下記を議長あてに本日提出しました。
 行政視察報告書 建設常任委員会行政視察 平成26年5月13日(火)~平成26年5月15日(木)
視 察 先 及び 調査事項
兵庫県神戸市 ・環境政策について
兵庫県朝来市 ・環境政策について
京都府京丹後市 ・都市計画事業について

 視察所感
兵庫県神戸市 ・環境政策について

 神戸市と町田市が置かれている状況の相違は、次の点があります。
 まず、収集では有料の指定袋の使用が義務付けられていますが、町田市で行われているごみ袋の有料化(ごみ収集料金を付加する)が行われていないことです。神戸市における袋の販売料金の設定は自由とされており、通常の一般の販売品と同じ扱いになっています。
 ただし、大型ごみの場合は、料金を徴収するために大きさによるシール券を発行し、その収集にあたっておられました。料金徴収のあり方を含めて、町田市の粗大ごみの収集と同じような方法になっていました。
 また、町田市とは異なって、廃プラスチックの収集が分別化されていました。神戸市には、その廃プラスチック収集の料金負荷は考えてなく、資源化の観点から分別が行われていました。
 町田市がどのような立場から、この廃プラスチック分別収集を実施するのか参考になると思いました。
 なお、神戸市の場合は、最終処分場を自前で有しており、これまでは海辺の海岸線の埋め立て利用されており、今は内陸部にもあるようです。そのことで町田市が抱える自前の最終処分場を有していないと言う点と大きく異なっています。
 なお、視察に際して、「紙」の収集で質疑を行いました。神戸市では、新聞・段ボール・雑紙・古着などの収集が、市民・地域団体が持ち寄り、古紙の回収業 者が収集しているとのことでした。町田市も以前はこの方法で全て公的な収集が行われていましたが、今の町田市はこの方法に追加して、市民・地域団体を介さ ずに、収集する方法が取り入れられ、今ではその収集方法の方が一般化しているのではないでしょうか。前の寺田市政下で変更したものですが、集団回収がこう した神戸市のように大都市で実施しているのであれば、町田市も再考することもあり得ると考える次第です。
 最後に、ごみの収集、処理、処分の過程を通じて、町田市と神戸市はそれぞれに異なっており、個々の施策の適用では基礎条件の違いが大きすぎると言うことになると考えました。
兵庫県朝来市 ・環境政策について

 町田市が導入しようとする生ごみのメタンガス化による発電です。方式は、生ごみ(塵芥ごみと表記されている)や小さな紙ごみを機械式で選別し、バイオマス設備で処理し、メタン発酵させ、そのガスでもって発電するものです。
 他方、メタン発酵に適さないごみは、ストーカー方式で一般の焼却を行っていました。町田市とは違ってこのプロセスでは発電を行っていないとのことでした。理由は、規模が小さなためとのことでした。焼却灰は、セメント工場に搬出されていました。
 この施設は、朝来市と養父市と共同の南但クリーンセンター(南但広域事務組合)が運営するもので、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度を利用し、バ イオガス発電で発生した電気を地域に供給しているとのことでした。ちなみに、その調達価格は40.95円(39円+税)で20年間の調達期間が保証されて います。そのことが、こうしたエネルギー原料を得る施策が拡充する理由となっているようです。順調に作動しているとの説明でした。
 まだ、運行してさほど期間が経っていませんので、本格的な機能は不明ですが、発電を行うには一定の、あるいは定常的なごみが必要になります。南但地域は 人口減少に見舞われているようですが、これから必要なごみが集まるかが大きな焦点になるでしょう。ちなみに、人口動静の資料をお願いしました。

京都府京丹後市 ・都市計画事業について
 (京丹後市の公共交通の取組)
 京丹後市は、企画政策課の施策で、上限200円バスを導入し、大きな成果を収めていました。
 結論的に言うと、新規の公共交通路線開設において実施したのでなく、既存の民間路線バスの利用低下の防止策、抜本的な解決策として考案、導入されたものと思われました。
 地方においては、主な交通機関が自家用車になっており、頂いた資料によると、この京丹後市を含む、丹後地域では、一世帯に1.64台から2.01台と なっていますが、同じく京都府では0.99台となっていました。いかに、自家用車が交通手段の中心となっているかがうかがえました。とは言え、高齢化が進 み、自分の運転では不都合な人も増えるも混みもあり、公共交通の必要性が考えられたようです。
 しかし、現実はKTR(北近畿タンゴ鉄道=三セク)の乗客がピーク時の3分の2に減少し、バスは平成3年に比べて半分に減少していました。頂いた資料の文中に、次のように記述されています。
⇒ マイカーに頼らなければならない過疎地域の公共交通の現実があります。
⇒そして、高齢化によりマイカーにも頼れない時代に突入しています。
 
 さて、現状の京丹後市は、面積501.84km、人口58,793人となっています。合併でできた都市であり、そうした地域を結ぶいくつかのバス路線が 走っています。もちろん、従来は距離に応じた料金になっており、遠距離だと1000円にも達する金額にもなっていました。そうした路線バスに低額の200 円均一料金制度を導入することで、利用者の減少を止め、公共交通を維持する政策が導入されました。
 国の理解を得る面では、実証実験で効果が高そうな場所で選別し、それを果たしたことが事態を進めたようです。その料金制設定でもコンサルタント会社の企画ではなく、自前の推量で計画を進めた点が他に比べてとりわけ優れた事業設定だったのでしょう。
 旧来の料金設定(最大1,150円)に基づいた平均単価が380円~385円だったのにそれでは利用者の増大にはならないとの判断で、この画期的な200円になったようです。
 事業は順調に進み、市内の路線バス(8路線)乗車人員は2.3倍に、収入は1.3倍に増えています。集計には利用者の調査がありましたが、以前は全く利 用していなかった高校生で常時利用が目立ち、以前はまったく利用しなかった人にも利用者が出ています。親が送迎していた高校生を利用者に入れ、バス移動を 増大させたことがバス利用の回復につなげたとされていました。
 一端順調に進むと、バス停の増加、場市内での回数券(1回154円)の発行と拡大し、業績はV字回復し、今では運行事業者への助成額も減少しています。住民が木製ベンチを制作し、高校生が待合所を作り、ショッピングセンターを待合所を設置しているとのことでした。
 資料でいただいた時刻表がとてもよくできていました。こうしたデザインにもこだわりを見せるところが優れた施策につながっているのだと思いました。
 総じて、この経営の視点は、定期的な利用者の高校生の需要を掘り起こしたことが最も重要なポイントであろうと思います。
 と言う次第で、この路線バスの区間均一料金設定の施策が町田市内の公共バスに適用しうるかと言うと、極めて難しかろう。なぜなら、町田市内で運行するバス会社は今の方法でそれで経営がなっていると考えるでしょう。
記:町田市議会議員 吉田つとむ 保守連合