インターン記録レポート(3) 東猴 史紘

町田市議会議員 吉田つとむ    2004/2 /16 作成
 東猴 史紘 3年生 2004/2/16 到着
主要研究項目  議会レポートの配布

インターンシップレポート(3)
                               東猴 史紘(とうこう ひろふみ)

 2月15日、この日の空気はバレンタインデーの余韻がまだ残っていた。そんな中、この日はチョコレートではなく、吉田氏の議会レポートをせっせと成瀬駅周辺のご家庭に配っていた。いわゆるポスティングである。最初はこんなもの業者に頼めば効率が良いではないかと思っていたが、後に「自分で配る事」の重要性を知ることになった。

 自分でポスティングするということは、一般的にいくつかのデメリットがあるが最大のものは、「機会費用面」でのデメリットであろう。機会費用とは「生産において、ある選択肢を採用したとき、ほかの選択肢を採用しなかったことによって失われる潜在的利益のうち、最大のもの。」である。このポスティングの場合でこの用語の説明をすると、「もし自分の足でポスティングするという選択肢を選んだとき、他の選択肢(業者委託)を採用しなかったことによって失われる利益のうち、最大のものである。」

 最大の失われた利益とはポスティングの場合何だろうか?(1)業者委託していれば他の残っている仕事ができた。(2)業者委託していれば体力温存が可能だった等があるだろう。しかしこの日最大の失われた利益とは、2月15日は日曜日である事を考えると「休暇、静養」であろう。吉田氏は「暇な時に休んでいるから日曜日は働いても大丈夫」とおっしゃっているが、インターンをさせていただいて吉田氏を見ている限り、「暇」というものを見た事がない。これが議員の生活スタイルで、当たり前であると言われれば仕方がないが四年間暇な学生の私にとっては驚かずにはいられなかった。

 さて、次は私が後に知ることになったという「自分で配る事」の重要性について述べてみたい。それは一言で言うと、「ポスティング」ではないということだ。ではポスティングではないなら一体何なのか?ずばり「コミュニケーション」である。「自分で配る」ということは同時に「市民との会話」に他ならない。自分の足で町を歩くと、必然的に様々な人々と出会う。吉田氏の知人であったり、初対面の人だったり、仲の良くない人であったり様々だ。その出会いの中で市民との会話が生まれるのである。ただのたわいのない話をすることもあるだろう。もちろん文句を言われることも、是正を求められる時もある。しかしその会話の中で、「市民のニーズ」は確実に感じ取る事ができる。吉田氏は三ヶ月に一回ポスティングをしているという。もちろんこのポスティングは議員の義務ではない。一回もポスティングをしない議員の方もいる。市会議員の任期は四年(後二年)、大学生と同じである。仮に私が今、大学二年生だとしたら間違いなく安心して遊びに夢中であろう。勉強は義務ではないのだから。しかし吉田氏は四年間、町田市の将来のために小さなことからきちんとやる努力
家タイプの方であろう。言葉では多く語らず行いで示す吉田氏にこの日多大な感銘を受けた。

● 吉田
 議員と言うのは、自由業に相当します。議会に出て発言をして、採決で自分の判断を表現することが仕事です。ただし、そのことができるのは、「選挙」と言う難関を通りぬける必要があります。
 その選挙においては、苦も無くそのプロセスを通り抜ける人物もあれば、言語に尽くせぬ思いで当選を果たす人もあります。他方で、落選して人から忘れ去られる人物群も排出しています。現職の議員の場合には、(1)宴会の会合に出席したり、(2)団体の行事に酸化して顔を売ろうというのが標準ですが、(3)街頭に出て演説を年中行っていたり、(4)丹念に「議会報告の文書」を配布してまわるタイプも存在します。私の場合は、(3)や(4)の行動を基本としているタイプです。

 上記の活動で、東猴史紘さんに、その日は(4)の活動を見てもらった次第です。東猴さんがそこで発見した様に、吉田つとむにとって、「議会レポート」を配布してまわる行為は、住民とのコミュニケーションを確保する手段なのです。その大きな理由は、吉田にとって、この町田市は地縁・血縁が一切ありません。38歳もなって、始めて足を踏み入れた土地でした。

 私が町田市に来た理由は、政党が公募を迎え入れたわけでなく、政治的な援護があってこの地に来たのでも無く、ただ、丘と谷と原とでできた丘陵地帯に広がる住宅地に引かれて舞い降りたことから始まります。

 最初は、町名も判らず、道路の行き来も覚えることができず、いきなりの衆議院選挙に出た次第です。もちろん落選、次も落選。力尽き、地方から出直すつもりの市議選にも落選。その落選が、首の皮が1枚つながると言う「次点」と言うポジションでした。お金も乏しく、一方では仕事を持った中で活動するために時間が十分でなく、そうした中で開発したのが、「市政への自分の見解を書き連ねたレポート」を配ってまわる」ことを、活動の基本に据えました。当選して以降は10年が経ちますが、このレポート配布の活動はおおよそ14年になります。実際に14年もかけた割には、まだまだ知名度や力が不足していると見るか、個人主体の活動と比較して、それを上回る支持を得ていると評価するべきか、これは自分が判断する立場ではありません。

 一つ付け加えるとすると、政治家というものは、人との出会いと会話が楽しくて、自分を休み無く外に駆り立てる存在であろうと考えます。そこに議会レポートの配布活動で目指すものは、「そのことで得る得票」より「住民と会話をする楽しさの時間」であるでしょう。

 さて、大阪府柏原市の中村幸平議員の元でも、新規インターン生が誕生しています。几帳面に克明なレポートを書き上げるタイプの学生です。相手の良さも勉強しながら、自分自身のレポートのスタイルを作ってください。
 
  文頭に戻る  インターン記事の見出し HPメイン 吉田つとむHP全体