イギリス滞在レポート
2000/8/30
村上直子

イギリスの生活で気づかされたこと
 
 わたしは、7月の下旬から8月いっぱいイギリスへ語学留学した。約一ヶ月間の滞在だ。この期間に多くの事を経験し、それらから学んだことは数え切れない。そこで今回は特に印象に残っていることについて述べたいと思う。
 わたしが特に興味深く感心したのは、イギリス人の行動や考え方だ。まず驚いたのは、道路で車のクラクションを聞かないことだ。まるでそこにクラクションがあることを知らないのかと思うほど、彼らにとって必要のないものなのである。なぜなら、運転者はいかなる場合も歩道者優先という寛大な気持ちで運転しているからだろう。横断歩道でないところを渡ろうとしている人にも道を譲る。こんなことは、日本では考えられない。イギリス人は人に譲るということ、待つという事を苦に考えないようである。この考えが、信号のない交差点である、ROUND ABOUTを作り出したのだと思う。
 またこのことは、エレヴェーターのつくりについてもいえる。イギリスのエレヴェーターには日本でいう「閉まる」ボタンがないのである。はじめは、誰も乗り降りしないのに、ただ開いている時間がもったいないと考えていた。しかし、よく考えると、なぜ「閉まる」ボタンが必要なのだろうか。放っておけば勝手に閉まるのがエレヴェーターである。日本という国は、なぜそんなに焦っているのだろう。この滞在中に、その何秒かの時間をもったいないと思う考えがおろかに思えてきた。待つという時間を無駄なものとして考えていたが、待つことで、自分の心に少し余裕ができるのではないかと考えられるようになった。
 日本にも、もう少し、「待つ」ことのできる心の余裕が必要なのではないだろうか。今の日本は時間に追われすぎている。子どもでさえもストレスを感じてしまう現代に、こんなイギリス人の考え方が必要だと感じた。