インターン記録レポート(6) 東猴 史紘

町田市議会議員 吉田つとむ    2004/3 /07 作成
 東猴 史紘 3年生 2004/3/7 到着 
主要研究項目  議長・副議長選挙は、両方が劇的な1票差


インターンシップレポート(6)
                               東猴 史紘(とうこう ひろふみ)


● 東猴 史紘さん
3月5日、この日の午前は都市環境委員会、午後は全員協議会が行われた。就職活動でバタバタしていた事もあり二週間ぶりのインターン研修となった。二週間前と比べると議会全体が慌しさの雰囲気に包まれていた。この二週間の間に相当の動きがあったようだ。以下において前半は@この二週間、市議会内で何が起こったのかという事と後半はA3月5日に行われた委員会、協議会についてレポートしてみた。
● 吉田つとむ
 この日の日程で行われたのは、「都市環境委員会」所管の議案説明会です。非公式であり、単に説明を聞くのみで、議員が予備的な知識を得るためのもので、法的な根拠も、権限もないものです。質疑が無かったのは、そのためです。

● 東猴 史紘さん
 では前半の@この二週間の間に何があったのか?から書く。この二週間で議長、副議長選挙、役職交代があった。そしてこれらを行う過程で議員同士で想像を絶する熾烈な戦いがあったと聞いた。私は実際にはこの一連の動きは残念ながら休んでいた為、その場に居合わせることができなかったが面接をボイコットすれば良かったと思った程、町田市の歴史に残る名勝負だったようだ。何をそんなに大袈裟な事を言っているのかと思われるかもしれない。だが、今回選出された議長と副議長がどんな選挙を勝ち上がったかを聞くと驚く方も多いと思う。どんな選挙を勝ったのか?それは議長・副議長の両方ともわずか一票差で選挙を勝ったのだ。議長だけならともかく、続く副議長の選挙までも一票差の選挙だったのである。これは町田市議会の歴史においても
 稀な選挙であったらしい。選挙の様子は町田市議会のHPから動画で見ることができる。「一票」の恐ろしさを痛感させられた選挙であったようだ。特に副議長選での一票の内容が非常に面白いのだ。その話をする前にまず18世紀にさかのぼりたい。
 18世紀という単語と一票という単語をリンクさせると一つの歴史的事件が浮かび上がってくる。それはわずか一票の差で死刑が決まってしまったルイ16世である。これは当時の1月15から16日の朝にかけてナントの国民公会で記名投票が行われた。処刑を主張するロベスピエールらの過激派に対し穏健派で多数派のジロンド派の大多数は死刑に反対であった。だが過激な民衆が議事堂の周りを取り囲む中、死刑反対派であったジロンド派は結局空気に流されてしまった。従来一貫して「多数派=反対派」に属することを信念にしてきたフーシェは死刑に反対すると少数派に落ちるとの判断から最後には死刑賛成に回ってしまう。結局、一票差で国王の死刑が決まってしまった。
● 吉田つとむ
 町田市議会の議長・副議長選挙をフランス革命に比した事を書いてくれました。光栄です。今回の判断が、どうであったか。このことは、次の段落にも書くことですが、議長・副議長の選挙は、元来、秘密投票が原則です。誰が誰に投票したか、不明である点が、今回のようなドラマを作るわけです。

 その前に、重大なことが抜けています。町田市政にとって、町田市議会にとって重要な議案の最終審議を行っていました。それは、東猴さんも知っている、町田市庁舎移転の議案が可決となったことです。2月10日に庁舎等検討特別委員会が参考人質疑を行い、2月18日には委員会質疑が終わり、討論、採決と進みました。2月20日には、議会運営委員会で、その委員会報告を行い、表決することまでを決めていました。ところが、一つの会派がその日程を変更するよう、市長に申し入れをしたということが発覚しました。再度、24日に議会運営委員会を開き、当初の日程通りの表決を確認しました。議案の賛否の両派が入り乱れ、24×10で可決した次第です。ただし、この議案は、特別多数決(3分の2以上賛成)を必要とするもので、1名の議員が採決時に退席したほどの重さを持っていました。
 この市庁舎移転の攻防戦が、2月中旬から2月27日までの大騒動でした。これを欠かして、今回の問題は論じることが出来ません。

さて、正副議長が1票差で決したことは、今まで無かったことで、まれではなく皆無であったというが正確でしょう。

● 東猴 史紘さん
 では現代に戻って今回の選挙の一票の内容を見てみよう。副議長選で一票の差で勝利したのは市民派クラブの中山勝子議員なのだが、話の焦点はこの一票ではない。
 では何の一票の話をしているのか?次に書く。副議長選において35票中、中山勝子議員14票。川島龍子議員13票。無効票が2票あった。そして35から29を引いた6票は日本共産党の高嶋均議員が得た。この6という数字の中に今回のもう一つの隠れた一票の謎があるのだ。それは何か?実は共産党員は5人しかいないのだ。そして今回の選挙では共産党が勝つのは困難という事は人数上わかっていたことであった。だから予想上では共産党には5人しか入るはずがなかった。しかし共産党に一票を投じた人がいる。そしてこの一票がもし、川島議員に入っていたのであれば勝負は14対14の引き分けであったはずだった。もちろん中山議員に入れれば15対13で一票差ではなくなってたわけだが、今回の一票差選挙を演出したこの共産党に投じた影の人物、フーシェを演じたのは誰なのか??非常に興味深い。心から共産党支持で投票したのか?はたまたそれともフーシェの様に流されて意思のない投票をしたのか。それはまったくの謎だが、私が言いたかったのは、それを投じた人物、又は白票を投じた人というのは市民から支持され選挙で選ばれた市民の代表である。本来きちんとした意思決定をしなくてはならない筈であるが、その様な人たちがフーシェであっては困るし、ましてや意思決定放棄をしてもらう人物であっても困る。なぜ自分がその人に投票したのか、あるいは何も意思表示しなかったのかを市民に伝える事ができないような行為は果たして望ましいのかと私は思った。
● 吉田つとむ
 この段落の中で、東猴さんが事態を把握できないでいるが、重要な点があるのでそれを指摘しておきたいと思います。
 それは、今回、副議長に就任された中山勝子議員は、その選挙の以前に、市民派クラブを退会して、自分一人=諸派となっていました。この前週の2月27日(この定例議会の初日)には、先の市庁舎移転議案を表決し、その中山勝子議員はそこで賛成討論をしました。記名式投票(その賛否がわかる方法)の投票でしたが、その市民派クラブの1名の議員がその表決から離れ、退席しての投票でした。その時は、3分2以上を必要としたが、賛成多数で可決しました。その際、その退席した議員に向かって、同じ会派の議員が、「表決で退席するようでは、議員の資格がない」と大きな声で非難をしました。当事者は、またそれに反論していました。大声でしたが、全体では細波のようでした。それは、票差が若干開いたためでもありました。
 ところが、その市庁舎移転の議案で退席した議員は、3月1日の議長選挙に当初から名前が挙がり、最期まで選挙戦を戦いました。得票は12票であり、当選者に1票少ないのみでした。その得票差を勘案すると、先の大声で退席者を批判していましたが、議長候補と同じ会派の議員に1票入れたと判断されます。「あの怒鳴り会いは、演技だったのか」と言う方は、インターネット放映でご確認ください。123号議案(市庁舎移転議案)の投票が終了した時点をアーカイブすると見ることが出来ます。ともかく、議長選挙の得票数において、「会派」の存在という姿を、ある種の合理性で読み取ることが出来ました。
 さて、副議長選挙ですが、その投票の直前の出来事です。先の市庁舎移転議案の表決で、大声で退席者を批判した議員のそばに、同じ会派の議員がきていました。その議員は、その大声の議員に向かって、誰に投票したか、確認していました。投票用紙を見せる様に迫っているように見えました。その迫られた議員は、「誰に投票するか、自由だ」とはき捨てていました。
 議長・副議長選挙における従来までの厳粛さは、一挙にかき消されました。他の議員は、私を含め、その事態を無視するかのような対応でした。
 そうして、ドラマチックな副議長選挙の開票が行われました。
私が注目したのは、5票の白票が、なぜ3票に減少したか。それを推理することです。議長・副議長選挙では、投票者を記入しない無記名投票方式です。筆跡鑑定も行われません。投票者は、そうしたことを十分に見越して、議長選挙の白票を、他の候補者に切り替えたのでしょう。
これには、さまざまの説があり、またまことしやかに伝えられます。今回の選挙で、誰がどの候補に投票したか、まさに推理の世界です。オーソドックスであったのは、この選挙戦の中で候補者を辞退した人に1票も入らなかったのは、全員が「選挙のルール」を厳守したと言うことでしょう。

● 東猴 史紘さん
A:3月5日、この日行われたのは午前は都市環境委員会、午後は全員協議会であった。
両方とも内容は市の16年度予算について財務諸表を報告するものであった。こんなもの議員個人が自分で空いた時間に読めば1時間もかからないのになと思いながら傍聴していた。会議はただ報告するだけのものだったし、私はせっかく手元に町田市の財務諸表や会計報告書があるのでこの機会にいろいろ調べてみようという事で会議中、報告はそっちのけで町田市の会計報告書を読みふけっていた。注目したのは町田市の予算のどれだけが教育、社会福祉に回っているかという事であった。16年度予算は約1100億円そのうち約500億円(民生費385億、教育費153億円)がそれらに回っていた。役50%が教育、社会福祉に回っているのを見て正直驚いた。
しかしなぜ地方は国の三位一体で地方財政が苦しい、苦しいと言っているのかなと
 思って、歳入の中に占める国庫支出金と都支出金の割合を調べてみると歳入1100億円の中に国庫支出金は約130億、都支出金は95億、合計230億円で全体の歳入の20%をしめる。なるほど、小泉首相の三位一体政策で国庫支出金、都支出金が将来廃止される可能性を考えると約20%が地方独自で徴収する必要性に迫られるのかと頭を悩ませた。この230億円という数字は教育費、民生費(社会福祉)500億円の約半分の50%にあたる。今後明らかに地方分権下における地方の財源をどうするかを真剣に議論する時期にきているのだろう。国としても地方としても三位一体後、地方分権後のビジョンをもっと明確に示してもらいたいと私は思う。ぶっつけ本番というイメージを私は感じる。
● 吉田つとむ
 この日の日程については、前に書いた通りです。前段の部分は、議論をする「会議」ではなく、行政が議員に行う説明にすぎません。
後半の全員協議会は、本来、議案として決するべきものを、国の税制改正を待ってからでは、会議を再度、4月早々に開催することになるため、市長が「専決」で行うことをあらかじめ承認する意志を示したものです。
 地方議会では、会議が通年でないための方策でしょう。
 さて、予算書の件ですが、東猴さんの解釈は現実と大きく異なっています。小泉総理の三位一体改革なるもので、町田市に入ってくる国庫支出金や都支出金が無くなると心配しているようですが、「地方は地方」を原則とするなら、町田市の財政はもっと優良になります。国や都の支出金は、それらの施策によるもので、町田市が決めるものではありません。これから減少するのは、地方交付税と呼ばれるものです。都市部に薄く、地方に厚くとするものあり、これが廃止されることを地方は恐れています。我々は、そうした激減措置で「地方自治体」が解体することを恐れますが、それを真に実行すれば、町田市は極端に裕福な自治体になっていきます。しかし、全国の自治体経営を考えると、そうした自治体の多くが破綻をきたすことになるような施策には、(関心はあるが)簡単に賛成しがたいというのが、町田市議会の多数派の立場です。私も、その多数派の一人です。
 
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