● 学生インターンシップ(研修生)
     から見た、町田市議会議員 2
 
 以下の文章は、「学生インターンシップ(研修生)の受入体験を語る」@、Aに対応した記事で、前回の喜友名智子さんの文章に続くものです。
 今回は、男性のインターン 出雲充さん(東京大学1年−当時)が書いてくれた報告を掲載致します。この文章を書いてもらうのも、インターンシップの次期から1年を経てのことですので、出雲さんには大変迷惑をかけました。感謝致します。
 以下の文中で、出雲さんは文中で、吉田のことを「吉田先生」と書いていますが、そのように私が強要したわけではありません。、当時としては、彼が私のことを先生と読んでくれる度に、「吉田さん」にしてよと言っていましたが、吉田と出雲さんの関係では、先生と呼ばれても必ずしもおかしくない関係(学生インターンと議員の関係)でした。
 また、以下の文章は、基本的に原文のままとしております。
◎ インターンシップ報告書 文責 出雲 充

 自分はもともと、将来政治家になることを目標としていたわけでもなく、また両親がそう言う職業についているわけでもなく、一般的に『政治』と呼ばれている分野にほとんど関心を持たないでいました。だから、このような『議員インターンシップ』をやろうと思ったきっかけと言うのも自分の夢や将来に直接関係があるわけでは無いのですが、自分が知らないできた分野について現場を見る機会ということではじめました。インターンの内容・過程については簡単に後述させて頂きますが、結果として自分が吉田先生のところでいろんな現場を見られたのは非常に有意義でした。

 さて、今回の研修報告書で書きたいと思うことは山ほどあるのですが、インターンシップの中で、印象の強かった活動等について、次の点にまとめてみました。

1、 総務委員会について
2、 その他の活動について

1、 総務委員会について

 吉田先生が委員長をつとめる総務委員会の傍聴、及び見学をした印象を簡単に書かせてもらいます。
 <総務常任委員会 12月15日 午前10時から議場ロビーにて>
 審査の順序は、市民部、経済部、企画部、総務部会計課、税務部、議会事務局、の順に行われた。特に時間をかけて審議された内容は、総務部会計課の鶴川駅自転車駐車場設置に関するもので、行政側からは交通安全課長と総務部長の2人が出席していたが、議員サイドからは計画案に対して区画整理、換地条件についての質問が多く出されていた。
 また、議会事務局、請願第23号の「議員定数削減に関する請願」についても、休憩時間を利用しての議論など白熱したが、最終的には全員一致での継続審査、という結論に落ち着いた。

 住民の意見を吸い上げる議員と、予算という制約の中で、最大限の成果を生み出そうとする市職員との真摯な論争は、政治に興味があるなしにかかわらず、一度傍聴してみると、議員と職員の両者が、普段見えないところでいかに努力しているかがわかる。

注:吉田つとむがつけた注です。 総務委員会は、何故、議場ロビーで開かれていたか? 答えは、町田市議会は委員会室を1つしか持たず、1日に2委員会が開かれ、1つの委員会は正規の委員会室で開催されるが、他方の委員会は会議室が無く、議場ロビーの一部をを囲った部分で開催されている。公平に交替で部屋を使用する。
2、 その他の活動について
 ここでは2つ、自由民主党会派の吉田先生以外の方に、議員活動についてのインタビューをした事について書きます。

<インタビューについて(相手は自由民主党会派の議員の方々)>
Q,情報収集はどのようにして行うのですか?
A,個人で関係部署を回ったり、資料を中心に調べたりと、いろいろなケースがあるが、ほとんどの作業を一人で行っている。政策秘書、というものもないので、事務局に資料請求をする事もある。職員との仲のよさも大事である。
Q,市民の方との接点はどのようなものがありますか?
A,地元の方から、何らかの形での要望が来る事が多い。また、何か問題はないか、といった御用聞きに行く事もある。
Q,選挙の投票率はなぜ下がると思いますか?
A,複合的な問題なので、一概には言えない。が、若い人の多いところは投票率が低く、問題である。
Q,長期間にわたって当選する、支持されつづけられている理由と、そのための秘訣のようなものがあれば教えて頂きたいのですが?
A,当然、親戚、お隣と行った近い人から支持者を獲得し、町内会といった形で支持層を広げていく。またその際に、地元の地域性を特に考慮する。どういうことかというと、地区としては、古いところの方が支持されやすい。なぜなら、古くからある地区の方が、都市基盤整備などについての要望が多いからである。
Q,支持者の方に、何と言ってもらうと一番うれしいですか?
A,何か言ってもらう、というより、相談される事が一番うれしい。つまり、信頼されているんだ、と思えるときが、一番うれしいと思う。

 議員と言う仕事は、本質的に、人の面倒を見るのが好きな人でなければできない、と言われ、なるほどと思った。また、アメリカ、ヨーロッパと異なり、政策スタッフという人たちがいないため、議員はほとんどの仕事を自分一人でこなしている実態が分かった。

<緊急時の対応>
 インターンシップの期間も終盤に差し掛かったある日、吉田先生の議会活動報告を配布していたときのこと。
吉田先生の自宅前にて、額に傷がある小学生が倒れていて、その周りにも同年代くらいの小学生が何人かいました。あまりに突然のことのため、とっさにどうすべきかと思っていたところで、吉田先生は、インターン活動中かねてから、子供ともよく対話していて(地元のもちつき大会などで、子供とも積極的に対話をされていた)多少混乱している子供から、状況などをうまく聞き、その後携帯電話で救急・病院等と連絡など数分でこなした。その子供は、幸いなことに大怪我ではなかったのですが、当初の予定を変更して、とっさに救護に駆けつけた先生の顔は忘れらない。

 テレビのために作られたドラマやドキュメンタリーの世界ではなく、実際の現場で、地域のコミュニティーとの接点が少ないと批判されがちな「政治」というセクターで活動する議員の中にも、こうして草の根レベルで心のそこからコミュニティーの住民のことを真剣に考えている人がいるのだ、と本当に感動した。上述の自民党会派のほかの先生とのインタビューでも思ったのだが、議員という仕事は、真の意味でのボランティア精神(ボランティアは日本では「無償の」と訳されることが多いが、アメリカでは「自発的な」が元の意味)を持った民主的精神を有した人のみができる職業なのだ、と痛感した。

 最後に今回のインターンにてお世話になった町田市議会自民党会派のかたがたと、市職員の皆様、そして吉田先生に、感謝の意を述べさせていただき終わりに代えさせていただきます。
 
 
学生インターンシップ(研修生)から見た、町田市議会議員に関する記事は、この行で終わります)