● 議員提出議案

    都市計画税の税率改正案は、両案否決!

◎ 内容の要旨と経過

 都市計画税UPはもう限界! 

 今議会最大の争点は、都市計画税の税率を定める二つの条例案(議員提出議案  第17号議案&第18号議案)の取扱とその決着でした。地方議会において、条例制定に関する「議員提出議案」の提出自体が少ないと言われていますが、都市計画税の税率策定に関して、その率が異なり、相対立する議案が提出されました。 

 誰しも税負担は少ないほうが良く、一部の人に偏った税負担を求めるべきでないとする考えから、都市計画税の税率案の攻防が始まりました。従来まで、本会議での全会一致原則が崩れて、両者の主張と質議が1時間30分も飛び交う、今回の総務常任委員会でした

 自民党案は0.235%

  自民党が提出した案(第18号議案)は、都市計画税の税率案を0.235%とするものであり、もう一方の案(公明党等の案で、第17号議案)0.25%とするものでした。 コンマ以下の攻防ですが、年額で3億数千万円に相当するため、「これ以上の高負担は一方的に過ぎる」・「税の減収は見逃せない」と言う両者の見解は、真っ向から衝突することになりました。

 委員会審議と本会議報告  

 総務常任委員会に付託され、総務委員が、提案議員(自民/の熊沢洋幹事長&公明/佐藤常雄幹事長)の両者に質疑。 委員会の採決では、我が自民党案は少数でしたが、本会議の状況は五分五分の見込み模様。本会議の委員長報告では、「両案」否決という決着。痛み分けの中、臨時議会まで持ち越しました。

 その他の経過

 目的が相反する二つの条例案が、同時に議会に提出されたことは無いとのことでした。しかし、現実に本会議に提出され、委員会に付託されました。委員会では、上記のように公明党などが提出した、0.25%とする案が多数を占めて決着を付けていたのですが、本会議に報告するに当たって、「委員会で再審議を図って(別の結論を出して)もらいたい」との要望が、代表者会議(各会派の代表者が集まる、非公式の会議)で全員一致で決まり、議長からの申し出がありました。

 総務委員会懇談会を開催し、その主旨を告げましたが、委員より反対する旨の発言があり、検討の結果、委員会を再度開催することは、取りやめと致しました。

(「都市計画税の税率を定める二つの条例案(議員提出議案)の取扱と、その決着」の要旨は、この行で終わりますが、議会と委員会の関係で重要なことなので、後の行もお読み下さい)

 

◎ 都市計画税課税水準に関する議論の動向

◆ 第17号議案の審議(公明党等が提案−佐藤常雄議員が説明及び答弁の主旨)

問い: 都市計画税が目的税ならば、税収が例年実質増加する状況を考慮し、税率を見直すべきではないか。

答弁: 都市計画事業に比して、都市計画税はまだまだ低い。現状で、都市計画税は事業全体の3分の1程度ということから、都市計画税をこれ以上、引き下げるべき余裕はない。ただし、税率を上げると、重税感を伴うため、現状維持を提案した。

問い: (提案に賛成的な質議)税率が、0.25のままで収入額が増えてきたとのことだが、それはまちづくりが進展したと言うことであり、土地所有者に見返りがあると思うが、どうか。

答弁: いろんな税金の中で、都市計画税ほどストレートに納税者に見返りがある税金はない。土地の下落下で、固定資産税、都市計画税が伸びているのは、都市基盤整備が進み、土地の価格が上がってきているのが、最大の原因である。

問い: 都市基盤整備は、なにも土地をもっている人たちだけでなく、関係住民全部に恩恵を与えるのではないか。

答弁: 確かに、全市民に等しく潤うが、経済的な見返りは一番先に土地所有者が、見返りも大きいことを理解してほしい。

問い: 国でも経済再生と言うことで、全力を上げており、わずかでも引き下げが必要とされているのではないか。

答弁: 全く気持ちは分かる。ただし、負担が減った分の補填策が明確に出てこない限り、軽減するわけにはいかない。

質議集結後の討論は無し。

採決の結果 賛成多数をもって原案を可決すべきと決した。 

 

◆ 第18号議案の審議(自民党が提案−熊沢洋議員が説明及び答弁)

問い: 以前に、共産党が税率引き下げを主張していたが、当時の自民党は今日と反対の意見を述べていたではないか。行政の継続性を考えると、矛盾していないか。

答弁: 今の話は、10年近く前の話と思う。当時は、土地の利用がすぐに出来た時代であり、今は土地利用したくとも、借り手がいない状態である。社会情勢が全く異なっており、と理解してもらえるはずである。

 問い: 所得税が減る中で、非常に大きな財源である都市計画税をさらに引き下げたら、市の財政運営はどのようになるのか。

答弁: 今回税率の見直しを提案したのは、平成7年度を基準として、都市計画税と固定資産税で合計12%も上がっており、この上昇率は異常と考える。所得税収入が減るからと言って、固定資産税や都市計画税に頼るのは間違いである。

問い: 税率を0.235%とすることで、今計画している都市基盤整備に影響はないか。

答弁: 税率を下げても税収が落ち込むというふうには考えていない。むしろ、高水準で安定すると思う。

問い: 税率を0.235%とした根拠は何か。

答弁: 5年前と比して、12%も上がっており、その水準で考えると、0.2%まで落とすことが必要である。一挙とは行かないと考え、0.235%となった。3年後には、成り行きを見て、もう少し引き下げることが必要かと考える。第1段階の提案である。

質議集結後の討論は無し。

採決の結果 賛成少数をもって原案を否決すべきと決した。 

 以上が、第17号・第18号議案に関する、総務常任委員会の質議・答弁の要旨です。総務委員の質疑は提出議員に鋭く向けられましたが、答弁した提出議員は、それぞれに自信と責任を持って答弁されました。

 私としては、この委員会での都市計画税の審議の全文を皆さんに見ていただきたい心境ですが、町田市では議事録は公開されていますが、文書から全文写し取るほうほうしかありません。OCRの読み込みも考えられますが、すでに議事録全体はコンピューター化それており、公開方法を@フロッピーディスクへのコピーを認めるか、A町田市議会の会議の議事録をホームページ上にアップロードすれば済むことであり、安価な費用と手間で出来ることです。

◎ 委員会審査とその取扱に関する、私の反省

 私が反省すべき点は、次の通りです。

 この都市計画税の税率改正案の審査は、委員会審議で決着が付いており、別の結論を出すために、「委員会で再度、審議をするという点には無理がある」と、もっと強く主張すべきでした。

 委員懇談会の席において、委員より「再審査するのは、おかしい}と言う、発言があったために、最終的に委員会を再会しなかったのですが、委員長として、その発言の貴重さをかみしめる次第です。そのほか、それぞれの委員より、執行者としての市長への配慮を考えた意見や、議会の先例を述べていただいた発言等を頂きました。

 今度の議会も、大変勉強になりました。

 地方自治体の場合、本会議で最終決定するまでは、委員会の審査は変更可能ということにより、この都市計画税の審査を再審査する方向で動きました。特に、代表者会議で全ての会派が、総務常任委員会の再審査を求め、議長から総務常任委員会を開催申し出の話を聞きました。

 直感的に、審査したものを委員会を再度開いて審議するもの不自然だと考え、再度の開催には無理があると主張していたのですが、全会派の見解が<委員会の再審査>ということであり、委員の皆さんに図った次第です。そのため、開催する形式も委員懇談会とし、「委員の意向を打診する」と言う形態を取りました。

 にもかかわらず、委員より再審査に反対する意見が出たのは、次の理由と考えます。

 @ この議案の審査では、1時間30分に亘って両案に対する質議・討論が続き、十分な審査を経た上での議論であったことにより、委員会としては最善の努力をしたこと。

 A委員会の審査に関して、修正案の提示などの一本化の歩み寄りの機会を設けるべきであったが、相対立する状況を全ての議員が容認していた。つまり、総務委員以外の全議員もしくは全会派は、総務委員会の判断に任せていた。

 B全会派の一致点として、「最終日の本会議で両案を否決して、結論を次期に繰り延べる」と言う手法があるわけであるから、その方法に向かうのが自然であったのでしょう。

 Cさらに、付随的な問題と考えますが、総務委員会での決着後、最終本会議までの間、一週間の期間があったにも係わらず、会派間で、その間の一本化の話が何の進展も見せていなかったことも、影響を及ぼしたのかもしれません。

 上記の経過を改めて考えると、委員長として、「委員会の結論を再審査する」という手法を、委員会に提案すること自体が困難なことであり、委員の私に対するクレームはもっともなことでした。議員懇談会における、委員からの「委員会の再審査の理由は無い」と言う発言があったことに、委員長としては感謝するべきものと判断しています。

(「議員提出議案 都市計画税の税率改正案は、両案否決!」の記事は、この行で終わります)