3月下旬
             インターン生 石田寛和     
           (2003年3月29日制作)    


● 石田寛和さん
 インターンを始め2ヶ月が経った。自分がインターン生としての新鮮味が少しずつ薄れてきたことを感じている。この状況が続いてはまずいと思っていた。そして改めて、気合を入れてのインターンが3月27日の本会議最終日だった。
 本会議前には、議会運営委員会があり、もちろん傍聴するつもりだった。しかし、電車が事故のため到着が遅れ、遅刻してしまった。職員の方に議運の傍聴券をもらったものの、遅刻した上で途中から入室することに一瞬躊躇した。しかし、インターンの1分でも無駄にはできないと考え、委員会室に入った。ある意味、インターン中に度胸がついたのだろう。
● 吉田 つとむ
 自分はインターンであり、「そうであるならば出来るだけ議員のそばにいよう」と言う、その決断が重要です。なぜなら、未だ地方議会の委員会には一般傍聴を認めていない自治体もあるようです。ましてや、議会運営委員会の傍聴を認めていない自治体は、まだまだ数多いのではないでしょうか。
 広島市の電子投票取材の際、開票風景をカメラ撮影した時を思い出してください。

● 石田寛和さん
 議運では、今日の議会の流れが説明されていた。この他では、本議会を担当する速記者が私と同じように電車事故により遅れており、代わりの別の速記者が議場に入り、本来の速記者が到着次第入れ替わるといったことまで報告されていた。こんな些細な事まで、議運では話し合われていることには少し驚いた。
● 吉田 つとむ
 こうした事態にどうそなえるか、議会事務局はマニュアルに沿って対応を考えます。必要なことです。しかし、議員の場合はそれぞれの個人によって、随分異なっているようです。私は、主に自分の勘(経験)で対応しています。速記者の存在は優先事項です。その優先事項が達成できないときは、事前の策としてどのようなものが取れるか?事務局と相談しながら、責任者は自分で判断していきます。会議の開催に関する最終判断の是非は結果責任であり、最終的には議長や議運委員長の責任が問われます。取りうる限りの手段を取って、会議に備えることが、皆さんの信頼を勝ち得ることと考えます。

● 石田寛和さん
 議運が終わり、私は足早に本会議場に足を運んだ。今日の本会議は、南大谷のマンション問題の請願が採決されるため、傍聴者が多くなることが予想されていて満席になる恐れがあったからだ。実際、傍聴席につくとまだ傍聴者は数人しかいなかった。今日も途中から人がどっと増え、どっと減るのかと思った。これは一般質問の時と同じように、傍聴者が利害関係を持つところのみ傍聴するのだろう。南大谷のマンション問題は、非常に難しい問題だが、この問題については別にレポートを作り、自分なりの考えをまとめてみようと思う。
● 吉田 つとむ
大半の傍聴者の関心は、自分に利害関係がある話題ののみと言うのが現実です。今まで、一度も議会とかに来たことが無くとも、こうした自分の生活利害となると、問題は別と言うのもこれまた自然なことでしょう。
 当日の傍聴席の人の多い・少ないということも、日ごろの議会と同様でした。
マンション建設反対請願は、この3月議会の大きな話題でした。是非、レポートを書いてください。

● 石田寛和さん
 本会議では、これまでに議会の各常任委員会で話し合われた議案と請願の経過説明が各委員長によって行われ、議長によって質疑、表決が行われた。経過説明は、議案・請願内容の説明と、それに対しての議員の質疑内容を報告するようだ。これだけで30分以上はかかっていた。少し長いのではと思った。特に文教生活と都市環境は長かった。報告は原稿を棒読みするだけなので、眠気に誘われてしまった。
 経過説明の後は、質疑を取る。ここでは反対意見や賛成意見を言うことが議員はできるようだ。ここで意見を言うならば、委員会で最初から言えば良い事ではないかと私は思った。ある議案に対して、党あるいは一議員としての意見を傍聴者に対して改めてアピールしたいのだろうか。
● 吉田 つとむ
 この点では、石田さんが委員会の審議を誤解している点があります。町田市議会では、議案はまず本会議に上程し、それに質疑を行います。ただし、その際はその議案を審議する担当常任委員会の委員は、本会議では質疑を行いません。(委員会のメンバーは、その委員会で詳しく質疑できるので、本会議では自粛すます。つまり、担当委員でない人が、最初の質疑に日に質疑をしています。(今回は、その日には石田さんは傍聴していませんでしたので、その光景を想像できないのでしょう)
 実際には、それぞれの会派で、自分の会派議員からその委員会での審議状況を聞いているはずですが、委員長の報告で賛否を決めるのが、議員としての本筋でしょう。さらに、市の職員や傍聴者にも、審議経過を明らかにすると言う手法は、大切な議会審議の過程と考えます。ただし、どこまで詳しく報告するべきか、これはそれぞれの自治体議会の伝統によります。
 委員長報告に対する質疑は、これまた一定のルールがあります。
 委員会で討論の発言した人と、本会議で討論した人は、通常別の人がやります。特に、私が反対討論したマンション建設反対の請願では、委員会の審議では全員が賛成であったというのが、委員長の報告です。しかし、審議経過を聞くと、そのマンション建設反対と言う請願には賛成理由を見出せない、と言うのが私の(請願に対する)反対討論の主旨でした。
 私の後に、私と同じ会派の斉藤議員から、賛成討論があったことは通常では考えられないことです。その賛成討論では、町田市の対応を厳しく責めていました。討論では、共に町田市の対応を批判していましたが、民間のマンション業者をそれほど批判していなかったのではないでしょうか? 再度、思いこしてください。

● 石田寛和さん
 具体的な内容では、町田市は医療費や教育費の予算を削減する一方、市庁舎建設を推し進めていることは、非常に問題だと思った。今現在、市庁舎を建設するために多額の経費を要する必要があるのだろうか。
● 吉田 つとむ
 これについては、微妙な見解が生じてきます。市長に言わせれば、市役所の新庁舎建設は長年の課題で、どうしてもやらないといけないことだとしています。現実には、まだ多額の出費をする段階には至っていません。基本的な構想を外部に委託しようと言う状況です。

● 石田寛和さん
 質疑の後は、表決を取る。これは議長が順番に各議案・請願ごとに採決を取るのだが、それごとに議員は起立と着席を繰り返す。想像することは出来た光景だったが、少し間抜けに見えてしまった。(失礼な言い方ですみません。)採決を取る最中に席を立ち、傍聴席から見えなくなってしまった議員がいたが、これは棄権ということなのだろうか。どのような理由で棄権する必要があったのだろうか。また、会派内でも賛成と反対の意見が異なる場面が何度か見られた。各委員会では会派内の協調を重視していたように見られたのだが、本会議での採決では関係ないのだろうか。不思議に思った。このような場面がある一方、本会議中には会派内での伝達が何度か見られた。傍聴席からでは内容が聞こえないが、議員は前後左右の同じ会派の議員とヒソヒソ話をしていたり、筆談をしていた。いったいどのような内容を、どのような理由から話し合っているのだろうか。
● 吉田 つとむ
 採決の方法は、いろいろあります。全部を記名式にする方法では、一人づつの議員が、壇上に出向いて投票箱に青・白の札を入れることもあります。こんな方法で、全部の議案を決めていくのは大変手数がかかることなので、滅多なことではこの方法は採用しません。
 一方で、全員が賛成の見込みのときは、異議なしとする方法もあります。そのような採決方法を多用しているところもあるようですが、町田市では出来るだけ「異議なし」の手法をとりません。

 議会運営委員会の協議の場合は審議方法などを協議しているのであり特別です。議運では、その取り扱い件数で、異議なしの方法が大半です。

 審議の最中に、議場から見えなくなった議員は、採決に対して、あえて「棄権」の立場を取りたかったわけです。請願の採決などで、稀にあります。
 議案に対する賛否では、出来るだけ同一歩調を示そうとしています。しかし、組織政党(公明党・共産党など)と言う組織以外の(政党所属・無所属)議員は有権者からそれぞれ独立して選出されるものです。また、ローカル問題では、所属政党の上部機関が全ての方針を示せるわけでもありません。むしろ、それぞれの議員が、そこの議会で考えて方針を出します。
 その結果、同一会派であっても、賛否がそろわない時があります。
 本会議場で、会派内でメモを回すのは、突然、自分が討論をしたくなった場合などや、どうしても賛否を変えたい時に、緊急にメモを回し、自分の意思を伝達しています。それに対して、「だめ」と言う、メモを回すこともあります。短時間の中での行動であり、一瞬の判断力が問われることがらです。特に、「動議」や「議事進行上の発言」の意思表現は、それを出す議員側の能力も問われます。
 
● 石田寛和さん
 各議案・請願の後、議員提出議案の質疑と採決が行われ、議会は終了した。時間は5時少し前。時間的に非常にボリュームがあった。会議日を増やすなどをして、時間を短くすることはできないのだろうか。一般市民は、最初から最後まで聞き通すほど、時間を取ることは出来ないと思う。また、多くの市民が傍聴するためには、議会のインターネット中継が望ましいと思った。ブロードバンドの常時接続等の環境が必要といったインフラ面で問題はあるが、これなら多くの市民が、気軽に傍聴することが可能だろう。またこれによって議員の意識改革ができるので、なお良いだろう。
● 吉田 つとむ
 これは、むずかしい提案です。会議の日程を増やすことは簡単ですが、それによって事務局や職員を会議に拘束することになります。議論も重要ですが、物事を効率的に決定することも同様に重要なことです。
 議会の審議を知ってもらうには、TV中継がもっとも簡単な方法です。特に、インターネット中継は、リアル中継だけでなく、過去の記録も見ることが出来るので、有用な方法と考えて、その実行を推進してきました。ブローバンドの普及は、そのことをさらに加速してくれるでしょう。

● 石田寛和さん
 一般質問や各委員会を含めて傍聴し感じたことは、気軽に傍聴できるシステム作りが必要だと思った。わざわざ市役所まで足を運び、長い時間を費やすには、非常に労力がいると思う。各市民(今議会では南大谷の方々のような)は利害関係がない限り、足を運ぶことはないだろう。傍聴席でずっと座って聞くより、傍聴席とは別にカフェのようなものを併設して、コーヒー片手に気軽に会議を聞ける部屋なんてのがあったら良いなと思った。
 市民が気軽に議会を傍聴できるようになるには、まだまだ多くの問題があると思った。吉田さんの下でのインターン経験から、議員がどれだけの時間と手間を惜しまずに委員会や質問作りをしているのかを見学できた。それだけに、生での議会の傍聴者がもっと増えればいいと思った。議会後の広報誌を見るだけでは不十分だと思うし、会議録を見直すのも手間がかかると思うのでなおさらだ。選挙で一票入れたらそれで終わりでは問題だと思う。
 議会を一傍聴者としてと、インターン経験によって議員の立場からの両方から見れたことは有意義だった。まだ市民と政治・行政の溝は大きいと思った。政治がより身近になって、この溝が少しでも小さくなるように期待したい。また、今度は私の地元の市議会も傍聴し、町田市と比較してみたいと思った。
● 吉田 つとむ
 身近に、インターン生として、私の活動を見てくれた石田さんのレポートは貴重な存在となるでしょう。さらに、議員が会議の前後やはざまで、議員同士がどのような行動を取っているか、会派内部、会派以外の議員への対応、直接の会話を見ることは出来なかったでしょうが、その経過は予測できた面があるでしょう。
 それ以上に、メディアの風評と、われわれの行動・調査・発言がどのような関係にあるかも、その一端を見ていただいたと考えます。もとより、それを十分に説明できたとは思っていません。