報告者 総務常任委員会 委員長 吉田 勉
■ 前文
町田市議会総務常任委員の内8名、委員会担当の職員1名で、9月議会の終了後、平成10年10月6日より8日までの日程で、広島県福山市(市庁舎建設、駐車場建設)・兵庫県西宮市(震災後の対策)・大阪府八尾市(市庁舎建設)の行政視察を実施しました。
各市議会事務局及び担当部局のお計らいで、所期の目的を達しましたので、その概要を報告致します。なお視察先の各市で参考となる資料の提供を受けており、報告に必要なものは報告書本文に添付しています。そこでこの添え書きの中では、視察施設の名称・仕様・運用などで重複する部分は割愛することとし、特に印象深い事項、特記すべき事項を記載しました。
■ 趣旨
1) 広島県福山市(市庁舎建設、駐車場建設) 平成10年10月6日視察
*福山市は市制施行81年という伝統を持つ、中国地方でも有数規模の都市であります。なお、今回視察した新市庁舎は平成4年2月に竣工しています。
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市庁舎の造りは行政棟と議会棟に分離しており、間に吹き抜けのホールが作られていました。そのガラス張りのホールにおいては、市民向けの行事などが可能で、市民を対象とした各種の行事に使われと聞きました。私が観察するに、十分にその目的が達成できるスペースです。さらに、1、2階は行政棟部分となっていますが、端の方に会議棟が構成されています。さらに、会議室・食堂などを収容する東棟も併せ持っています。
建物の構造は、コンピューター通信ネットワークを構築できるように対応していると聞きました。
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1階部分には、市民部(市民生活課・年金課)、福祉事務所(福祉課・高齢者福祉課・保護課)、出納室などをもうけ、一般市民や福祉重視の市政と感じます。地上階は13階までが行政の各部署が入所しており、最上部は機械室となっています。
地下は防災センターや機械室となっており、阪神・淡路大震災前の対応レベルでありますが、災害時に指令部門が対応できるように機能的に構成されていました。
B
議会については、議会棟を行政棟とは別途の建物としており、入り口も別々でした。議会の独自性を考えると当然のことでしょうが、「町田市側」から見ると新鮮さを感じました。
追記:議場にはモニターカメラが設置されており、議事風景を市民がいつでも見ることが出来るとのことでした。議場で説明を受けただけであり、これ以上の事柄に関する言及は議会運営委員会の所管と考えます。
C
駐車場に関しては、周囲を公園化していることもあり、地下部分が公用車の駐車場となっていました。議会用には十数台分が確保され、議員が市民ニーズに対応しやすくできています。なお、町田市の場合は、市民優先をはき違えているのか、議会用駐車場は遙か遠くに設定されているのは自明のことであります。また、この市役所のすぐ近くには公用車駐車場と一体式の来訪者駐車場があり、市役所に用件がある人は、1時間までは無料で利用できるということであります。
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市庁舎の建設計画については、(どの都市にでもあろうことでありますが)資料に記載してあるように、長い間紆余曲折があっということです。
特記すべきは、地元にある大手運送会社のオーナーが「100億円を提供するので別の場所に計画してもらいたい」という申し出があったと聞かされたことでした。二転三転した後の事だったため、申し出を断ったという事ですが、政治にもしは無いのでしょうが…・このことが実現していたら、どのような庁舎となっていたのでしょうか。また、町田市の場合、今後そのような篤志家が出てくる可能性はありましょうか。
2) 大阪府八尾市(市庁舎建設)平成10年10月8日視察
*八尾市は市制施行満50年を迎えた都市で、大阪府下の衛星都市の一市であります。5か町村が合併して出来た経緯も含めて、町田市ときわめて類似性の高い都市です。なお、今回視察した市庁舎は平成6年3月に竣工しています。
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市庁舎の造りは1、2階部分がエスカレーターでつながれていることです。高さは地上10階建てで、議場は円形をした最上階にあります。議会部分は9階にありますが、行政と議会の機能分離が議場の形態にも現れています。事務部門の階の構成では、各フロアーごとに建物の両端にリフレッシュコーナーがあり、片側は禁煙、片側は喫煙可となっており、休息コーナー室としての機能を発揮しています。
A
旧庁舎敷地の現地立て替えのため、十分な延べ床面積を確保できなかったという反省を聞きました。このことは参考ですが、事前に送付している調査事項文書に対する、八尾市の回答文書の回答部分にも記載されています。先輩市としてのご配慮と感じました。
現に、すでに会議室をつぶして、執務室に使用している現状と言い、その反省では1、2フロアーを将来のために空けておくことが必要とまで指摘をされています。
B
議会については、議場の傍聴席が2層に分かれており、下段の記者席出入り口のところに、車椅子が入れるようになっています。
なお、円形議場の上は、当初ヘリポートが設置される予定とのことでしたが、近隣にコミューター空港施設があり、設置されなかったという次第です。
追記:議場には福山市と同様にモニターカメラが設置されており、議事風景を市民がいつでも見ることが出来るとのことでした。以下、福山の記載部分と同様です。
C
駐車場に関しては、地下に3層の階に設置されています。また、駐輪施設では、建物の容積率を確保するため、屋根なしにしたということでした。
D
市庁舎の施設に関して、委員より雨水利用の質疑がありました。答弁では、貯留施設を備えているが、近年の大雨の際には排水能力を超えるもののため、施設の一部が浸水したとのことであります。雨水利用施設では広大なものを備える必要を感じたとのことでした。
なお、市庁舎建設位置決定に関して、やはり二転三転したとのことですが、議会で全員一致の結論に至ったと言うことでした。
3) 兵庫県西宮市(震災後の対策) 平成10年10月7日視察
*西宮市は40万5千人以上の人口を有する大阪・神戸間に位置する、関西圏では有数の大規模都市であります。
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平成10年度においても、震災復興事業が最大の事業とのことであります。災害公営住宅の供給。被災者への住宅資金融資あっせん特例制度。仮設住宅用地の現状復旧。等々。一般事業名となっているものでも住宅供給事業や土地区画整理事業のように、震災対策であるものも多数あるとの事です。
A
他、震災に伴う消防・防火活動、災害救助作業の丁寧な説明を頂きました。また、防災対策として設置されている、防災備品倉庫の現地視察をやっていただきました。消防・救助活動に関して、各部署が応援機関といかに適切な連絡をとり、状況把握が出来るかが特に重要だということを再認識いたしました。防災備品及び防災備品倉庫に関しては、特記すべきものはありません。
B
委員より、夜間の防災訓練の実施に関して質問が有りましたが、実施していないとの事です。察するに、災害の復旧が今も課題であり、防災体制の充実まで至っていないのでないかと思います。他の質問では歩道橋・体育館の被害状況を尋ねるものがありましたが、歩道橋の落橋は無し、体育館の被害はほとんど無しと答弁が有りました。
追記:私自身、震災以降十数回にわたって、かつ様々のところに現地を訪れていますが、答弁者の言われる通りの認識を持ってきました。
C
被災者の住宅問題では、仮設住宅の居住期限が来ているが、震災復旧事業の公営住宅が完備していないことなどで、未だ2割のひとが仮設住宅にいるとのことです。平成10年末に仮設の統廃合を予定しているが、困難な状況にあるとも聞きました。
D
商工業者の事業復興に関する質問がありましたが、資料・答弁とも内容把握に至るものでは無い印象を持ちました。未だ震災前の人口に復活せず、ようやく40万人に達した段階と聞きましたが、この種の調査資料に関しては別途のものが必要でしよう。
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われわれの「震災後の対策」という問題意識と、受け入れ側の説明事項に少なからぬ差異がありました。より有効な視察にするために、相手側には大変かもしれないが、次のような質問と資料の準備を行うべきでありました。
人口減少の回復見込みはどうか?公営の恒久住宅に越した人たちの生活・就労状況はどうか?被災地の都市計画事業の進展にどのような困難が生じているか?商工業者の再起状況は、震災三年経過後どうなのか?さらに、復興事業に関して地元業者の復興状況はどうあるのか?等々の資料のあるなしをまず確認するべきでありました。
■ 総括
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2泊3日の日程で3自治体を訪れ、3項目のテーマで調査を行いましたが、市庁舎建設問題では、現在地の高層施設のみを視察したせいか、位置を移転した都市も見れれば良かったと思います。
建物で言うと、住民サービスと効率性。特に駐車場・駐輪場は言うに及ばず、交通機関の利便性も重要視すべきものです。現在地が交通機関からみてどの程度の利便性を有しているのかがポイントでしよう。また、市街に建設するのであれば、建物の高層化は必須課題であります。また、今回の二つの施設に共通しているのは、ホールで余裕空間をつくるか、周辺の公園化でゆとりを作るかが重要視されていることです。有効スペースの全部を駐車場化するのは考え物であります。
A
災害後の対策視察内容は、物足りなさを感じました。行政と住民のぶつかり合いが多々生じているはずですが、災害復旧の緊急対策に説明が費やされました。もちろん質問者は、最近の復興事業を尋ねる内容も有りましたが、答弁者の部署が異なっているようでした。質問事項をもっと絞り込んで視察を申し入れる必要性を感じました。
■ 上記の文全体の追記
●従来の委員会視察において、その視察成果は今後の委員会審査、及び個々の議員の質問などに生かされている思います。ただし今回の視察では、上記の報告添え書きを残しますことに致しました。その目的は、当事者以外の議員や市民に視察内容の目安を示すためであり、何かの点で参考になるものと信じます。
もちろん内容把握に批判が有れば、それもまた視察の報告としての意義が生じることであり、歓迎すべきものであります。記載した内容は、委員全員で協議して作成したものでなく、あくまで個人のレベルで作成したものですので、記載に問題点があれば、それは報告者個人の責であります。
その他に報告したい事項
●町田市議会議員の報酬が、同等他市に比べ著しく劣っている点は報告するまでも無いことですが、視察先の複数都市の例ですが、行政視察の内訳に「常任委員会」、「特別委員会」、「個人」とあることです。所属委員全員で、同一の調査事項を視察することも意義がありますが、多様な市民生活のあり方を考えると、これらの都市で行われている「個人視察」の制度を町田市議会でも取り入れ、議会の質問に生かすことが必要だと考えます。
(以上で、この項は終わり)