インターン記録レポート(2) 東猴 史紘

町田市議会議員 吉田つとむ    2004/2 /11 作成
 東猴 史紘 3年生 2004/2/11到着
主要研究項目  庁舎等検討特別委員会の傍聴

インターンシップレポート(2)
                               東猴 史紘(とうこう ひろふみ)

○ 東猴 史紘さん
 2月10日、この日を持って吉野屋から牛丼が姿を消した。牛丼のファンではないが、あの柔らかい肉は十分魅力的だった。対してこの日私が傍聴した議会はとても硬かった。運が良いことにこの日行われた会議は特別委員会というもので、通常と違って、一般市民を参考人としてお呼びして質疑応答するという市民参加型の委員会であった。これは町田市の議会の歴史でも稀な形であるらしい。
● 吉田つとむ
 この日のビッグニュースは、確かに吉野家で牛丼が出されなくなったことでしょう。そうした時、我々は町田市政の将来に大きな影響を与える会議を行っていました。それは、庁舎等検討特別委員会の会議でしたが、現在の町田市役所を別の場所に移転しようということの是非を問うものです。そうしたことを議論する特別委員会の審査において、一般の住民の方を参考人として指名し、会議で発言してもらうやり方でした。なお、会議において、この参考人は委員に質問できませんが、自由に自分の意見を述べてもらう制度です。
 ただし、この制度自体は、議会の中では一般的なものです。なぜなら、毎年の予算でその費用を組んでいることでも明かです。しかし、実際には、私が議員になって10年が経過しましたが、過去に1回の参考人招致があったに過ぎません。市議会にとっては、それほど珍しいことと言えるでしょう。

○ 東猴 史紘さん
 議題は「市役所の位置を定める条例の一部を改正する等の条例」というものだった。理解できるようで理解できない議題だったが、中身は「新庁舎移転」に関する議論であった。参考人は6人であり、以下、その主張をまとめて私の感想をレポートしてみた。なおこのまとめは私の理解できた範囲でのものであり、一部間違っている可能性はある。
● 吉田つとむ
 この内容が難しくなっているのは、現在の市庁舎を新しい場所に移転しようとすることと、現在の市庁舎の表示が整理されていなかったのを合わせて処理しようとしているためです。
 そうして、議会内の各会派(議会内のグループのことです)が選出した市民の参考人が、全部で6名順に意見を述べていただきました。

○ 東猴 史紘さん
   (1) 山下しげる氏
町田市役所は老朽化がすすんでいる。老朽化の管理維持費だけでも莫大である。そして人口増加に伴って事務量が増加している。この問題を前にしてもっと市役所を利便性、機能性のあるものにするべきだという主張だった。
→確かに、私も初めて市役所にきた時、私の地元の市役所に比べて老朽化を感じた気がする。また人口が増えているのに窓口が少なくて長時間待たされた経験があるのを思い出した。事務量に比例して窓口の数を検討してほしい。

   (2) 戸口つとむ氏
 町田市は「地震の巣」である。よって防災対策を強化し、防災サービスの充実を図るべきであり、また新庁舎の機能面で、一つの役所で全てのサービスを行うという「ワンストップサービス」性を満足した新庁舎にすべきであるという主張だった。
 →確かに、現状として何か書類を揃える為に、いろいろな役所をまわらなければならないし、手間がかかる。一つの役所でいっぺんにできたら効率性は格段に上がるだろう。特に、戸口氏の「歳出の金額は問題ではない。重要な事は、どこに何を使うかである。」という言葉は私の心を打った。

   (3) 岡田豊志氏
 新庁舎は人命を守る安全策の充実したものにし、利便性、機能性のあるもの、また新庁舎のワンストップサービス性を高めたものにするべきだと主張しておられた。
 →確かに、いくら新庁舎を豪華で東京都で一番優れたものにしたとしてもそれはただの外見に過ぎない。守られるべきは市民の命である。私もそう思った。
  (4)  坂巻雄幸氏
 森野市への新庁舎移転は危険である。その理由として、移転先の土地は調査が不十分であり地盤がとても軟弱であるということ。よって地震が起こった時に非常に危険にさらされるという主張であった。
→この方は地質学者で、聞いていて何て、論理的な方なのだろうと思った。移転地の地質調査などが不十分であるとの事。よって市民の安全のためにも十分な調査をしてほしいと私は思った。また、過去の阪神大震災の反省をもとに、水道などインフラのデータは坂巻氏の主張されるように、データの分散を図るべきだと私も思った。リスクヘッジはしすぎてもしすぎることはないであろう。

  (5) 戸塚雅夫氏
 新庁舎移転の前に、都市計画から決定されるべきであり、また、役所において何人の職員にするかということも重要であり、新庁舎の職員数は少数の頭脳派集団にすべきである。そして行財政改革を図り、公的サービスの民間委託、出前型行政サービス、現場主義の徹底を図る。そうすれば職員の2割削減が可能であると主張された。
→「まずは都市計画をしてから」という言葉に私は感動した、そして同時に日ごろ私たちが忘れがちな事だなと思った。例えば、現在至る所で市町村合併が叫ばれているが、実際には合併による国からの財政優遇を目当てと受け取られる合併も少なくない。戸塚氏の主張されるように、都市計画、ビジョンを第一に将来を見据えた行動が望ましいと私も思った。

  (6) 渋谷謙三
過去の議会は専門家の意見を重視し、市民の意見は軽視されてきた。市民とのさらなる対話を望む。しかし対話が充実したとしても、参考人には議決権がない。また現在の行政は議論の前に既に結論が決まっており、結論をつくってから後から理論作りをして形だけ市民の意見を取り組んだかの様に見せる「アリバイ行政」であると主張された。
→率直に意見をおっしゃる方で聞いていて気持ちが良かった。特に渋谷氏のおっしゃる、「議決権がないのに参考人に呼ばれる。」という主張には市民の怒りと空しさを感じとることができた。確かにイラク派遣の際の事前調査団の件において国は調査団の報告の前に既にイラクは安全であるという原稿作りをしていたという。これは渋谷氏の言われるアリバイ行政であろう。これが行政の本当の姿だったとしたら非常に遺憾である。幸いにも町田市は情報公開システムの向上に努め始めている。しかし情報公開をいくらしても市民の声が議会に反映されていなければ十分でない。氏の言われるように、A:公の場で意見を聞く B:市民の声をどれだけくみ取ったかを公開する。この二つは真の民主主義を達成する上で必要不可欠なものだろう。
● 吉田つとむ
 東猴さんが、参考人さん方の意見をきちんとまとめ、それぞれに感想を書いてくれました。私も、一応各人の意見をメモしましたが、しまってしまいましょう。
 とくに、その要約に対応して、自分の感想も付したことは読む人に役立つことです。

○ 東猴 史紘さん
 以上がこの日行われた議会の内容と感想である。特別委員会で、特殊な形態の議会ではあったが、初めて議会を覗いた私が感じたことは、参考人として呼ばれた一般市民の方は「本気」だったという事だ。町田市の将来を本気で考えている人達であった。吉田氏をはじめ議員の方たちにはこの「本気の気持ち」を十分にくみ取っていただきたい。そう私は思った。議会中、ライバル関係にある議員の参考人である渋谷氏が吉田氏を誉め殺しにしていたが、これが何かを意図するものであったにせよ、私も吉田氏の推し進めている「情報公開システム」にはとても賛同する。情報公開という
言葉はやましい事をしている人が政策とするのは難しい、しかし吉田氏は本気で「情報公開」問題に取り組んでいる。行政の不透明さが叫ばれる中で、行政と市民の間を透明にしようと「本気」で取り組んでいる議員の1人であろう。
● 吉田つとむ
 最期の参考人である渋谷謙三さんは、その意見を述べられた中で、今回の参考人招致が私の発案であることを述べられました。また、これも私の発案である議会インターネット中継のことも含めて、議会の情報公開の進展と言う評価を述べられました。
 そのことは事実であり、自分自身が真摯に訴えたことですが、しかし、あのような会議の場で、参考人自身が、個人名をだされた発言にはびっくりしました。まさに、参考人の発言は自由であるという証拠かも知れません。
 その発言を野球で言うなれば、「魔球」と称するのがふさわしい内容でした。
なお、2月10日の会議は、午前中は参考人発言とその質疑がありました。東猴さんの要約でわかるように、参考人の意見は実にしっかりした内容でした。そして、午後は委員の行政に対する質疑が、延々と続くであろうと推測していました。しかし、現実には、30分とも質疑が続かず、次回に継続されました。次回は、参考人の意見に基づいた質疑が行われます。

 
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