講座V「地方議会人にもの申す」報告竹内 潤一郎
第9回清蹊セミナー 講座V

<講師>北川正恭前三重県知事(早稲田大学大学院公共経営研究科教授、21世紀臨調代表) 
(まとめ:早稲田大学鵬志会 竹内 潤一郎さん)

講座V「地方議会人にもの申す」

要約

清渓セミナー最終日に北川正恭前三重県知事(早稲田大学大学院公共経営研究科教授、21世紀臨調代表)を講師としてお迎えして講座「地方議会人にもの申す」が開かれました。
北川氏は最近の日本球界の状況を引き合いに出し、「野茂やイチローが海外に出ていった事、ある意味それが今日の球界再編の始まりだった。」と述べられ、そして「一羽の北京の蝶が羽ばたくと、次々と仲間の蝶が共鳴し、大きな風を起こして、ニューヨークにハリケーンを起こす」ということを話されました。これは氏の「ミクロの揺らぎがマクロを動かす」という一種のカオス理論の考え方です。そして、とりわけ地方の政治に関わる人達に、この考えを知って欲しい。受動的に変化を待っているのではなく自らが変化すれば、現在の硬直した中央集権制度に変化を生むきっかけになる。地方政治家には是非「北京の蝶々」になって欲しい、と訴えました。
また自身が三重県知事時代におこなった県庁改革・情報公開にも触れられ、いずれも国を見るのではなく、そこにすむ住民を主役とし、政治を行っていくことが重要との認識を示され、講演を終了されました。

感想

私が今回の講演を聞き全国の地方議員の方々と話をさせてもらうと、やはり今は日本の地方政治の大きな転換点だと実感しました。氏は講演でこの何十年間、地方の議会・行政機関のほとんどが上を見て、すなわち県や国の言うがままだったと述べられました。国や省庁が決めた法律や訓令に沿って、全国一律の政策を進めてきたのです。これはまだ高度成長期のように基本的な社会資本が不足していた時は有効な方法であったでしょう。しかし、バブルがはじけ各市町村がまったく違う状況に置かれる中で、このような制度をとることは間違っています。それぞれの地域の実情にあった政策、住民サービスを各自治体が行うべきだという氏の考えには、とても納得しました。
最近、「地方分権」を進める動きが活発になってきており、このセミナーに参加された全国各地の議員の方々が、ぜひその先頭にたって「北京の蝶々」になってほしいですし、また私もこの講演で感じたことを日々の勉学に生かしていきたいと思います。

文責:竹内 潤一郎