●  4期生インターン体験記録 
佐藤 あい子

 2001年春にインターンを再度受け入れることにしました。佐藤あい子さんのものは、2000年の12月段階にも何回かの体験記が大半です。2001年2月の記事が1件です。



東京ねっとわーく「明日の自治体シンポジウム」リポート

                     記:佐藤あい子

                    日時:2001年2月18日14:00

                     於:三省堂新宿ホール
 

 私自身、政治は地方から変わる・・そう思っていた。市政に市民の意見を反映させ、ともに創っていく社会はどんなに素晴らしいか…と思い描く。

 シンポジウムでは、鈴木邦彦氏(多摩市長)、山田宏氏(杉並区長)、藤井静男氏(大島町長)らがパネリストとなり、それぞれの自治に関する思いを述べた。なぜ以上の3人が選ばれたのかは定かではないが、各々の地域の状況が垣間見られ有意義な意見も多く聴かれた。

 3者は共通して「関心のある政策は環境問題」としながらも、抱えている問題は3者3様であった。とくにニュータウンの予算の削減を受けて、鈴木市長は「自立すればするほど財政的に優遇されないのはおかしい」と現状に懸念を示した。また山田区長も同様に「経済的自立がないと精神的自立はない。」と都の予算方針に難色を示す。印象深かったのは「都知事をどう利用して、お金を出してもらうかだ。」との鈴木氏の言葉だ。ここに私は地方自治における独立性を感じた。彼らが従事しているのは、市政、区政であり都政でもある。しかし、都の職員側には、なかなかそうした自治は都政と別格に考えられているような気がしてならない。だから彼らは何とかして地方自治に対する知事の理解を得ようと必死なのだろう。それは、以下の質問に対する回答に表れている。

 「石原都政をどのように評価するか。」―これに対しては、3者とも何らかの不満を持ちながらも、大方「良い」と評価している。「配慮が細かい」(鈴木氏)「処理が迅速」(藤井氏)など都政に期待も抱いているようだ。いや、期待しようと努力していると私には思えた。ここで批判して知事の理解を失ってはならない…という思いが見えた気がする。

 実際、石原知事になってから、改善された点も多くあるのだろう。それは多いに評価に値すべき点だが、今後は都政と市政、区政との間でどれだけの距離感を保ちながら、自治を進めていくかがカギとなるだろう。

 また、「市民参加をどのように反映させるか。」との質問に対し、鈴木市長は興味深い回答をした。それは「脱地方集権を目指す」というものだ。市政に権限が集中しすぎないよう、可能な限り民間に任務を委ねるという第4次総合計画を発表しているという。確かに高齢化社会を行政のみに任せるには負担も大きすぎる。これからは民と行政との「パートナーシップの時代」と鈴木氏は主張する。これは私の理想「民と行政による共同市政」に限りなく近いプランであろうと、私はうれしく思った。ただ、このようなプランが実行できるのも、必然的ではない。それに見合った人口比率や経済状況があるためだ。地域によって、課題や理想は異なるのだ。それは以下に如実に表れている。

 最後に会場から「IT化により民の声を聞きやすくなった今、議会の意味は何か。」との質問を受けて、3者の回答の多様性を面白く感じた。「大手企業と参画し、光ケーブルなど設備を整える。」(鈴木氏)「ネットモニター調査を導入。」(山田氏)と両者がIT社会に意欲を見せるのに対し、藤井氏は「町ではすべてが顔見知りであり、IT化はあまり受け入れない。」と回答。IT社会といえども、必要性のないところには、IT整備の義務はないのだ。

 私はここに地域ごとの発展度に格差がある、とは思わない。それぞれの地域色があって然るべきなのだ。

 当然、要求も地域ごとに異なれば、予算も異なる。

 ある地域だけに利益が集中しないよう、都政が十分な配慮のもとで推進されることを望むばかりだ。また当然ながら、地方自治もまた十分に民を配慮しつつ、自治を推進してもらいたいものだ。いや、自治とは議員や職員らが政治をするのではない。まさに自治の名のとおり、「自」ら、「治」めるのだ。民とどのように距離を保ちながら、自治を進めていくか、これが21世紀の新しい地方自治の焦点となることは間違いないだろう。

● 吉田の回答 (前回分)

  このシンポジュームは、東京都内の市・区・町村有志議員が、超党派で政策勉強をするために作ったグループである、「東京ねっとわーく」が主催したものです。吉田個人や吉田の後援会が主催したものでなく、政策勉強を自力で取り組もうと言う、自治体議員有志の協同事業です。結果的に、協力作業と言う利点と、参加者の人数などの把握がどうなるか、弱点の含んでいます。ただし、佐藤さんには、政治家は国会議員もいれば、市町村の議員や首長もいるということを、十分に認識してくれたと思っています。

 なお当日、吉田は会議室の外で、受付担当に専念していましので、このシンポジウムの記事を佐藤さんに依頼しました。当然、吉田がまとめた場合とスタイルが大きく変わりますが、インターン生佐藤さん作のものを、会に対する吉田の報告記事にそのことを記して盛り込みます。

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