オーナー通信 第43号 「国立マンション問題について」
2002年12 月
有限会社 臼井不動産 栗山隆太さん記事作成

拝啓 心せわしい年の暮れ、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、ありがたく厚く御礼申し上げます。
 先日の12月18日に東京地裁で所謂「国立マンション訴訟」に対する一審の判決が出ました。
その内容は相手方のマンション業者:明和地所に対し「大学通りに面する建物の高さ20mを超える部分の撤去命令、及び景観利益が侵害された住民3人に建物撤去までの間、月額1万円の賠償並びに弁護士費用計900万円の支払命令」という過去に例のない厳しいものでした。
 同マンションを巡る訴訟は、住民が行政当局である東京都を相手取って「都がマンション業者に是正措置命令を行使しないことが違法である」として一審で勝訴、控訴審で逆転敗訴した経緯があり、今回の判決はかなりの注目を集めておりました。
 明和地所側は今後の態度を明らかにしておりませんが、恐らく控訴するものと予想されております。同じ不動産業者としてはこの事態を「危機」と捉えなければならないのかも知れません。が、やはり如何に建築基準法や都市計画法に適合していようとも、そこに長年住んでいる住民の方々を無視したやり方は今後通用しない、という時代の変化を象徴した判決なのだろう、というのが第一印象でした。確かに住民運動の中には金銭目的でゴネるタイプのものや、単に集団ヒステリー状態になって「マンションや土地開発=悪の象徴」的にとにかく反対するだけのものが少なくないようです。実際、排他主義に走りすぎて気がついてみたら「住民が昔から住んでる老人ばかり」という事態が起こっている地域もあるようです。
 しかしその一方で適法であることを盾にして、周辺とのバランスを無視した乱開発を行ってきた業者も多数おります。
 地元密着で賃貸物件管理をさせて頂いている立場としては、今後は地域色を豊かにし「あそこの街に住んでみたい」と外部の方から褒めて貰える様な住民主体の「まちづくり」が不可欠だと考えておりますので、この度の判決は不動産業界にとって「民間企業とはいえ公共性の高い事業を行っていかなければいけない」という教訓なのではないか? そんなことすら思ってしまいます。
 この判決の後、明和地所の株価は連日のストップ安だそうで、仮に控訴して逆転することが出来たとしても企業としてのイメージダウンは相当なものだと思われます。下手をするとこの事件を機に倒産に追い込まれることだって有り得ないとは言い切れない事態です。
 「明和地所は大規模なマンションを建築しようとすれば住民から強い反対を受け、行政からも指導を受けることを十分認識していながら・・(中略)逆にこれを非難することに終始し、法が悪法であっても遵守さえすれば不法行為が成立することはないという態度で臨んでいた。いかに私企業といえども社会的使命を忘れて自己の利益の追求のみに走る行為との非難を免れない。(判決要旨より)」この言葉を不動産業界に携わる者の一人として、重く真摯に受け止めたいと思います。
 最後になりましたが今年もご愛顧頂き本当にありがとうございました。来年も同様に宜しくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。                   敬具