広島市長選挙の電子投票とその開票状況を現地取材したレポート〔石田寛和さん)
                                 市議会議員 吉田つとむ     
                        インターン生  石田 寛和

電子投票の現地見学

(1)前置き(吉田)
(2)電子投票―――電子投票の状況を現地見学した報告
(3)電子投票レポートの続きーーー電子投票の開票状況を、現地で見学した報告
(4)必要な書き込み(吉田)

● 前置き
 
 インターン生の石田寛和さんが、私に同行して.広島市長選挙の電子投票を現地取材した際の文章を掲載しました。最初の「電子投票視察」は、出先のネットカフェから、私の掲示板に書き込まれたものです。後段の「電子投票のレポートの続き」は、2月11日に提出されたものです。
 全体として、よく状況をつかんでいると考えます。細かいところでは、若干の問題や付け加える点が必要ですが、まず1点のみを指摘しておきます。
 それは、電子投票を記念したお土産販売のことです。石田さんの記述では、「お土産の多くが売れ残っていて、しかもそのお土産は賞味期限が近いということもあって、気の毒に思った・・・・」とありますが、「お土産の多くが売れ残っており、しかもそのお土産は食品と言うことで賞味期限が設定されているため、気の毒に思った・・・・」に訂正して、読み込んでください。
 前段に書いたように、私がレポートを書くより、上手にまとめています。

(2)電子投票―――電子投票の状況を現地見学した報告 (個人のレポート部分にも掲載)
 2003年2月2日広島県広島市安芸区で、全国では2番目、政令指定都市としては初めて電子投票が行われた。安芸区での電子投票は、全部で17カ所の選挙所で時間は7:00〜20:00である。
 昼前に現地の開票所である安芸区民文化センターに到着した。報道プレス席には、若干の報道陣がいたものの、吉田さんが言うには前回の岡山県新見市の時に比べだいぶ少ないようだ。この時の雰囲気は、特に平時の選挙とは何も変わらないと思った。
 まず、報道陣や視察団に開放している投票所の船越小学校へ向かった。投票所前では、杏林大学の学生がアンケート調査を行っていた。一人一人にアンケートを熱心に取っていて、感心した。杏林大学の学生は、前回の新見市でもアンケートを行っていたようだ。
 次に向かったのは、船越西部保育園である。ここは、報道陣には公開していない所である。あえて公開している投票所、非公開の投票所を両方査察するスタンスは吉田さんらしいところである。ここの投票所の入り口には段差があり、バリアフリーにするためにスロープが設けられていた。
 その後、夕方になり再び開票所に戻った。昼前に到着したときより、報道陣や査察団の数もだいぶ増えてきた。

(3)電子投票レポートの続きーーー電子投票の開票状況を、現地で見学した報告
・電子投票体験
 広島市市長選の安芸区の開票所は、安芸区民文化センターである。現地には、電子投票の体験コーナーがあり、安芸区住民以外の一般人、報道陣や視察団でも電子投票を気軽に体験することができた。早速、私も体験してみた。
 体験をしてみての感想は、投票は非常に簡単で、操作もわかりやすかった。投票機は、意外と小型であった。画面はタッチパネルで、専用のペンを使っての入力だ。銀行のATMのようなものだった。画面には、候補者一覧が表示される。そして、その中の1人を選択し、画面にペンを触れさせる。例え、この時に選択を間違えたとしても、確認画面に変わるだけなので変更は容易に可能である。
 投票開始から、投票終了まで最短で20〜30秒くらいだろう。私は、ATM、自動販売機などの電子化されたものに慣れ親しんでいるので、電子投票は非常に簡単と思ったし、時間もかからないので良いと思った。しかし翌日の毎日新聞(2003年2月3日)によると、有権者の意見として操作がわからず、選挙事務員の助けを求めた高齢者が少なからずいたことも事実である。このような問題は、今後の操作方法をよりわかりやすく市民に広めるなどの努力によって改善されるだろう。

・開票時の風景
 開票は、21:20からということになっていた。それまで時間があったので、私はホールの一画をお借りして吉田さんのパソコンにレポートを打ち込んでいた。その間、吉田さんは何をしていたかと言うと、お土産屋さんの店員、いや店長に扮していた。安芸区の電子投票を記念して、地元の業者(安芸共同作業所、あやめ作業所、共同作業所みみずく)の方が電子投票饅頭などのお土産を販売していた。そのお土産の多くが売れ残っていて、しかもそのお土産は賞味期限が近いということもあって、気の毒に思った吉田さんは販売の手伝いをしていたのだ。さすが吉田さん、お客に積極的に話しかけ、巧みな話術で次々と売り上げを伸ばしていた。業者の方も吉田さんの売り上げの良さにびっくりしていたようだ。
 開票時間が近づき、次々と安芸区内の各地からメモリーカードが会場に運び込まれていた。メモリーカードは、小型のケースに入れられて、会場に並べられた。
 開票現場は、区民センターのホールである。吉田さんいわく、集まった報道陣の数はやはり、前回の新見市での電子投票よりかなり少ないようだ。また、ホールには杏林大学の木暮非常勤講師がいらっしゃった。(ちなみに吉田さんは、木暮さんと面識がなかったが、服装や雰囲気で大学講師とわかったらしい。吉田さんの推理力の高さに圧倒させられた。)杏林の学生は、開票現場では確認することは出来なかった。
 開票が始まると、報道陣が急に騒がしくなった。少しでも良いポジションをとろうという記者魂が伝わってきた。開票はあっという間に終了した。約20分である。見ている方もあっという間でびっくりした。開票時間の短さという電子投票の最大のメリットを肌で感じることが出来た。投票結果が発表されると、一目散に報道陣は、各社の支社とであろうか連絡を取り合っていた。この姿に私は圧倒されてしまった。

・ 電子投票の評価
 電子投票の投票と開票の現場両方を視察することができたことは非常に有意義なものだった。大学生の立場でありながら、電子投票の現場を自分自身の目で見ることができたのは貴重な機会だった。
電子投票のメリットは、多くの人にとって簡単であること、時間がかからない、無効票の減少、障害者の方でも投票しやすい、開票時の人件費削減などの点であろう。この中で、電子投票普及協業組合理事の宮川隆義さんは、障害者の投票しやすさを最大のメリットとして強調していた。
 しかし、課題もいくつかある。それはコストの面である。電子投票の導入に安芸区だけで2600万掛かったようだ。これは財政難の地方自治体にとって大きな負担だろう。また不在者投票も電子化すればより開票時間が短縮できるだろう。他には、一般の人々に電子投票の投票方法の簡単さをいかに広めるかというのも課題だろう。
 以上のような問題があるのは事実だが、メリットの方が多いのも事実である。特にコスト面が改善されれば一気に普及すると思った。電子化によって、やがては自宅で投票できることが可能になるかもしれない。もちろん、法的な面やセキュリティーの面で数多くの問題があるのも事実だろうが。気軽に投票を行えることが、国民の政治に対する関心を高めることにつながるだろう。事実、投票率は上がった(前回投票率49.85%、今回52.52%、今回の広島市全体の投票率は44.94%)。このような面で、次の日の新聞各紙における電子投票の扱いが思ったより小さかったことは残念だったが今後、電子投票がさらに普及することを期待したい。

(4)必要な書き込み(吉田)
 必要な書き込み(吉田)といしましたが、蛇足かもしれません。

* お土産の販売に関して
 吉田つとむは、お土産の販売は、一応プロでした。実際には、最終ユーザーを対象にした販売経験でなく、販売店舗やデパートを主体、この仕事を12年近く続けました。イベント会場に仮設の販売コーナーを作り、その参加者に直販する、その日のような仕事も何十回としてきました。販売ではキャリアですので、現地の方々の売り上げが上がらない状況を、私は見ておれませんでした。 
 当日、記念のお土産で販売されていたものは、クッキーやジャム類などでしたが、なかに賞味期限が短い食べ物が含まれていたため、売り残すわけには行かないだろう、ということでその場の販売を手伝いました。昔の職業柄、そうした行動に走りました。何でも出来るわけではありません。また、そこで販売されていたものには、「饅頭」は含まれていませんでした。あれは、岡山県新見市の「電子投票記念饅頭」です。

* 杏林大学
 杏林大学の学生は、「開票風景」を見ずに帰ったようです。前日からの1泊2日の行程なのでしょう。新見市の選挙でもそうでした。
 また、岩崎助教授が大学の入学試験の仕事で、投票当日の朝に東京に戻られ、現地には木暮非常勤講師のみが残られていました。小暮講師とは面識はありませんが、300名程度の会場で、学者・研究者タイプの人物を探すのは、それほど困難なことではありません。一応、私は50歳を越した人生のキャリアですので、発見できたのでしょう。

* 電子投票の写真撮影
 新聞記者やカメラマンのすさまじさを、石田さんには直近で見てもらいました。TV記者が、「自分をインタビューするかもしれない?」と思ってどきどきしたことでしょう。私は、開票作業の舞台に上ってデジタルカメラを構える石田さんの姿を、見学席から頼もしく眺めていました。

* 電子投票普及協業組合
「電子投票普及協業組合理事の宮川隆義さん」と、石田さんは書いていますが、宮川隆義氏は、この組合の理事長です。日本の「電子投票」推進のリーダーなのです。この人のことを、日本の国会議員で知らない人はほとんどいないでしょう。歴代の総理大臣とも、全員に面識がある人物です。石田さんは、そういう人物に、この記事を書くためのパソコン作業に使用する席を譲ってほしいと申し込んだわけです!(最も、私が仕組んだことですが、宮川さんは、自分のことが書かれているとはまったく知らなかったでしょう!)