講座[「長野のおける教育へのアプローチ」報告佐藤 俊英
第9回清蹊セミナー 講座[

(講師:長野県知事 田中 康夫 氏) (まとめ:早稲田大学鵬志会 佐藤 俊英さん)

講座[「長野のおける教育へのアプローチ」

<田中康夫講義>

要約
今現在行われようとしている三位一体の改革というものは日本のこれから百年の形を本当に考えて行われたものではない。なぜなら三兆円の財源移譲のうちの2.5兆円が省庁の中で一番権限のない文部科学省の義務教育費を移譲するものである。義務教育というものは国の根幹をなすものであるのに、これでは教育費を財源が苦しいという理由で削られかねない。イギリスのブレアが総理就任時に主張したことは「一に教育、二に教育、三に教育」であった。アメリカのクリントン前大統領も強いアメリカの実現のために18人学級を掲げた。日本は資源大国ではない。であるならば、人材大国を目指さなければならない。実際、イギリスでサッチャー政権時に教育を地方に任せたことがあった。これによってウェールズ地方では教育にかけるお金が減ってしまったのだ。教育や生活保護は国が責任を持ってやらなければならない。改革というものはインフォームド・コンセントは当たり前で市民のインフォームド・チョイスによってなされなければならない。

感想
今回、田中知事の講義を聴講させていただいて一番象徴的であったのが講義の冒頭で自身のことを「信州知事」紹介したことだろう。これは田中知事には日本の政治家、官僚たちの「常識」は通用しないということを示している。実際に講義の中でも具体例、ユーモアを交えながら分かりやすく、また論旨を明確にして現在の日本や長野の現状、問題点を語ってくださった。内容は三位一体の改革の問題点、中でも教育の問題、また現在推し進められている市町村合併などであった。私自身が東京に来る前に住んでいた町もまさに市町村合併問題を抱えている町であったため非常に問題意識を持って講義を聴くことができた。知事によれば今も合併は合併ありきで目的を見失っているただの先送りだということだ。私もただただ納得させられるばかりであった。

文責:佐藤 俊英