清渓セミナー、講座T「日本の仕組みを改革する」北山雅也

講座T「日本の仕組みを改革する」北山雅也さんのまとめ

第8回清渓セミナー(木村良樹和歌山県知事)

 要約
 「日本の仕組みを改革する」という今回の講義で知事が最も訴えかけたかったのは、現在の横並び状態にある地方自治を改革していかねばならないということであろう。つまり地方自治を、現在のような中央に依存した形ではなく、地方が独立した形で行わなければならないということである。それを端的に言い表したのが「日本は三権分立ではなく、立法、行政、司法、地方自治の四権分立にしたらいい」という言葉である。そしてその方法として、現在の政策施行過程についても言及している。現在国からその市町村に政策が伝わるまでに、各都道府県を通している。しかし本来はその政策を行うのは市町村であるため、間に都道府県を通さずに国から直接市町村に政策が伝えられるべきである、という考えも述べられた。これは合併問題にも言えることである。現在行われつつある中央からの押し付け型ではなく、本来は各市町村、住民の自己選択型で行われるべきである。今、地方自治は選択を迫られているのかもしれない。

 感想
 地方の独立、これは現在至る所で議論されている問題である。現在の中央依存体質では地方の独立は望みにくい状況であり、その状況を改善しない限り木村知事のおっしゃる「四権分立」は難しいだろう。しかし仮に四権分立が実現したとしたら、各地方同士での競合、独自性の模索が促進され、結果として地方が活性化するかもしれない。そうなれば最も望ましい状況だと思う。その反面現在政府の恩恵を受けている地方も少なくない。地方・住民本位の状態になれば、現状維持すらできずに衰退していく地方も出てくるだろう。問題は独立できる地方と独立できない地方との格差に対して、どのようなスタンスで対処していくかであろう。私の私見としては、知事のおっしゃる「四権分立」は厳しいと思わざるをえない。なぜなら偶然にも私は和歌山出身であるが、和歌山が一地方として独立して発展していく要素をほとんど見出すことが出来ないからである。独立を支える基盤が少ない地方の独立について、まだまだ考えるところが多いと思う。

文責:北山 雅也