都議選候補者の事務所まわり同行(通算3回)
                                     インターン記録レポート     町田市議会委員・吉田勉

学生氏名  村上直子             年月日 ('01年06月18,19日)
主要研究項目  6月 18 日 月曜日、 19日 火曜日


 1 吉田の前書き
 2 村上さんの感想・分析と、吉田のコメント

1 吉田の前書き

 2001年6月15日告示、24日投票の選挙に際し、立候補準備期間に2回と選挙中に2回、吉田つとむの行動に、村上さんが同行した時、村上さんが自分の感想・分析を書き、それに対する吉田のコメントをつけたものです。選挙準備の段階の記事と通算し、第3回としました。
 実際には、この村上さんの記事は22日にメールで送付を受け、それに吉田が回答を付して、23日の朝には村上さんに返送したものです。
 記事が選挙運動にかかわる内容の性格上、ネット上にアップするのは、投票が終了する6月24日午後8時以降としました。

(文章は、村上さんとのやり取りで事前に書いたものですが、記事のアップは投票終了を待って行いました。写真の掲載も同様に、投票時間終了以降としました)
 事務所まわりという記事の性質上、レポートには内容がありませんが、リンクした写真は、6月18日の早朝、町田市の自民党公認 吉原修候補の駅立ちに合同したものです。
(記録写真掲載)
 まず、吉原修候補者本人と握手をしました。(撮影は、村上さん)

 24日に投票し、午後8時にその締め切りを行い、そのご各地の投票箱を回収し、町田市の総合体育館で集めて、開票が始まります。その結果、自民党公認の吉原修候補は、(小泉内閣の高人気も重なって)トップで当選するだろうと思います。

 2 村上さんの感想・分析(コメント)と、吉田のコメント

記 事
6月24日の東京都議選に際し、選挙公示日を過ぎ、もはや候補予定者ではなく、都議会議員立候補者となった人々の選挙事務所周りに同行。

◎ 村上さんコメント
 18日19日の両日とも吉田さんに同行し、合計11人の選挙事務所を訪れた。これだけ選挙事務所を回れば、見て、聞いて、感じて、気づいたことは数え切れないほどある。これらを一つ一つ述べても切りがないので、事務所の体制についての感想を中心として特に印象深かったことのみを簡潔に述べることにする。
● 吉田
 この両日の日程は、結果的にとても厳しいものでした。延べ時間にして、実際の行動時間で21時間を超えていました。村上さんの場合は、自宅からスタートし、戻った時間を加えると。さらに数時間を加える必要がありますので、全部で24時間を選挙運動の見学に費やしたと考えるべきでしょう。

◎ 村上さん
 まず、もっとも印象深かったのは、同じ候補者でも、選挙公示前の以前の事務所と、今回の選挙事務所との雰囲気の違いである。選挙事務所は普段の事務所とは別に設けている候補者が多かった。しかし、場所が違うだけでは、こうも雰囲気が違うとは考えられない。やはり政治家にとって、選挙という一種の「自分試しの場」が近づいているといった緊張感が全ての事務所で感じられた。
● 吉田
 吉田を含めて、町田市議会議員の場合は、通常の事務所を持つ議員はそれほどいません。事務所を開設して、応対する(できる専業の)人員を置くのが大変だからでしょう。基本的に、自宅を事務所代わりにして、(男性議員しかいない、自民党の場合)夫婦が専業の専従の活動家に相当します。もちろん、後援会の役員はボランテイアとして、日常的に議員の宣伝活動をやってくれる人達がたくさんいてくれます。
 今回訪問した都議会議員と、あるいはその候補者の場合、日ごろの事務所と移しかえるのは、「緊張感」の形成の意味があるのかも知れません。もっとも、その選挙運動の運動量、事務作業量上で専用の事務所は必須なのでしょう。
 法律上の問題は疑問を感じましたが、たくさんの事務所を同じに稼動させている候補者陣営もありましが、われわれが知らないところで、電話作戦作業を展開していた候補者事務所もあったことでしょう。あくまで、わたしたちは、一次的な応援者であり、外部の観察者でした。

◎ 村上さん
 しかし、その、緊張感という共通点はあるが、やはり、候補者によって選挙事務所内の雰囲気や体制は異なっていた。それは、事務所に一歩足を踏み入れた時点でほぼわかる。なぜなら、事務所のスタッフの吉田さんへの対応で候補者の今の時点での体制力が表れているからである。吉田さんは、それぞれの候補者にとって有権者ではないものの、友人であったり、知り合いであったりし、かつ、「陣中見舞い」(以前は「祈必勝」とあったのに、今回のこの文句に選挙は戦いだということをひしひしと感じた)と手土産を持参して訪問をしている。そんな吉田さんへの対応がどうなされるかで、当落の予想をつけることが出来る。対応があやふやで、吉田さんの訪問に戸惑うスタッフのいる事務所はやはり、候補者自身も危なげないように感じる。また、いかにも選挙に慣れているなと感じるほどの対応の的確さが垣間見える事務所は、候補者だけでなくスタッフにも当選の自信がみえ、私でさえも当選は確実だろうと感じることが出来た。
● 吉田
 幾人ものスタッフが、取り囲むように応対した事務所もありました。(実際には、こんなケースでは、吉田の場合は、イスの座る気持ちの余裕も起きてきません。相手に迷惑をかけているようで、早々に退散しました。これほどの陣容を抱えている候補者は珍しいことです。おそらく、トップで当選するでしょう。将来的に、「自分は当選して当たり前」と言う、尊大で鼻持ちならない態度に陥らないことを祈ります)
 選挙中の訪問にもかかわらず、候補者本人が接待をしてくれた事務所がたくさんありました。本人が、事務所に休憩に戻ってきた時点に出くわし、わたしたちを応待してくれました。候補者自身で、食器棚から器を取り出して御茶をついでくれた人もいました。この人とは、時間が大丈夫だったのでしょうか、しかし、このゆとりが候補者として安心感を与える気がします。恐らく、この候補者は当選してくれるでしょう。候補者本人が、村上さんと記念写真を取ってくれた女性の候補者もいましたね。

◎ 村上さん
 スタッフの対応という点で、ある事務所を訪問する際、ちょっとした事件が起こった。吉田さんと私は立候補者の応援という目的のほかに、もう一つ、来年の吉田さんの選挙時に役立つように、良い選挙事務所のあり方を学びとつという目的もあり、こうして多くの事務所を訪問し、観察し、検討している。ゆえに、事務所の内装や雰囲気をつかむために事務所の外観や、雰囲気がわかるように内装などを撮影している。その、ある選挙事務所では私が撮影をすることに不信感を持ったようで、本部(?)の事務所から、吉田さんに電話連絡が入った。「その写真を何に使用するのか?」といった内容の連絡だったらしい。吉田さんは撮影をする前に、「今後の参考にするから」といって、撮影の了承を得ている。しかし、そのような内容の連絡を受け取ったので、気分を害し、すぐにその選挙事務所を引き上げることになった。陣中見舞いと手土産を渡した後だったので、そのお礼と思って電話に出た吉田さんは、その内容のギャップの激しさゆえに、余計に腹が立ったと言っていた。後に聞くには、机上にあった差し入れのバナナをひとつずつバラバラにもいで投げつけたかったほどに頭にきたらしい。もし吉田さんがそうしていたら、事務所内や、また立候補者の吉田さんへの対応はどうなっていたかを想像すると、興味津々である。
● 吉田
 このエピソードは、今回の行動中の大きな事件でした。訪れたのは、選挙事務所でしたが、後援会事務所から事務所責任者(か、そのレベルの人物)が電話で対応してきたものです。その日は、自宅に帰ると、「選挙はがき」の紹介送付御礼のはがきが来ておりました。選挙事務所ではない所で、その作業をやっているのでしょう。さらに、後日に、吉田が持参した陣中見舞いのお礼状も到着しました。
 現地では、相当頭に来ていた吉田でしたが、吉田としては、「この事件をその事務所スタッフが、候補者本人にその事実を伝えたのか、伝えなかったのか、さらに、伝わったとして、忙しいので、とりあえず選挙が終わって、連絡しよう」と考えたのか、思い巡らす状況です。村上さんとしては、吉田の蛮勇を内心期待したのではないでしょうか(失礼)。

◎ 村上さん
 私は、このアクシデントはスタッフの対応の不手際が原因だと感じる。スタッフの組織体制がしっかりしていなかったから、このような事態になったのだろう。立候補者とは別に、事務所の中では、全てを理解し、各々に的確な指示を出せる、核となる人物が必要だということを表しているように思う。波線のようなあやふやな体制ではなく、しっかりとしたピラミッド型の選挙事務所組織が必要だと感じた。このアクシデントは、吉田さんにとっては気分の悪い出来事だったかもしれないが、こうして選挙事務所の体制の重要性を認識できたという点では、私にとっては、とても勉強になり、有意義なアクシデントだったと思う。
● 吉田
 村上さんにとっても、それ以上に吉田にとって、貴重な体験でした。選挙事務所の組織体制は、選挙の中でも重要な課題です。大きな組織の場合は、少々の問題が発生しても「いたで」は小さくて済みますが、町田市程度の規模だと、選挙戦に重要な亀裂を生じさせる可能性があります。
 もう一点ですが、選挙事務所の構成の件です。事務所で的確な判断ができる人物は必要です。しかし、その構成が「ピラミッド型」が必要かどうかは、即断出来ません。吉田の場合は、(難しいのですが、)「ネットワーク型」と言うものを考えないといけないでしょう。最都心の選挙区の事務所に訪ねたときは、街中の顔役のような人が事務所にそろっていましたが、吉田の場合はそうはいきません。もっと、つつましく、無名ではあるが、自分個人の判断を大事にする人達の集まりとなるでしょう。今後、十分に時間をかけて、その体制を作っていくことにしたいと思います。

◎ 村上さん
 もうひとつ、今回初めて目にしたのは、電話戦略の実践場である。私の家にも時々何かの商品のセールス電話がかかってくることがある。しかし、今回この選挙において、売り込む商品は「都議会議員立候補者」という人間である。普通の商品とは違い、その心構えと相手に対する気遣いは特に注意が必要だと思う。私が見ることができたのは、吉田静さん(吉田さんの奥様)が、電話を掛けているところだった。「うっ、うまい!」としか言い様がないほどの電話対応の仕方だった。一応電話対応のマニュアルはあるにしろ、全く、「読んでいる」と言った感じがせずに、流暢である。電話が苦手な私にとって、羨ましい限りである。電話を受ける側としては、やはり、掛かって来るなら、変にいいかげんな応援依頼の電話連絡より、しっかりとした口調で、かつ、気持ちがこもった対応の依頼電話のほうが効果があるだろう。電話戦略という点では、実際の場面を観察することが出来てとても参考になった。
● 吉田
 初日の最後の訪問地で、吉田しずかさん(吉田の妻。今回のように、「静」と名乗っている時もあるようです)が、投票依頼の電話担当をしていました。村上さんが感心したように、あの人は電話かけが確かに上手です。現場にある電話対応のマニュアルも、(時として)自分流に書き換えますし、その関係者に提案すらすることがあります。ただし、選挙の電話かけが上手いので無く、通常の勤務先で、仕事の中で使用する電話対応の延長にしか過ぎません。「選挙の投票依頼では、もっとふさわしい文句や、やり取りがあると思いますが、「妻」は電話対応のセールス業務が職業ではありません。わが「しずかさん」は、「議員の妻」であるより、「デパートの店頭販売員が職業」のスタンスが、そのまま現れているのだと思います。
 いろんなタイプの人がいます。最大の効果は、候補者本人が電話かけをすることでしょう。所で、吉田自身が電話かけをしたケースの印象を書きこんだのは、1回だけでしたね。
さて、いろいろ記事を書いた場面の事務所は、以前に、吉田が4年間ものあいだ、お世話になっていた候補者の事務所です。今でも親しくお付き合いをしています。「同じ釜の飯を食った」と言う表現をする間柄ですし、アメリカ風に言うと、「ボス」とそのスタッフの関係でしょう。党派が異なっても、お付き合いをしています。そのために、「つま」も自分の仕事の合間をぬって、応援に出かけた次第です。
 
◎ 村上さん
 このように、今回の選挙事務所訪問同行で、多くの事務所とそのスタッフの体制、そして立候補者の活動を客観的に観察し、比較、分析することが出来た。このことは、何が最適か、どうすべきか、何を改めるべきかなど、色々と考えるよい機会となった。また、これらを参考にして、より良い選挙活動方法を実践できる力を養うことが出来るだろう。たくさん移動し、少々体力的な疲れもあったが、それに見合っただけの今後の効果が期待できそうである。
 そして、私の今回の比較分析による立候補者の当落の結果が実際の選挙結果とどう異なるのか、とても楽しみでもあり、興味深い。
● 吉田
 さー、明日は投票日です。このレポートでは、実際の訪問した候補者の氏名や選挙区は、意識して割愛しました。レポート作成時に、村上さんにも、そのように指示しました。村上さんは、自分のメモに、候補者の当落をどのように書きこんだのでしょうか。また、その予想と現実は、果たして一致するのでしょうか。もちろん、今回訪問した候補者全員が、吉田の友人です。吉田としては、その全員に当選してほしいと願っています。

(追記)
 このレポートは、インターン関係記事(インターン文集)ですが、現実に展開している選挙の関係情報であるため。公選法上の観点とお互いの信頼関係で、「都議会議員選挙の投票が終了した時点」で、記事としてアップします。