インターン記録レポート 川戸 裕美子 第15日目
町田市議会議員 吉田つとむ    2003/9/14 作成
 川戸 裕美子 3年 2003/9/13  到着
主要研究項目
 インターン感想文 (平成15年9月12日)
  記 事 本会議一般質問(請願審査と一般質問の関係)

<見だし>
● 川戸裕美子さんのレポート
● 吉田つとむの回答

インターンシップ 第15日目(H15 9.12)レポート

                        川戸 裕美子

◎ 川戸 裕美子 さん
 今日は本会議、一般質問の最終日でした。一般質問は4日間の日程で行われ、私は2日目に一度傍聴をしていたのでこの日は二度目の傍聴となりました。本会議は午前10時より始まり、午後5時が一応終了の時刻となっているようですが、私が傍聴した2日間は会議の終了が1時間程延長していました。議員の皆さんは、この予定を連続4日間こなされるわけですから大変だと思います。私は二日間で十分です。
● 吉田 つとむ
 上記のように、川戸由美子さんは、町田市議会本会議一般質問を合計丸々2日間傍聴しました。その間には、私の質問も傍聴しました。
 この中にある会議の延長のことですが、本会議の開催時間は午後5時まで決定しているので、議長がその定刻前に、「会議の延長」を宣告しないと、その時点で本会議は終了とされます。定例会の場合は日程を全て決定していますので、その日の日程が流れたら、その質問自体がお流れになりますし、その後の質問日程はその日に出来ないことになります。そうした事態になると、後の処理が大変です。その議員の発言の復活、発言が出来なかった議員の発言日の再設定、その後の会議日程の再調整などなど、さまざまの状況を想像するだけで、ぞっとします。私が、議員になって以来、幸い、そうした事例は発生していません。
 参考ですが、たとえば、本会議がなにかの事情で混乱して、途中で休憩の状態になっていたとします。そうした場合にも、とにかく、一度本会議を開催して、「会議の延長」を本会議で議長が宣告するように、各会派の調整を行います。その役目が、議会運営会委員の役割です。今期は、そうした事例(その日の本会議がお流れになりそうなケース)がありませんが、私が1期目、2期目の議員の時には、本会議を継続させるための会議延長の調整が、なんどかありました。議会運営委員長は、その副委員長と協力し、議会運営委員会を断続的に開催して、本会議の継続を求めていきます。

◎ 川戸 裕美子 さん
 さて、これまでの一般質問を傍聴しての感想ですが、議会というのは議員さんの一番の見せ場ではないかと実感しました。同じ"表舞台"だとすれば、この季節の風物詩でもある夏祭りでの議員挨拶もそうではないかと思われますが、議会にはシナリオのないドラマがあり、行政側とのぶつかり合いがあり、住民の声を第一に考える議員さんの姿があり、夏祭りの挨拶でつくる外見のいい議員さん以外のものが見えたりもします。住民は議員さんの様々な顔を見るべきだと思います。例えば、ある議員さんが、自分があまり支持しないような活動をしていたとします。そして自分は他にこの議員さんが取り組んでいる活動については知らなかったとします。それが議会の傍聴によって、実はこの議員さんは自分の賛成できる取り組みも従前から行っていた、ということを新たに発見するかもしれません。
● 吉田 つとむ
 川戸さんは、議員の姿を見て、「議員の表舞台は、二つある」という判断しました。川戸さんのインターン体験中、夏祭りのなかでにこやかに挨拶する議員の姿を幾人も見ています。そこでの議員の顔と、本会議で質問をする顔と違いを比較したものです。議員は、住民の要求と立場に立つわけですので、決して「物分りが良い人」になるわけにはいきません。「しつこさ」も、「しぶとさ」も兼ね備え、切れが良い質問をするのが最上でしょう。
 なお、私自身は、川戸さんが書いているように、そうした夏祭りなどで、挨拶することはほとんどありません。<参考:2,年8月12日アップの記録レポート 6日目>
http://j-expert.com/int/2003/08/kawato12.html
 新聞やTVなどの解説では、議員の質問と理事者の答弁とが、あらかじめ決まっているとされることがあります。その実態はどうなっているか、そのことを、川戸さん自身が、14名の議員の質問を見つめつくしました。
 少なくとも町田市議会では、どのように行っているか、決して、シナリオがあったとしても、その通りに進むとは限りません。特に、私の場合は、見ての通り、質問項目のみのメモを持つだけで、ノー原稿の壇上質問としています。予定の通りに進むはずもありません。このことを確認していただいたでしょう。私は、決して質問がうまいほうではありません。

◎ 川戸 裕美子 さん
 しかし、本会議は平日の昼間から開かれています。一般の市民は働きに出ている時間でしょうし、仕事の休みをとってまで議会の傍聴に来るということは考えられません。幸いこの問題も、12月の定例会からインターネットによる議会中継が行われることで解消できるようです。インターネットの議会中継により、議会が市民にとって身近なものになることを期待します。
● 吉田 つとむ
 何度か、この12月の導入する町田市議会のネット中継のことを川戸さんに説明しました。次回の定例議会から、外部から、市議会本会議のリアル中継を見ることも出来ますし、オンデマンドの録画放映で、いつでもその状況を見ることが出来ます。インターネットを通じてみることが出来ますので、世界中のどこからでも、だれからでも町田市議会の本会議をみることが出来ます。

◎ 川戸 裕美子 さん
 最後に、傍聴の途中でよくわからない場面があったのでお尋ねします。その場面とは、議員さんが一般質問の途中、「請願で出されている内容だから」ということで質問内容を多少自粛させられたというものです。ここで言われていた"請願"とはどのようなものですか。誰から誰に対してなされたものなのでしょうか。説明をよろしくお願いします。
● 吉田つとむ
 うまく説明が出来ず、少々長くなりますが、我慢してください。
 まず、川戸裕美子さんが、学校・大学で学んだ憲法の規定を下記に示します。

日本国憲法 第16条【請願権】
何人も,損害の救済,公務員の罷免,法律,命令又は規則の制定,廃止又は改正その他の事項に関し,平穏に請願する権利を有し,何人も,かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない
 <参考: 日本国憲法は、1947年(昭和22 年)5月3日施行。それを記念して、その日を憲法記念日とし、国民の祝日と定めています。なお、その憲法に基づき、請願法は、昭和22年3月13日 法律第13号として制定され、昭和22年5月3日 施行>

 その憲法16条とそれに基づく請願法で、国民が国会に請願を出したり、住民がその自治体に請願をだしたりすることを、権利として保障しています。そのため、町田市議会には、毎回の議会でその請願が提出されてきます。その請願には、国会や内閣、東京都議会や都知事に意見書提出を求める請願と、町田市議会自体に対する請願大別されます。

 正直に言って、請願には、実現性が高いもの、内容が切迫したものもあれば、決して、そのようには判別できないものもあります。しかし、先のように、その請願は憲法で保障された権利ですので、私たちはまじめに審議し、慎重な結論をだします。そうした結果、自治体の議会によって、その判断には大きな相違が存在します。それ以降の話題は、話が長くなりますので、ここでは詳細は省きましょう。
 さて、そうした請願が議会に提出されると、その課題とするものが、議員の一般質問内容と重なり合うことがあります。それは、請願の提出締切日と、議員の一般質問の項目提出日が異なっていることです。議員にしてみれば、自分が質問しようと考えていたことが、請願提出で質問の内容が制限されるのは、納得しかねることもあるでしょう。
 ところが、われわれ議員の質問権は、このように憲法のなかで明示されていません。特に、地方議会の質問権は、十分に保障された権利とはみなされていません。一般に、議員が一般質問する際には、その議会に提出される議案(予算案や条例案)とは内容が重複しない、同様に議会にどうような主旨の請願が提出されているものには、一般質問を自粛するという慣習があります。同じテーマに踏み込みすぎると、請願審査に接触し、請願権を損なうという解釈もあります。
 そうした結果、国民の権利である「請願」の審査を優先的に考えようとするのは、どの議員も町田市議会でも、毎回そうしたケースが発生し、その重複をどのように回避するか、議員や会派によって、その解釈がなかなか一致しません。議会運営委員会でも、何度も協議してきた課題です。そのたびに、議論が分かれ、解釈もさまざまに展開されます。
 川戸さんが傍聴していた際、私が質問する予定の一部を外し、最初の壇上質問の際に、答弁もその部分を含めないようにとわざわざ指摘したのは、上記の理由です。そのこともあって、私の質問では、議場内の議員に不明に思う議員がまったくありませんでした。
 今度の議会では、私以外の議員の一般質問でも、請願と内容が重複するテーマの件で、その質問が適切であるかどうか、不明な事例が生じていました。いずれ、議会運営委員会の話題になることでしょう。

 
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