はるばる長野まで、県知事選の応援に行ってまいりました
                                 市議会議員 吉田つとむ     
  インターン生  嶋川 亮

● 前書き
 長野県知事選挙の応援のため、私に同行した、インターン生嶋川亮さんの現地レポートです。望むべきは、選挙の結果が出る前にこのレポートを出してもらいたかったのですが、その日は過ぎてしまいました。メジャーな候補を追ったわけでなく、選挙としては変わったレポートになっていると思います。
 なぜなら、私が応援に行った人は、その前日に立候補を辞退し、結果的に私は誰も応援することなく、選挙の観察者となってきました。
 そうした意味でのレポートです。

● 現地撮影写真

 長野県知事選挙の現地撮影写真 (平成14年9月7日アップ)

● 本文

嶋川さん
8月15日、はるばる長野まで、県知事選の応援に行ってまいりました。この日が選挙告示の日でした。僕は13日に岐阜の実家に帰省し14日に富山の親戚宅に行っていたので、そこから駆けつけ(毎日越境してましたね)、吉田さんは町田から駆けつけ、遠く長野で落ち合ったのでした。1泊2日の大研修です。
わーーい、選挙の応援に行ける、とはしゃいでいたんですが、家族に「誰の応援なの?」と聞かれ、はっとしました。そういえば誰なんやろ。全く何も考えてなかった。新聞もテレビも見ないバカ学生なので、何も分からんし。
それで、富山からの電車の中で、「誰なんやろーな〜??ま、誰でもいいわ」とのんびり考えながら長野に向かってきました。長野に着くと、吉田さんは既に着いていて、待ってくださってました。

● 吉田
 プロローグ
 8月15日に告示された県知事選挙で、二期目当選を決めた田中康夫長野知事、ライバルにダブルスコアーの圧勝でした。相手候補が墓穴を掘ったというべきか?

 さて、私は、その週の初めには、友人の議員等と打ち合わせ、応援する候補者の、「出陣式」に出るつもりでいたのです。長野には、嶋川さんとの待ち合わせ時関より、3時間も前に到着する計画を進めていました。すでに、13日には自分で手配した切符とは別に、指定席券が用意されていました。

 ところが、8月14日の午前中には、その候補者は「立候補辞退」の立場に変化したようでした。その結果、私と一緒に行く予定の人たちは、選挙の応援をする相手がいなくなり、私を除いてその計画を取りやめました。私は、とにかく長野にいこう!でした。

 いずれにしても、吉田はインターンの嶋川さんと落ち合う時間より、予定を早めて現地に到着。
早速、候補者の一人である市川周氏と出くわした。その市川さんは、ただひたすら長野駅界隈を歩いている様相であった。1−2人のスタッフらしい人物が同行していたが、ビラ(県知事候補は、個人名を記さない確認団体の選挙ビラが認められている)を配布する様子も無かった。少なくと,有力候補が出馬を明らかにした状況下、どのような展望をいだいていたのだろうか。メディアの人物が、2−3名同行していた。(本人以外に、同行者&記者で4名だった)

 話しによると、田中康夫候補には、宣伝カーに後続するメディアの車両だけで十数台が張り付くということから、逆に市川候補などは、明日以降はもっとわびしい選挙戦が行われるだろうな?と思った。
ちなみにそれは、自分が衆議院議員選挙を2度挑戦した経過から、弱い候補がどのように取り扱われるか、容易に推測できることであった。いわゆる弱小候補の場合は、「この人は、泡沫候補」の烙印を押される!(厳しい世界である)

 その後、県庁の所在地を地図で確認し、さらに立候補予定であったが、その前日に立候補を辞退した人の事務所を探索した。事前の情報で、駅前(と聞いていた)の元パチンコ屋さんが事務所とのニュースであったが、実際には、駅から500メートル、繁華街としては場末(失礼!)位離れたところにあった。遠くから中の様子をうかがい、人がいることを確認し、嶋川さんと待ち合わせした長野駅に引き返した。
 
 
嶋川さん
改札で出会ったとき吉田さんの第一声は、こうでした。
「実は私が応援に行くはずだった人は…出馬をとりやめました」
がくっ!こけそうになりました。
「まあ、せっかく長野に来たしゆっくりしましょう」
はあ…
まずは、出馬をやめてしまった花岡さんの事務所に向かいました。交番で場所を聞き、行ってみると、そこは既に廃墟でした。
事務所の看板も下ろされ、大量の資料がゴミ袋に詰めて捨ててありました。なにもすることのなくなった我々は、事務所をバックに吉田さんの写真をササッと撮って、逃げてきました。中に人がいて、不機嫌そうな顔をして後片付けをしていたので、***(注:適切な言葉でない判断し、3文字を吉田が伏字にした)そうでした。写真はホームページに載せるそうです。

● 吉田
 私が、選挙の応援に行こうとしたのは、選挙の前日に立候補を辞退した花岡信昭氏です。私が到着した時点で、この花岡氏は、田中候補の有力対抗馬候補と見なされた長谷川敬子氏を応援する立場に変わっていました。

 自分が立候補しないなら、誰かを応援するーーー辞退候補者の取るべきスタイルとして・・・・。これは、戦いの中で当たり前のことですが、それを審判するのは選挙では有権者です。メディアの一言がその是非を左右し、ライバルとその陣営は、そこに付け入ります。辞退にあたって、密室の中でどのような協議がなされたか、候補者同士が握手をしても、それで納得するような日本人はいないのではないでしょうか。

 吉田は、陣中見舞いを用意したのですが、立候補をやめた陣営の事務所において帰るのも合点がいかず、そのまま持ち帰りをするはめに陥りました。「戦わずして退く」候補の事務所が、どういうものかと考え、写真をしたためた次第です。


嶋川さん
花岡事務所から次の目的地県庁に向かう途中、他候補の遊説が聞こえてきました。「羽柴秀吉を、よろしくお願いします…」
羽柴秀吉!!こんなとこにもいたのか! ん…??なんかおかしいぞ?秀吉の選挙カー、どこを走っているんだろう?
声の聞こえてくる方向が、右からのようにも左からのようにも、前からのようにも後ろからのようにも聞こえてるのです。
と、ゴーーーーッというでかい音とともに、空中を飛行機が飛び去っていきました。
秀吉のやつ、なかなかやりおる。あっぱれなやつ。空中作戦を用いていたのです。しかし迷惑な男じゃ。
あれは公選法違反ではないのか?てことで、県庁に入って、(*嶋川さん本人がこのよう記しました)課の職員の方に、吉田さんがそう尋ねました。
ロボっぽい顔をした職員がでてきて、ロボットのような答えをしてきて、挙句の果てに、「私どもの担当ではありませんので**(嶋川さん本人がこのよう記しました)課へ」と回されました。
講堂に降りて、出馬の受け付けを見学し、そこの係員にさっきの質問をすると、連呼行為が違反であって飛行機を使うのは違反でないという説明を受けました。秀吉セーフ!

● 吉田
 せっかく選挙の現場にきたのですから、珍しい行為―――「セスナ機による、空からの選挙運動」がどのようなものか、選挙管理委員会に職員はどのように把握しているか、私は自分で確認した次第です。
 なにも羽柴誠三秀吉候補の、その行為を追及しようという意味はありませんでした。ユニークな戦法を、自分に取り入れる方法はあるか、高い旅費を使って東京都町田市からやってきたのですから、そうした手法が果たして反響はあるか、改めて見極めたいと考えました。

 「セスナ機による、空からの選挙運動」は確かに目立ちますが、知事選挙クラスでは、メディアがその候補をどのように判断し、どのように広報するか、その勝負でしょう。翌日の新聞をみても、ほとんど羽柴候補は記事になっていませんでした。ですが、青森県で大きなホテルの経営する人としては、かなりの名前が知れたのではないでしょうか。羽柴候補は、何度か大きな選挙に出た方ですので、選挙で票は集めなくとも、観光客をホテルに誘致する能力は優れているのではないでしょうか。知事選クラスになると、選挙の供託金を含めて半端な金額では選挙が出来ません。

 そうした意味で、長谷川敬子氏は、実質的に組織に担がれた候補。選挙費用の大半は、自分が負担したり、集めたりしたのでなく、実質的には「連合・県会議員団」がになったのであろう。なぜならば、選対方針を本人がしらないことがたびたび起きていた。組織選挙、動員選挙であったのであろう。


嶋川さん
と、係員がひとり走ってきて、べつの係員に声をひそめて、「来ましたよ!」言いました。すると係員のあいだにどよめきが起こりました。
誰だ?誰が来たんだ?まさか田中康夫が見れるのか?
すると、初老の男がひとりどかどかと入ってきて、受付所に向かっていきました。そこでその男と係員とがなにやら言い合ってもめています。
そしてしばらくやり取りが続いた後、その男ついにキレました。
「もうええわい!なにが書類じゃ、わしが出るといえば日本国民みな分かるわい!!」
とか言いながら出てきました。ところが勢い余って鞄を忘れてしまったらしく、係員が慌てて届けにきたのを「いらん!!」とか言って振り捨てて行ってしまいました。
どうやら必要書類も何も持ってこずにいきなり出馬すると言ってきたチョット変わった人のようです。大ボスがこの目で見れるかと一瞬期待した僕が愚かでした。泡沫も泡沫、ミジンコ候補でした。

僕はこの男、ただの変な人だとしか思いませんでしたが、吉田さんの目は違いました。必要書類である戸籍謄本を持ってこなかったのは、11桁の番号で情報を把握できてしまう住基ネットへの皮肉ではないか、と。でも吉田さん、さすがに深読みしすぎでは?

● 吉田
 改めて考えると、選挙の届出所に来て、大声を出していた人物は、最下位の結果に終わった福井富男氏の可能性もあると考えた。嶋川さんに言わせると冷ややかだが、吉田は深読みで、立候補辞退の人物の応援をしようという愚か者なのです。メディアの冷たい目を見ていると、この老人に拍手を送りたい気になってきました。しかし、今回は観察者の立場に固持しました。


嶋川さん
おかしな人を二人見たあとで、タクシーを拾いました。なにをするかと思ったら、各候補の事務所を撮影してまわるとのことです。タクシーで事務所を順番に回ってもらって、吉田さんが「ここでUターンしてそこの建物の左に着けてください。あ、もう少し後ろに…そう、そこでいいです」
とか言ってタクシーを動かしてもらい、僕がシャッターを切りました。
この二人組、怪しすぎる!!探偵の出来損ないみたいです。最後の田中康夫事務所はタクシーを降りて、徒歩で撮影しました。今度は吉田さんが入って撮り、フィルムが余ったので僕が入って撮り、さらに余ったので、選挙の掲示板の空欄に自分の顔を入れて撮ってきました。今日はとんでもなく怪しい二人組でした。
することは終わったので、あとはフィルムを現像し、予約してあった宿に入りました。それはそれは立派な宿でした。

● 吉田
 確かに、選挙事務所の前にタクシーを留め、遠くから事務所の写真を撮る。誰が見ても怪しい姿です。

 嶋川さんには十分に説明していませんが、事務所の良し悪し、陣営の内情をその顔立ちから判別できます。そのために、カメラも持っていきました。
 羽柴候補の宣伝用セスナの機影を撮影できたのは、私にとってスクープでした。
 この選挙事務所まわり部分は、実際に撮影した写真でその記録とし、写真撮影の腕前(?)も同時に評価を受けましょう。

 宿については、Cクラスを選定しました。確かに料金並みの程でしたが、夜眠るだけですのでアレで十分です。ホテルを事前に手配しているだけで、珍しいことだと思ってください。地方の友人は、吉田のそうしたスタイルを十分ご存知です。あの時期なら、野宿でもいといません。


嶋川さん
続いて、喫茶店に入って、パソコンでレポートを書くように言われました。これまで全然レポート書いてなかったので。
でも全然進みませんでした。遅筆で…

吉田さんがこう言いました。「そういえばガラス張りの知事室というのを見なかったなあ…」
県庁にいたとき僕が知事室を見たくてずっと言っていたのに!吉田さん僕の話もきいてくださいよ!

今日はG角で焼肉をご馳走になりました。アルバイトの店員が、これまたロボットみたいな顔をして、「イラッシャイマセコンバンハ!」と、「いらっしゃいませ」と「こんばんは」を合体させてしゃべり、頼んだものを持ってくるときも、机の上が狭いっちゅうのにどんどんどんどん持ってきます。2人でひそひそとケチをつけまくってました。

店員さんはロボットでしたが、しかし人間がちゃんといました。
相席になった男女2人連れと、仲良くなってしまったのです。こちらを親子だと思っていた(!)そうで、「研修生です」と明かすと、「師弟関係ですかー いやー 学ぼうとする姿勢がすばらしい!勉強しようとする気持ちって大事だよね」と、なんか妙に感心されました。いや、その、ごめんなさい、ほんとはこんなアホで。それにしても面白い人たちでした。いとこ同士だそうで、人生を熱く語ってました。「日本人てやたら自分とか他人の悪いところを治そうとするよね。でもそれおかしいよね。自分のいいところを伸ばして、悪いところを補って余りあるくらいにすればいいんだよ」
とか、「行き詰まったら、上を見てごらん」とか。なんか今も、この人たちの話を思い出して救われることが多いのです。

彼らの実家が戸隠と長野で蕎麦屋さんをやっているそうで、今回は行けなかったけれども、今度長野に立ち寄る機会があったら絶対行こうと思ってます。

G角のあとはマンガ喫茶に入ってインターネットです。吉田さんはいつでもどこでもインターネットを欠かしません。こんな遠い出先の長野でもみっちり2時間掲示板と格闘。びっくりです。
吉田さんの1日はインターネットに始まってインターネットに終わるようで、11時ごろにマンガ喫茶を出て今日はおしまい、宿に戻ります。ほんとに寝るだけの宿でした。
長〜い1日でした。

● 吉田
 そう言えば、かの有名な「ガラス張りの知事室」をみませんでした。訪問した県庁の1Fにあるのにそこに行かなかったのは、我々くらいなものでしょう。それがまた、記念と考えてください。

 夕食は、吉田にとってかなり豪華に行きました。嶋川さんも書いているように、私にとっては、その店でであったお二人に印象が残っています。信州は蕎麦の里、実家はお蕎麦屋さんとのことでしたね。
 また、その人から、「コーチ」という職業が、スポーツ以外にあるのを初めて知りました!
また、会話によって、食事も美味しくいただけました。
 夜はインターネット、どこに行っても「ネットカフェ」で、ひたすら様々のHPをみて回ります。そして、その印象を自分のHP掲示板に書き込んで一日が終了します。


嶋川さん
翌朝は8時に起床、一緒に善光寺を観光してきました。せっかく昨日向学心を誉められたことですので、ちょっと議員

インターン生らしく質問してみました。
「賽銭を投げても政教分離とか問題ないんですか」と。答えは、自分が選ばれた町田市ではないので、良いのだそうです。国会議員の場合はどこの寺や神社でもだめだとか。

そして、吉田さんに学業成就のお守りを買って頂いてしまいました。僕がそれだけ前途有望だということでしょう、ありがとうございます、このお守りの力で、なんとか進級してみせます!

午前10時に長野駅に戻って研修は終了、お別れです。と、迎えついでに長野に遊びにきた家族と、吉田さんが会ってしまいました。恥ずかしい!では研修はまた来週に。

P.S.田中康夫が圧倒的差で当選したそうですね。

● 吉田
 おいおい、選挙の結果くらいは詳細を確認してよ。特に、下位の候補者の結果にも、ミジンコにだって目配りしてください!

私は、最近の選挙で、神戸市長選で最下位になった上野泰昭候補(阪神大震災の被災者救援運動リーダーの一人。国への救援を求め、厳寒の日比谷公園で座り込みなどに同行)の応援に行きました。千葉県知事選挙に立候補し、最下位となった門田正則氏(サラリーマン新党と言う政党で共に候補者――落選――となったり、船橋市議を2期務めた人物)の応援に駆けつけていました。

 「神社への賽銭」、この課題にはそのように答えましたっけ、神社への寄付は間違いなく選挙違反に相当します。
 神社のお札類を買い求める行為は、違反になるとは思えませんし、神社の祈願は料金表が明示されています。これも、OKと考えます。拝殿で、拍手を打って祈念をする行為の際、ささやかなお賽銭を投げ入れるのは、買収とはいえないでしょう。神様へのお願いの一つだと思います。

 善光寺はお寺なのですが、全体は巨大な神仏を祭った聖域でした。あちこちに、仏や神様が祭られていましたが、そうした中で文殊菩薩をまつったところで、お札を求めたわけです。良く考えると、自分のものを買い損ねました。もっとも、それを必要としているのは、自分かも知れません。

 最後に、ご家族の方と突然にお会いしたのですが、あいさつもそこそこ、嶋川さんに気を使い、私はそそくさと、また駅の外に向かいました。

参考:得票数
候補者氏名得票集
田中康夫
822897
長谷川敬子 
406559
市川周
24261
中川暢三
15255
羽柴誠三秀吉
9061
福井富男
2058