インターン記録レポート 川戸 裕美子 第16日目
町田市議会議員 吉田つとむ    2003/9/19 作成
 川戸 裕美子 3年 2003/9/16  到着
主要研究項目
 インターン感想文 (平成15年9月16日)
  記 事 本会議一般質問(質問と質疑の関係)

<見だし>
● 川戸裕美子さんのレポート
● 吉田つとむの回答

インターン 第16日目(H15 9.16)レポート

                     川戸 裕美子

◎ 川戸 裕美子 さん
 先日、私は議会の一般質問を傍聴の際に疑問に思うことがあり、その日のインターンレポートの中で吉田さんにお尋ねしました。それは、一般質問を行っていた議員さんが「請願内容と重複している」と他の議員さんに指摘され、その後の質問を自粛したという場面です。議会終了後に質問をしてもよかったのですが、レポートのネタにしようと思い、その場での質問は自重しました。
● 吉田 つとむ
 簡単に答えを得ようとしなかったことを、うれしく思います。なぜなら、インターン生の川戸さんに私が答える一方で、この記事を他の人にも見てもらいたいと考えるからです。

◎ 川戸 裕美子 さん
 そしてこの質問に対し、吉田さんは憲法の条文まで用いて、丁寧な回答をしてくださいました。簡単に言えば、「請願権という国民に享受された権利に際し、その内容と重複する質問を行うということは、国民の請願権を損なうことになりかねない」ということことでした。しかし、吉田さんによれば、請願の提出締切日と議員さんの一般質問の項目提出日が異なっているために、両者が重複する可能性も否めないとのことでした。事実、今回の本会議ではこのような事態が起きたわけです。
● 吉田 つとむ
 請願の提出者から見れば、自分の請願を議会で審査してもらう権利があります。その請願内容と同趣旨の一般質問が行われると、そうした「請願権」を損なう可能性があるという解釈がなりたちます。他方でも、その請願を審査する担当常任委員会の委員にして見れば、自分の役割が侵食されることになるわけです。

 しかし、一般質問を行う議員から見ると、
  1.自分がせっかく市政の話題を収集し、
  2・議会の質問の形式にまとめる作業をして、
  3.そのタイトルを既に議長宛に提出しているのに、
  4.あとから提出された「請願」の内容によって、自分の質問が制約されるようでは、一般質問を行うと言う議員の重要な仕事が制限されたことになる。
 ことになります。

◎ 川戸 裕美子 さん
 このような事態に関し、今日の午前中に開かれた議会運営委員会では、議員さんのほうから「議員の一般質問が、請願内容とかぶることがないよう日程等を工夫して欲しい」との意見が出されていました。このことは、議運でも従前から議題となっていたようですが、このような事態が再度発生したという事実を考慮すれば、今後改めて協議を行うべき問題であると思います。
● 吉田 つとむ
 その日の夕方に開いた議会運営委員会で、その問題を正式に取り上げることに決めました。こうした新規の話題は、それぞれ各会派に持って帰り、協議を行います。各会派で協議した結果を持ち寄り、再度議会運営委員会の委員が議論をします。テーマによっては、簡単に結論が出ることもありますし、そうでないこともあります。

 参考に記すと、以前には、数年間もの期間も結論が出ない話題もありました。

 今の議会運営委員メンバーに代わった昨年の3月からは、かなりのペースで諸課題に結論を出してきました。その主な内容を順不同で書くと、代表質問制は導入しないこと、一般質問を往復1時間制の実施、議会へのネットパソコン導入促進し実現したこと、議会のインターネット中継導入=この12月実施まで進展、質問通告書提出のメール送信を可とした、決算審査の手順変更、委員会開催の手順、ネット議事録の検索システムの実施確認−この12月に実施予定、議会だよりの編集方法改定等などです。

◎ 川戸 裕美子 さん
 さて、今日の日程は9時半から議運の傍聴、10時から本会議(質疑)の傍聴をしました。本会議終了後には、傍聴はできませんが決算委員会、その後に代表者会議、最後に本日二度目の議運、と議員さんには会議のオンパレードといった日程となっていました。インターンをしてわかったことなのですが、様々な議会の合間や昼食の時間などを割いて、幾度となく会派内で話し合いが持たれたりと、本会議の開会中はほとんど休む間がないようです。正直なところ、今まで議員さんといえば、選挙中の活動やお祝いの席に登場するようなイメージしかなかったので、このように懸命な姿は、私の中にある議員さんのイメージを一気に払拭することとなりました。
● 吉田 つとむ
 こうした時間を、川戸さんは会議の「傍聴」と、「待機」で過ごしました。その間に、事前に作業を頼めるときは良かったでしょうが、ただただ待機の時は退屈したでしょう。そうした時は、誰しも合間に本でも読んでもらうしかありません。そうした時に、どのように時間を過ごすか、インターン生においては、それも自分で対応できるようになってほしいと思います。

 それにしても、こうして定例議会の最中にインターンを務めると、議員の活動がどのようなものか、直にみることが出来るでしょう。議員は、会議で自分や会派の態度を表明したり、賛否を表す必要があります。そうした場面に適切な判断をするために、情報分析を行う会派の協議が重要になります。

 また、一方で、それぞれの会派にとっては、他の会派の動向を確認する必要があります。さらに、議長・副議長の意向を考慮することは、さらに重要でしょう。そうして、背後では、事務局の判断、情報収集を絶えず確認する作業があります。そのために議会の定例会開催期間は、議員をサポートする立場の議会事務局の幹部職員をはじめ、担当職員の皆さんは、食事を十分に取ることも出来ないことも往々にして発生します。

 一般に、公務員の仕事はのんびりしているとも言われますが、われわれ町田市議会の職員は、決してそんな時間は許されません。他の部署に移動した職員の皆さんは、ある意味では、ホッとした印象を持つかも知れません。(こういうと、議会以外の部門の職員の皆さんに、言いすぎかな?)

◎ 川戸 裕美子 さん
 最後に、"一般質問"と"質疑"の違いについてお尋ねします。今日の本会議では"質疑"が行われました。前回のレポートに対する回答の中で、一般質問は、請願の内容以外に「条例や予算に関する議案」ともその内容を異にしなければならないとのことでした。また一般質問については、一人の議員さんに一時間という長めの持ち時間が設けられていましたが、"質疑"においてはかなり短い時間の中で行っていました。質疑の際は、個人の持ち時間について特別規定はないのでしょうか。また、議員さんが質疑の途中に「それは質疑ではなく質問だ」と他の議員さんから指摘を受けている場面がありましたが、それは単に一般質問と内容が重複していたからでしょうか。その議員さんはかなり長めに"質疑"を行っていました。説明よろしくお願いします。
● 吉田 つとむ
 地方議員にとって、本会議の一般質問(=議会によっては個人質問と言います)の発言は、議員にとって最も重要なことです。質問は自由にテーマが設定でき、市長に向かって、1対1の対応が出来るからです。時に、町田市議会では質問回数が無制限のため、質問の応答で議員の資質、特性、能力が発揮される度合いが大きくなっています。

 さらに、この一般質問では、市長などにテーマに沿って、疑問を質すことも、自分の提案に対する答弁も求めることも出来ます。ただし、提出されている議案(予算案、条例案)内容や請願内容には、踏み込まないことになっています。

 他方で、本会議質疑は、議案(予算案、条例案)に関して、その内容を質すすことが出来ます。自分の提案を主張したり、議案に自分の賛否を示すとは、認められません。時には、細かい内容まで踏み込むこともあります。最終的には、その後に付託する常任委員会に、その後の審査を任せます。こうした時に、所属会派議員の連携が重要になります。

 次に、時間の制限に関して記述します。他にも書きましたが、町田市議会では、一般質問に時間制限を設けています。以前は、議員の質問時間のみで40分であり、理事者の答弁時間は無制限でした。今日では、会議をスムーズにするため、質問と答弁の合計を1時間としています。ただし、その回数に制限は一切ありません。

 他方の本会議質疑は、時間制限はまったくありませんが、壇上の質疑を含めて3回のみです。質疑のやり方では、それほど問題点を具体化できないうちに、それが終了することもあります。質疑では、自分の主張は出来ないため、それをやると、野次が飛ぶこともあります。

 川戸さんの最後の質問ですが、質疑の時間が長めであった議員の質疑が、一般質問の範囲に及んだかどうか、それ自身の解釈は、それぞれの立場で異なるでしょう。現に、ある議員が野次を行っても、質疑をしていた議員の態度は変わらず、回りの議員も必ずしも同調していませんでした。本当に、そのように議員が思うのであれば、「議長!動議」と言って、その発言を訂正させること、取り消しを求めることも可能です。

 厳密には、その時々、人によっても、その解釈とタイミングが変わると言うのが、私の最終的な見解です。やはり、場数を踏んだ経験がものを言う時があります。

 
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