清渓セミナー、講座W「自治体再生」金子祐也
講座W「自治体再生」金子祐也さんのまとめ

 要約

今回の講演はパネルディスカッションという形式で、かつ、全体的な話の流れとしては、福岡県赤池町 埼玉県志木市、東京都小金井と町ごとの代表の方に行政についての発表をしていただき聴衆がそれに対し質疑応答と進んでいきました。
まず、福岡県赤池町についてですがその主題はやはり現在、地方に深刻な自治体の財政破綻に関わる発表でした。赤池町の歴史に始まり、文化、環境さらに産業、地方政治、財政について語っていただき、なかでも、いかに現在の財政破綻につながってしまったのかをバブル崩壊などの過去の大きな経済の流れから分析していたのが印象的でした。
次に、埼玉県志木市ですが何よりも自治体機構の効率化、地方経済の活発化、市民の政治参加など非常にはっきりとしたコンセプトで政策を語っていただき、政策自体も多彩なものでした。具体的には、人件費削減による自治体機構の効率化、ワークシェアリングによってできた余暇時間の利用、地域振興券の発行による経済の活発化など、あくまでも中央国家ではなく自治体自体が如何に主体的に地方政治に取り組むか、そしてそれがどのような結果を生むかが主な論点となっていました。
最後に、東京都小金井市ですがこれも同じく、財政再建についての問題を取り扱っており、やはり人件費の面からいかに組織の効率化を図るか、というものでした。自治体にとってどれだけ人件費というものが多くの支出を占めているのかが分かります。
全体的に不景気による、地方経済の破綻をどう立て直すかというのがコンセプトであり、
その責任者である小泉首相に対して、厳しい意見がちらほら見られたのが印象的でした。


 感想

今回の講演で、地方の実情またそれに即した政策を聞き大変有意義な時間を過ごすことができて感謝しています。とりわけ今、不景気の矢面に立たされている地方経済の対策に対する話でしたので、どれだけ自治体が危機にさらされているのかが感じられました。
その中でもっとも、印象に残ったのが埼玉県志木市についてで、質疑応答でも大変な反響でした。人口6万4千人程度で少子高齢化が進み、納税義務者が減っていく状況で職員削減、施設建設の効率化などで自治体財政を再建していくという具体的な話は大変興味深いものでした。また、行政パートナ―としての市民団体やNPOと協力して積極的に市民のを政治に参加させ意見を反映させていくということもいいと思います。政治的無関心が深刻になっていく中で政治にかかわる機会が増えることは重要だと思うからです。ただ、人口およそ6万4千人という志木市がどうやって人口を伸ばし、財源確保に努めるかの話がいまいちよく分かりませんでした。講演者が提示した政策も、人かつ資金があってはじめて実現可能なものに感じます。政策を提示した後は、現在の深刻な状況のなかでいかにその政策を実現していくのかを語るべきではないでしょうか?
今回の清渓セミナーでは地方議員の方たちの話を聞き大変多くのことを学ぶことができました。どうもありがとうございました!