● 議員インターン体験記(インターン学生と私の手記)
   (2000年春)
 
◎ 記事掲載の経過と主旨
 平成12年の春は、I−CAS(議員インターンを議員と学生に呼びかけ、その仲立ちをしている学生グループ)が主催した議員インターンシップで、応募した学生を受け入れた2回目の機会でした。村上直子さん、大里亨さん、それに小泉裕美さんの3名でしたが、今回はその中で2名の体験記と、受け入れた私の体験記を掲載しました。
 現在、学生が議員インターンシップを通じて学ぶことはどんなことなのか、もっとやりたかったことはなんだったのか、最終報告です。村上さんの場合は、インターンとして来てくれた際、殆どの機会に質問を発してくれました。そのいくつかのものは、私の答えとあわせた記事で掲載してきました。是非、そちらも参考にしてください。
 村上さんの場合は、1年生を終了した春休みということで比較的に時間が取れ、いろんなところに同行してもらいました。最終的には、前回のインターンであった、喜友名智子さんを松下政経塾に尋ねた印象が一番強かったようです。また、村上さんはインターンシップ時に1年生でしたので、卒業までの間しばらく学生生活を送ります。そこで私は、村上さんにイン何かの形でインターンシップの継続を願い、「政策インターンスタッフ」という名称で、吉田つとむの活動を手伝ってもらうことにしました。基本的には、インターネットを利用して、「私の政策立案作業、ホームページ記事の作成など」に関わってもらうことですので、吉田の政策記述の内容が広がることをご期待ください。このことが間接的にであれ、村上さんの大学での勉強に役立てば幸いです。
 大里亨さんの場合は、本人の興味の関係で、議会外での地方議員勉強会に同行参加し、その講演テーマに興味を寄せてくれました。以前に、講演の要約と感想を書いてくれました。私との関係で言えば、<実際、受入先の議員の方は自由民主党に属していたものの、必ずしも「党としての行動」をとることのなく、決して党に迎合はしなかった。つまり、「特異な存在」とされており、それを自身のアイデンティティーにしていた。>と評価してくれました。大里さんが書いた文章は、見出しの3をごらん下さい。
 最後に、吉田勉の体験記では、インターンの皆さんに対して、「議会の役職改選と会派人事構成の変更」を前後して見せることが出来ました。ただし、議長・役職選挙は我々自由民主党会派にとって、最大のイベント、かつ最大の戦いとなっています。完全な現場取材というわけにはいかず、人事選挙・役職改選の日は、インターンの皆さんに自宅待機を御願いした次第です。それぞれの議員が座っているいるイスの場所と重みで、事態の変化を推察していただくことにしました。
 会派の所属議員が増加(新入会者2名)したり、役職選挙の対立結果と、その後の議会運営の困難さを見ると、議会の人事がなれ合いでないとわかっていただけると思いますし、人事に執着する、我が自由民主党の姿も少しは実感できたのではないでしょうか。
 私は、平成12年3月議会の冒頭で常任委員長職を任期満了となり、常任委員会では自分の考えや主張を、強く発言しています。初めての議会運営委員会では、すこし様子をうかがいながら発言しています。その様子については、両方を傍聴した議員インターンの皆さんには、簡単に判別できているのではないでしょうか。
 
◎ 見出し
  1 村上直子さん  「研修を通じて学んだこと」
  2 大里 亨さん  「インターンシップを体験して」
  3 吉田 勉    「体験記」
 
1 村上直子さん  「研修を通じて学んだこと」
 私がインターンとして研修したこの約2ヶ月間に、学んだ事は本当に多くあります。特に印象深い事が、主に3つあります。
 一つ目は、初めてインターンとして支援者まわりに同行した時の事です。移動中の車の中で、何気なく話してくださった言葉がとても印象的でした。それは、議員になってよかったと思う事は、お金持ちの人も貧しい人も権力者も全て同じ人間として見られるようになった事だと言われた言葉です。どんな人でも市民である限り、議員に対して同じ一票を持っているからです。確かに、人の背景となるものによって人間を差別してしまうことは少なくないでしょう。しかし、市民にとって頼りとなるべき議員である以上、有権者を差別視してはならないのです。ですから、議員になり、全ての人を平等に見られることが出来てうれしいと言った言葉に、とても重みを感じました。議員だからということに限らず、全ての人が、こうあるべきだと思います。
 二つ目は、私が議員は長い時間会議をしていたり、膨大な量の資料を整理したり、街を歩くときにはいつも周りの目を気にしなければならないと知り、議員とは、本当に大変だと感想を述べた時に、議員は大変だと言うよりも、議員は真剣だと言って欲しいと言われたことです。この言葉を聞いてハッとしました。大変な仕事をしているけれどもそれは全て街を良くしようと真剣だからです。議員の仕事の意義をよく理解していなかった自分を反省し、表面だけではなく、人の気持ちまで考慮して物事を考えることの大切さを学びました。
 さらに、研修中にはたくさんの方に面会する機会を与えてくれました。町内の知人から都議会議員、都議会議長、衆議院議員、知り合いの議員の方など、数え上げたらきりがないくらいです。特に刺激を受けたのは、前回の議員インターンをしていて、現在松下政経塾の塾生の方です。彼女は颯爽としていて、行動や言葉に自信があふれていて、とても尊敬できる方でした。大学は違いますが、同じ学部の先輩として将来に対する助言をしてくれました。そのときに教えてくれた「何でも出来るやつは何も出来ない。GeneralistよりもSpecialistになれ。」という言葉には改めて自分の方向性を考えさせられました。また、自分の意見をしっかりと持ち、それを言葉にすることの重要性も学びました。
 このように、今回の研修では私自身にとって全てがプラスになる経験が出来ました。本当に良かったと思っています。インターンシップのおかげで有意義な春休みを送ることができ、この期間に、政治的知識を得ただけでなく、人間の内面的な面でも成長できたと思っています。このような機会を与えてくれた議員さん、I−CASのSTAFFのみなさんにも本当に感謝しています。ありがとうございます。
 
2 大里 亨さん  「インターンシップを体験して」
 およそ2ヶ月にわたり、議員のもとで「インターンシップ」というかたちで研修をさせていただいた。そして、これにより、3つの貴重な体験をすることができたと自負している。
 1つは、受け入れ先議員の選挙カーに乗り、支持者の方たちに挨拶をするかたわら、日頃お会いする機会の無いような方から、大学生活の送り方や真の大学生のあり方など興味深い話を聞くことができ、同時にこれまでの自分の大学生活をも見直すことができたという点である。
 また、議員は市民の代表であるとの確認もできたことが有益であった。市民との「対話」を尊重したり、ホームページで頻繁に情報を公開することで近年懸念されていた情報の不透明性を一気に払拭させた事実は議員の卓越さを象徴していた。
 3つ目は、議員の紹介により、ある建設会社の方との会議に出席し、民間主導の公共事業とうい、いわゆるPFI事業の可能性を学習できたことにある。当該事業は、財政難に陥っている自治体が、民間の資金でもって公共施設を建設するというものである。PFI事業は、単に建設会社のみでなく、保険会社や金融機関、商社なども介入する。商社への就職を希望する自身にとって、この事業の有効性、さらには将来は自分の手でPFI事業を実現してみたいと思うようになり、会議に出席できたと同時に、受け入れ議員が、わざわざ自分のためにこのような会議の便宜を図ってくれたことが何よりもうれしかった。
 マックス=ウェーバーの著「職業としての政治」のなかで、政治家には情熱と責任感、洞察力が必要と記してある。しかし、それらは大して重要ではないと思う。議員には自分の「政治哲学」を備えていることがむしろ要求されるのではないか。実際、受入先の議員の方は自由民主党に属していたものの、必ずしも「党としての行動」をとることのなく、決して党に迎合はしなかった。つまり、「特異な存在」とされており、それを自身のアイデンティティーにしていた。没個性の高い議員により構成された議会は何の魅力もない。しかしながら、アイデンティティーを持った議員の存在は、議会の活性化を促す。私の受け入れ先議員は、そこまで考えていたのかもしれない。
 議員は多忙である。多忙にもかかわらず、研修をさせていただきたことに感謝したい。短期間ではあったが、自分にとっては実りの多いものだったと言える。そして、この経験を、社会において何らかのかたちで実現することができれば、これ以上の喜びは無いと思う。
3 吉田 勉     「体験記」
 インターンシップを終了するにあたって、学生の皆さんが辛抱強く、本会議や委員会の傍聴をしてくれたことに感謝します。町田市は他の自治体に比べて、審議時間が特に長いのが特徴ですが、私自身に限らず、議員が不真面目にやっているという印象は払拭できたと考えています。また、行政と議会の関係でも、両者の立場の違いを直接に目と耳で確かめていただけたでしょう。町田市は、今度の議会が改選時期に当たりましたが、選挙の裏舞台というものはやはりお見せできませんでした。ただし、常任委員長職を終えて無役になり、15名の大会派では無役から副幹事長職となり、委員会と会派室でそれぞれに座る場所も大きく変わる光景を、リアルタイムでお見せできました。
 私にとっては2回目のインターンシップの経験でしたが、参加してくれた学生は今回のほうが少しおとなしいタイプとなりました。自分自身が、学生のタイプに合わせられるほどの能力や経験を持っていないので、自分自身が実験的な感覚で臨みました。学生インターンには、課題を時々に応じて提供しましたが、お互いに全部がうまくいったとも言えません。
 資料の収集や原稿作成に直に協力してもらった一般質問でしたが、皆さんに格好良く見せようとし、原稿を持たずに登壇して発言しました。前の12月議会から、原稿なしの一般質問で臨んでいるのですが、傍聴席の学生を意識しすぎてか、特に緊張して声がうわずりました。次の6月議会では、もう少しなめらかになるでしょう。乞う、ご期待!
 昨年来、私のホームページは、政治家ホームページの点数評価する唯一のウェブサイト「開け電網政治の時代」で、最高点の評価を得ています。今回のインターンシップ記事や協力してもらった議会質問記事などが、その評価を維持する良き素材となるでしょう。
 
f51207101  「議員インターン体験記(インターン学生と私の手記) (2000年春)の記事は、この行で終わります」