清渓セミナー、講座Y「地方政治とマニフェスト」長野友樹
講座Y「地方政治とマニフェスト」長野友樹さんのまとめ

  北川正恭氏(早稲田大学大学院教授、21世紀臨調共同代表)を講師としてお迎えして「地方政治とマニフェスト」という題名の講座が清渓セミナーの最終日に行われました。
 マニフェスト旋風の火付け役であった北川講師は、マニフェストを選挙公約とは一線を画し、守られるべき約束と位置付けました。マニフェストが果たされているかを判断するためには有権者に対して徹底的な情報公開が必要であり、また有権者の厳しい目が必要とされます。守られないのが当然という選挙公約が存在していたことが、日本の民主主義の質の低さを表しているが、マニフェストという存在が有権者の意識を高めることによって、民主主義の質を高める刺激剤になれば良いと提言されました。
 また北川講師は「北京の蝶々」という例に地方からの改革を語られました。「北京の蝶々」とは「北京で蝶々が飛べばニューヨークで竜巻が起こる」というカオス理論であり、ミクロの出来事がマクロを揺るがすほどの影響を与え得るという考え方です。このように地方の政治であっても、勇気と根気をもって小さなことから改革を行うことによって日本という国にさえ影響を与えられるような活動を続けたいという意思を表明して講座は終了致しました。

 私は地方分権に興味があり、北川講師の講座を拝聴するのをとても楽しみにしていました。今までの私の地方分権への興味は制度的もしくは政策的なものへと偏っており、その方法論に関しては全くといっていいほど頭には有りませんでした。しかし地方分権を推進する主役は私達の票によって当選した代表者であることを再認識させられました。従来の選挙公約のように守られるべきものが守られないという異常事態を正常と認識していること自体が異常であり、そのような選挙公約を守らない政治家をのさばらしてきたのは私達有権者の責任であると強く実感しました。そして地方分権を実施するのは行政であっても、地方分権を実施させるのは私達有権者の代表である政治であるということを認識しました。
 また北川講師のお話が終わった後、全国の地方議員の方々が一人一人「北京の蝶々」になれるよう目指すと発言された時はとても感銘を受け、自分もいずれ「北京の蝶々」へと成長できるよう努力を怠らないことを心に誓いました。

文責:長野友樹