清渓セミナー、講座X「総選挙と地方政治家の課題」田辺 翔

「総選挙と地方政治家の課題」田辺 翔さんのまとめ

講師:福岡政行氏(立命館大学客員教授)

<要約>

引き分け・再試合。2003年衆議院議員選挙において小泉自民党は、保守系無所属候補の入党を含めれば過半数に達することになりそうだ。与党としても絶対安定多数を確保した。しかし、比例では民主党が第1党となり、痛み分けとなった。「選挙に強くない小泉」への党内不満は今後の火種となる。
先の自民党総裁選で抵抗勢力のドンと手を結び、挙党体制を敷いた結果誕生したのは、「小泉樹海政権」だった。総理は青木ヶ原の森(青木氏と森氏)の中で、総裁選には圧勝したが総選挙では勝てずに道に迷った。そして党内にも、相当の不満が充満してきている。古賀誠・麻生太郎・平沼赳夫・高村正彦各氏は強い反発を見せ、亀井静香氏も最後の反撃チャンスを狙ってくる。
小泉首相の高い内閣支持率、そして安倍新幹事長との最強タッグは、そのまま投票には反映されなかった。自民・公明党VS民主・無党派党という構図ができあがった今、自民党は苦戦を強いられ、これからますます政局が流動化するだろう。また、しばらく日本の迷走が続く。


<考察>

福岡先生のおっしゃるとおり、総選挙後も混迷を深める国政。引き分け・再試合とは、今が過渡期であり、身動きが取れない状態であることに他ならない。だがこの未曾有の危機を迎えている日本に、果たしてのんびりしている暇はあるのか。国政が迷走しているから今だからこそ、地方のさらなる発奮を期待したい。
中でも私は、三位一体の改革に非常に注目している。地方議員の方々には、この改革によって移譲された税源を「適地適作」の精神で最大限有効に使っていただき、その誠実なる姿勢によって永田町の国会議員や霞ヶ関の官僚を啓発してほしいのだ。これこそがまさしく「地方から日本を変える」ということであろう。
借金が700兆円にもなろうかというこの国難の時代に、地方が日本の希望の光になってくれることを私は願ってやまない。

文責:田辺 翔