2011.06.29 小宮 春菜 インターンレポート
           町田市議会議員 吉田つとむ 研修生

初日:インターンの概要> 
         第28期研修生 小宮春菜 国際基督教大学(ICU)3年

<6月29日・インターンの概要>

・町田市議会、およびその予行風景の傍聴

・名刺交換体験

・吉田議員以外の議員の方々や、市職員の方との交流

・町田市役所内の見学

・吉田議員との会話

本日は、吉田議員のもとでの、インターン初日にあたる。そして今後も、この夏季休暇中、長らく吉田議員のもとでお世話になる予定である。そのため、はじまりの区切りという意味合いも込め、まず初めに、「なぜ、私が吉田議員のインターンシップを希望したか」ということを述べようと思う。

議会図書室でスタート

 <インターンシップのきっかけ>

 三年の夏、ということもあり、就活という名の悪夢がもう目の前に迫ってきている。どんな進路を選択するにしろ、この夏に自らの「将来」というものを真剣に考えなければならない。本当は、この夏も大好きな旅をして、いやなことには目を向けたくない。だけど、もうそんなことは言っていられない。学期中、私は悶々と毎日を過ごしていた。

そんなとき、本当に偶然、吉田議員が玉川学園前駅で、恒例「お手製チラシ」配りを元気にしていらっしゃるところに遭遇した。そして、これまた非常に偶然に、吉田議員の持ち前の人当たりの良さ故から、会話をする機会を得、このインターンのことを知った。そして、ここまで来たたら奇跡ではないかと思えるのだが、「偶然」、やるしかない―そう感じ、応募した。

 私は思い立ったらすぐ行動タイプするだが、好き嫌いははっきりしている。今まで、政治になどまったく興味を覚えてこなかった。なんだか胡散臭い世界に感じられていたためだ。そのため、従来ならば、政治についてのインターンに参加しようだなんて気はみじんも起きなかったのではないかと思う。

 だが実際は、吉田「議員」のもとで、長い長い2か月半ほどもある夏休みを費やす価値があるのでは、と感じ、今に至っているのだ。人生って本当に、どう転ぶかわからない。しかし、これはけっして私が血迷ってとった行動ではないだろう。今思うのは、きっと私はインスピレーションで、この人の元でなら、大丈夫。と感じた、ということだ。私は自分の直感を信じているため、今後、吉田議員のもとから、多くの大切なものが得られることを確信している。実際、一日のインターンが終わり、私は自分の直感は正しかったことを実感している。

 吉田議員の、他者に対する真摯な姿勢、誠実さ、明朗さ、暖かさ等の人柄が、インターンを必ず充実させることを私に直感させたことが、インターンのきっかけと言えるのだろう。

次に、名刺交換体験から今回得たこと、および、市議会傍聴から考えたことを記述する。

<名刺交換>

1.考えたこと

何度もお辞儀をしたりして、へりくだった雰囲気を醸し出す名刺の渡し方はスマートでないように感じた。さっとすばやく、きびきびとした一度のお辞儀をもって、名刺を渡し、軽くにこっとする。それを双方がさわやかにやってのけたとき、最も理想的な名刺交換のあり方が実現するように私は思った。

だが、ごく基本的なルール(相手の目を見て話す、等)を守りさえすれば、名刺交換の望ましい形式についての価値観は、人それぞれであり、どんな名刺交換であっても社会において許容されるのだろうか。それとも、一挙一動さえも規定するような、「正式」とされる名刺交換のあり方、というものが存在し、その他は冷遇されるのだろうか。興味を覚えた。

2.学んだこと

名刺交換の際、私は繰り返し、「吉田先生のインターンシップ生の・・・」という言い回しを用いて、目上の方たちに挨拶をしていた。私はこの言葉が相手に与える不敬意に、まったく気づきもしなかったため、吉田議員に「この言い回しは不適当だ」ということを教えていただかなければ、恐らくいつまでたってもこのうたい文句を愛用し続けていたことだろう。そう、学校の先生に「お父様がおっしゃっていたので・・・」と言わないように、吉田議員に言及する際も、謙譲語を用いなければならなかったのだ。つまり、「吉田先生」ではなく、「吉田議員」としなければならなかった。

このことを、吉田議員は偉そうに言うでもなく、かといって冷笑するようにいうでもなく、非常に優しく丁寧に、誠実な雰囲気が伝わる言い方で指摘してくださった。そればかりか、「社会人になる勉強をしているのだから、間違えたって全然いい。一つずつ、間違えながら勉強していこう。」ということをおっしゃってくださり、非常に温かい気持ちになった。

<町田市議会の傍聴>

1.     考えたこと

①傍聴者への配慮と照明環境

 傍聴席のライトが薄暗かったことが、少し気になった。やはり、町田市職員の方たちは、ロフトと一階で立ち位置は違っても傍聴席に向かい合わせで座っているため、傍聴席が明るいと気が散ってしまうのだろうか。そのため、傍聴席は薄暗いのだろうか。だが、事前にその議会で話される趣旨を理解しているのならいいのだが、していない市民が傍聴に訪れた際には、無数の議会の趣旨についての資料を薄暗い中で読みながらの傍聴となってしまう。視力によくないことはもちろん、目のあまりよくない高齢の方々にとって、その作業はより一層の負担にならないだろうか。若者の私も、2時間のその作業によって、目に強い疲れを感じた。可能ならば、傍聴席の環境改善があるといいのかもしれない。 

②傍聴者への配慮と、議会の内容

「町田市議会だより」だっただろうか。そのパンフレットの中に、大きく「傍聴へ来ましょう」といったことが書かれていた。表向きは、市議会は市民へのより活発な、傍聴という形での議会参加を呼び掛けているということだろう。

 だが、その裏はどうだろうか。前述で、照明環境のことを論じたが、そもそもの議会の内容が、傍聴者に優しい、配慮の施されたものであるのだろうか。私はそうは思えない。

 それはなぜかというと、理由が2つある。まず一つは、根回し済み故なのか、議会の進行に流れ作業感がところどころに見え隠れし、その雰囲気が傍聴者を退屈に感じさせるときがあるはずだからだ。まさに「淡々と」進んでゆく場面も多くあったように思われる。次に、流れ作業感故の、進行の速さだ。その議案の概要説明者に多くみられたように思うが、非常に早く、その議案について語ってゆく。私の能力不足なだけなのかもしれないが、なかなかあの説明で理解は難しいのではないか。

 傍聴にくる人の多くは、自分の出した請願についての論議に注目して訪れただけなのかもしれない。だが、少数ではあっても、すべての議会の内容に興味を持ち、訪れた人もいるはずだ。議会は多数決の原理が働いても、この場ではそうであるべきでない。仮に市民に傍聴を呼び掛けているのなら、もっと傍聴にくる市民が、「自分たちに配慮がされている」と感じられる範囲の、「配慮」が必要ではないだろうか。

③原発についての論争を聞いて

 だが、議員案の原発についての論争においては、野次が飛ぶなど白熱した様子が垣間見れ、背筋をぴんとし、聞き入ってしまった。

 共産党の方は、原発反対であり、原発施設を抱えた地方自治体のことを考慮した際、一体誰が原発施設を負担してもいいと思えるのか。ということを意見としておっしゃっていた。確かに、明らかに「危険」とされるものを負担したい人など誰もいない。沖縄の基地移設問題でも焦点になったが、結局権力をあまり持たない、地方がその負担を強いられ、その他に住む大多数の人間は「誰かが負担しなきゃいけないのだから、しょうがない。」ということを言ってその現状を容認する。だが、その「誰か」が自分であったら、ということを、本当に「想像」できる人間がどれだけいるか、ということだ。実際に、その「誰か」とならないと、本当の苦しみはわからないものではないのか。その誰かに思いを寄せたのが、この反対意見といえるのかもしれない。

 しかし、原発賛成案も、他の議員の方から出され、それも非常に説得力のあるものだった。その賛成の理由は、「原子力をなくし、自然エネルギーに頼ったら、電気代が格段にあがり、国民の生活を圧迫する。とくに、低所得者などの生活水準の悪化が非常に懸念される。」というものだった。この理由も、十分に熟慮されるべきものだろう。電気代の大幅の値上げで、原発による負担を強いられる人よりももっと大多数の人々が、苦しみを背負うことになるのかもしれない。

 このように、原発問題に関する、賛成反対両サイドからの視点を獲れたことは非常に有意義なことであった。

 そして、この議論から一つ考えたことがあった。それは、その原発に対する立場というものは、たいてい所属する「政党」によって決まってしまって、だが自分の意見がそれとは違った場合には、その意見というものは口に出せないのだろうか、ということだ。自分の意見を見せたくない場合は、採決に参加せず、退出をする、という行動を議員の方がとることもある、ということを吉田議員からうかがったが、採決の際にそのような行動をとることができるだけで、自分の意見を政党の考えとは反していても、堂々と発言できるものなのだろうか。そのような行動は、吉田議員のような無所属の議員の方のみの特権のようなものなのだろうか。

2.学んだこと 

 前項で、いろいろとネガティブな考察をしたが、しかし、この議会から、政治や議員の方々、議会、というものに対し、大変ポジティブな感想も多々もったことを論述したいと思う。

 それは、議員の方たちが本当に真剣に議会に取り組まれており、真摯に問題に向かっていた印象を強く受けた、ということだ。多岐にわたった難しい議題ばかりで、日々議員の方々は勉強三昧であろうことが想像され、それにもかかわらず、いつも明るくエネルギッシュに町田のために尽力されていることは、本当に尊敬に値することだ。

 まだ、「議会とはなんぞや」の問いに答えられるだけの知識を私は持っていない。だが、今後私も真剣に勉強をし、議会とはなんぞや、の問いに的確にこたえられるだけの知識を身につけたいと思う。

おわりに

 非常に、有意義な一日をおくることができた。それも、ひとえに吉田議員をはじめ、そのほかの議員の方々や市職員の方々が温かく私を迎えてくださったおかげだと感じています。

ありがとうございました。

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   吉田つとむ

 いよいよ、小宮春菜さんのインターンシップが始まりました。このインターンシップに参加する経緯については、小宮さん自身が詳しくいきさつを述べてくれました。小宮さんはかなり前の吉田つとむを何度もみたことがあった。最近、久しぶりに吉田つとむがいつもスタイルで議会報告を配布している場面に出会った。その時のインスピレーションがインターシップ応募に至ったという次第になると思います。

内容では、小宮さんが「町田市議会、およびその予行風景の傍聴」と記していますが、629日に開催された、第2回定例議会最終日の日程を全て傍聴したものです。「予行風景」と記していますが、それは「議会運営委員会」のことだろうと思います。議会の運営はハプニングが多く、その日の「議題の流れ」を確認したり、賛否の起立採決の方法でなく人事案件の場合は簡易表決(異議なしと呼ぶ)という方法で決する確認を議会運営委員で行っているものです。初めて見る傍聴者には「異様」かも知れません。大勢の議員が一緒にいて会議を行うわけですから、細かい取り決め(会議規則、慣習)があって、そのうえに会議の前の確認(その日の次第を議長案どおりにすすめますが、それでOKですねと確認しています)も行っているものです。

小宮さんは、早速提案をしてくれました。傍聴席の証明が暗いと言うものです。議員の期間が14年目になりますが、自分では本会議場の傍聴席に座ることがないので気がつきませんでした。ずっと以前の傍聴席は基本的に「論議を傍聴する」ものでしたが、今から何年前のことでしたが、私が、傍聴席にも議員が見る資料と同じものを配置して閲覧の利便性を図るべきだと提案し、それが採用されているものです。その時点で、照明のことも話しておくべきでした。来年には新庁舎、議事堂ができますが、そのことを議論されていない可能性もあります。再確認しておきましょう。委員会室は、室内全体が一様で、そうした問題はないと思います。

この日は、本会議最終日でした。各常任委員長が委員会の審議経過と結果を報告し、議員の質疑があり、討論が行われます。全部の議案にそうしたプロセスがあるのでなく、争点になっているものに、質疑があったり、討論が行われます。また、審議自体は分科会たる各常任委員会で行われており、私は所属する健康福祉常任委員会で質疑を行っています。会議の理解は委員会の審査では、傍聴者にも対応したものであろうと思います。また、議会の一般質問と言うものがありますが、それも傍聴者に対応したやり取りだと考えています。小宮さんが予定するインターン期間に本会議の予定がなく、残念です。*ただし、ネットの映像で見ることが出来ますので、その一部でも確認してもらいましょう。

なお、委員会の会議は映像がなく、後で速記を筆耕した議事録がでますので、それを見てもらうことになります。ただし、完成するまでにかなり時間がかかります。

小宮さんは、この日に行われた議員提出議案(原発からの撤退を求める意見書 =国に原発の廃止を求める意見書)に関する論議に注目しました。それぞれに賛否の討論を行ったものです。実は、副議長の吉田つとむは、論議の公正さを保つ一環でこの、本会議の質疑や討論には参加しない立場にあります。最後の採決には参加します。

また、議員は自分の意思を最も大事にします。最終的には有権者に責任を負うもので、次の選挙で判断材料と見られるでしょう。町田市議会においては、政党がここの議案の賛否に関わることが全てではないと思われます。それは、同じ政党でも時として、判断が異なって対応があるときがありました。無所属だから自由というものでもありません。事前に、会派(吉田つとむが所属するのは、志政クラブと言います)で議案に対する考えを協議しており、一致する場合もあり、それぞれに立場が異なる場合もあります。今回はいくつもの議案で賛否が異なりました。しかし、お互いに了解しており、それ自体の立場で対立とはなりません。

この「原発からの撤退を求める意見書」はかなり極端な主張と見られました。それに反対する討論もかなり極端な論理に思えました。自分の判断で、この意見書に賛成しませんでした。たまたま、所属会派は全員が同じ判断(濃淡はあるかもしれません)でした。

一日で議会を知りうることは不可能です。それは、日によってメニューが違い、発言の主役も代わっていきます。その場面もまた、見てもらいたいと思います。

では、明日の日程で。

記:町田市議会議員 吉田つとむ 志政クラブ
 2011.06.30 コメント

 インターン生の小宮春菜さんの1回目の記事です。


追記:

小宮です。吉田議員から、傍聴席の照明のことで後日談としてお話があり、そのことについて追記します。
私が暗いと感じた照明は、照度70ルックスでした。それが、新庁舎に新たに設けられる傍聴席には、照度500ルックスのものが設置されるとのことでした。
500ルックスは、通常の事務机よりは少しくらいものの、十分な明るさを持っている、とのことです。
その新たな、資料を読むのに十分な照度をもった新庁舎の傍聴席は、来年夏以降には出来上がるそうです。
個人的には、その新たな傍聴席で議会を再度聞けることを、とても心待ちにしています。

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