□ 開かれた政治と自由民主党

 一般の人たちの政治認識では、「開かれた政治と自由民主党」ほどかけ離れたイメージのものは無い。自由民主党というのは、「国会で重要問題の審議を行うのではなく、料亭等に派閥の幹部政治家が集まり、野党対策を取り込んで密かに重要問題を決めてしまう」と言う風に考えられている。つまり、派閥と言えば自民党の代名詞であり、他の政党トップを呼び込むのは自民党が得意とするところであり、「密室政治こそ自民党の特徴」であるかのように語られている。
 自由民主党の末端組織の活動を担う立場、ないし自民党所属地方議員として、その考えは「とんでも無い見方」とは言いたいが、「全部ウソの話」と主張し得ないことは明らかである。自由民主党にとって、末端の意見や主張がどのように取り入れられ、また取り入れ損なっているか、私自身の体験を通じて明らかにしたい。


● 自由民主党総裁選挙は激戦であれ!

◎プロローグ、結論(加藤候補に投票)も、ここで発表  (平成11年8月20日作成)

 自由民主党の総裁選挙の日程が近まりました。昨年の参議院選挙敗退の責任を取り、橋本龍太郎は即日辞任を表明し、一般党員に投票の機会を与えない党内選挙の結果、小渕恵三総裁が誕生しました。任期は、橋本前総裁の残存期間となり、今回の選挙に至りました。

 昨年の国会の首相指名選挙において、小渕恵三総裁を指名した自由民主党以外は、菅直人代議士に支持が集まり、衆議院ではかろうじて過半数の支持を確保できました。国内のみならず、海外においても極めて低い支持率でスタートした小渕政権ですが、自由との連立を計り、公明党の支持も受けて、経済の難局を乗り越え、懸案の政治課題をこなしてきました。この時期、世論調査の支持率も50%を超えるほどに至りました。この状況からマスコミでは、総裁選挙で小渕恵三候補が圧勝するではないかと考えているようです。一般には、山崎拓候補(山崎派)は、30名の国会議員推薦も難しく、総裁選挙の立候補資格もそろわなくなるのではないかと思われるほどでした。もう一人の加藤紘一候補(加藤派)の場合は、派の中で立候補に慎重論も出たほどでした。

 ともあれ、平成11年の通常国会が終わり、最終日の8月13日には、3名の候補(まだ総裁選挙の告示がなされておらず、厳密には予定候補、ただし公選法による選挙でないので、事前運動も違反にはならない)が一斉に立候補の表明をしたところです。前回も3名の候補者で選挙戦が行われましたのですが、その三者三様の戦いが繰り広げられ、結果的には現首相である、小渕候補の圧勝となりました。さて、今回はどうなるのでしょうか。国会議員の票はすでにマスコミや評論家から票読みがなされ、現職優位は揺るがないとされています。問題となるのは、わたしたち、一般党員の投票結果です。

 先に、私が投票する人物を明らかにしておきます。そのは、加藤紘一候補です。絶対です。このように、明らかにしたのですから、加藤候補は、立候補をずっこけるような事態は絶対に避けて下さいね。

 とどめようが無い中で進行する、国会での自自公路線であり、その推進者である小渕恵三候補が強いに決まっています。しかし、敢えて「候補者が名乗りを上げる」のが、自由民主党の総裁選挙の、良さであり生命です。私たち党員は、だてに3年間の党費をはらっているのではないのです。

◎ 目 次

○ 三者の相違点に対する、わたしの解釈

○ 地元国会議員はどのような立場なのか?

○ 自自公に対する党員の態度は?

○ 私の投票

○ その理由について

◎ 本 文

○ 三者の相違点に対する、わたしの解釈

 本命の小渕恵三候補に関しては、この総裁選挙に勝って、自自公の三党連立を強固なものにするのは明かです。この際、反対候補陣営の人たちは内閣から遠ざけることになるでしょう。公明党のほうだってこれだけ協力するからには、大臣の2や3人はほしいものでしょう。小渕候補に投票する気が無くて、組閣に注文つけるのはへんですが、自由党の二階俊博国会対策委員長を閣僚に入れてもらいたい。直にお会いしたことがある代議士ですが、約束したことはきっちりと果たされる政治家との印象を受けました。(阪神大震災の被災者団体/そして神戸/代表/上野泰昭氏をお連れし、国会内でお会いした時の印象です) 

 山崎拓候補は、立候補の推薦者30名の確保にも苦労されました。派閥というのは領主を首相にするのが目的のはずですが、比例代表で当選した、自派の党3役役員から立候補の同意をもらえないようで、気の毒です。もっとも、党の小渕総裁に対して執行部役員として推薦した派閥領主としての加藤候補の目の精度の問題であります。さて、深谷総務会長の最終判断はどのようになるのでしょうか。ここまできたら、立候補辞退は無いですよね。党3役を辞任された後に、三多摩支部連合会青年部の講演会で講演を最前列でお聞きしたことがあります。また、山崎候補は私の出身地である福岡県の県会議員から政治家としてのスタートを切られた、努力家の立派な人物であります。山崎事務所の所在地は福岡市中央区薬院にあり、私の自宅(ただし、昔も今もアパート住まい)から徒歩で10分位の所にありました。中学の同級生が秘書をしていたことがあります。ローカルっぽい、話で恐縮です。戦いの前に、こんな話ばかりしていると、湿っぽくなりますので止しましょう。山崎候補の候補者としての特長は、右寄り、かつタカ派のホープとしての存在であり、本当は中曽根直系と言える人物です。ただし、それほど急進主義的で無い側面がうかがえます。 

 加藤紘一候補ですが、ようやくの総裁選挙の立候補です。宮澤喜一現大蔵大臣からの派閥継承が遅れたことが、候補者としてのイメージを弱めています。これまで同じ派閥にいた、河野洋平総裁が、橋本龍太郎前首相と総裁の地位を争い、戦わずして退いた時点で、宮澤派から加藤派に派閥名を塗り替えてよかったのではないでしょうか。どちらかというと、おっとりした議員が多いとされる「宏池会」ですが、新憲法代議士である白川勝彦衆議院議員のように、細川首相を敵に回して最前線で戦った野戦派の人物もいます。白川代議士は、今回も親分がハラハラするのではないかという内容で、公明党批判の発言をしています。まずは、閣内からそう引き上げの方針で望むべきなのでしょう。しばらく、利権(本当はあってはならないことがらですが)から遠ざかる考えで対処すれば、活路も開けてくるのではないでしょうか。

○ 地元国会議員はどのような立場なのか?

 さて、私の地元の代議士は、伊藤公介衆議院議員です。前回は、三塚派ということであり、「YKK」の一人である小泉純一郎(元厚生大臣)候補の支援にだいぶ活躍されました。結果は、小泉候補は派閥の所属議員数にも達せずに、寝返り投票が大量にて出て惨敗でした。さて、森派として代替わりの今回はどのような対応をされるのでしょうか。伊藤代議士は小渕候補を応援されるそうです。

○ 自自公に対する党員の態度は?

 私の知る限りところにも、大勢の方が宗教団体に入っておられ様子です。私の応援を頂く方の中にも、それぞれの宗教に入っていると、知らされた方々も何人かられます。私は立正佼正会にも縁が薄く、それに入っておられる方とも余りお話をする機会でなく、この自自公路線がそれらの人たちにどのような印象をもって迎えられているか、不明のところです。

○ 私の態度と投票

 冒頭に述べたとおりに、私は加藤紘一候補に投票します。

○ その理由について

 私が、自由民主党の連立政権の相手である自由党に対してどのように思っているか、これから小渕内閣が連立していこうとする公明党をどのように考えているかについて、賢明な閲覧者の方々は、前述の記載でおよそ検討がおつきになると思います。

 また、私自身の普段の政治上の立場と行動においては、急進的な改革の手法を避け、あくまで漸進的な立場を取ることにしてことも合わせて、明らかに致します。国政においては、国民生活の安定をなにより重大する見地からすると、日頃から漸進的な手法を重んじる加藤候補が自由民主党の総裁に最適と考えます。

 自由民主党がどうあるべきか、どのような方法を排除するべきか、という根本的な問題に対する私の考えとしては、20年前に友人と発行した「国民政党の創建をめざして」の文章をご参照下さい。今回、様々の状況を見て、この文書を復刻し、このホームページの資料に加えることに致しました。この中にある、批判的合理主義の立場を保持することは、自由民主党に加わって以降の、今日に至るも、当時の問題意識は変わりなく持ち続けています。

 ただし、私が直接に国政に参加している訳でなく、また、その動向に直に係わるポジションにいる訳でありません。今の国政の政治動向に意見を言うことがあっても、一地方自治体の議員に過ぎない立場ですので、自分が見解をのべるチャンスがある限りにおいて発言することにします。今回は、一党員として総裁選挙投票の権利と義務を果たすべく、立場を明らかにするものです。

(この、「自由民主党総裁選挙は激戦であれ!」の項は、この行で終わり)


(5月13日)

●都知事選挙に見る、密室性と開放性

 まず、直近の例で東京都知事選挙の経過を通じて考えたい。人口が1千万人を越えた首都の知事となると、「東京」だけで決めることは自ずと出来ないことですが、いざ明石候補が落選となると、都知事の候補者は「(自民党)都連で決めたことだ」と言うことになり、都連の幹部に言わせると「都議会」で決めたこととなるらしい。少なくとも選挙が始まる頃までは、各種の会議で起こる党員の疑問にそれぞれの責任で語っていたものが、かくも変わるものだろうか。今回の都知事候補選定の経緯は、「密室の中で決められた」とだれもが思っているし、
 私としては、自分が出席した党の会議で、「不明な点は不明なこととして、質問として問い続ける」スタンスでいようと思います。党青年部でも、都連のでも、自分がその会合の参加資格があり、発言の時間が少しでもあれば、相手がだれであろうと、「直接会議の場で質問を発して、参加者全体に事態をわかりやすく、かつ明らかにする」のが、吉田つとむの役割と考えます。

 (参考記事−吉田つとむレポートVol.101)

都知事選敗北と言いにくい発言代行

★わが自由民主党推薦の明石康候補が都知事選挙で大敗しました。しかも主要な候補者中で第4位に位置するなど、選挙の一端を担った関係者としては驚愕する思いです。選挙戦では自分の後援者を募って有権者に投票依頼の電話をかけ、候補者の街頭演説では司会を務め、遊説では市内の道案内を行いました。候補者に身近に接した印象では、「候補者が悪い」とは感じられません。大敗の原因は、党本部の三役が国会対策優先の候補者選定を固持したことと、自立した都民の存在を無視した都連官僚の「頭の古さ」です。選挙の敗北後に、党の最高幹部が「候補者選考は東京都連で決定したことで党本部に責任が無い」とテレビで主張していましたが、末端で支持の拡大を呼びかけたわれわれは悲惨です。
★自民党町田支部の会議において、吉田は「党幹部がこんなに無責任な態度であるならば、今後の都知事選挙の候補者選考に党本部は関与してほしくない」と発言しました。同様の発言者が続き、その趣旨の決議を党本部に送付することに決まりました。実績として党本部の深谷総務会長や島村都連会長(辞表提出中)に会議の場で「言いにくいことを代わって発言」してきた姿が吉田の真骨頂だと考え、今後も機会をとらえて、「都民と市民に信頼される自民党」を提起していきます。