● 常任委員会審査と、

   代表者会議のあり方を巡る攻防

 平成11年9月議会において、都市計画税の税率改正を巡り、様々の問題が発生しました。その中に、条例案を審査する所管の総務常任委員会と、代表者会議(各会派の代表者が出席する協議機関)の関係というものが問われました。

 「議員提出議案・都市計画税税率案は、両案否決」のタイトル記事の中で言及している問題ですが、両者の関係をここで若干の整理をすることにします。

◇◇議会の構成◇◇

◆ 本会議

 40名の全議員が出席し、各議員がとも1議員として対応します。本会議に提案された条例案や予算案等の議案は、基本的に下記の委員会で審議されます。

 誰でも、1つの議会で1回(最長質問時間は40分)の一般質問が出来ます。また、委員会の審査を前に、自分が所属する以外の常任委員会所管の、提出議案に対する「質議」が自由に行えます。

 委員会に付託しない即決議案の場合、そのまま表決を行います。討論があり(特に出ないケースもあります)、賛否が問われます。出席議員の過半数で成立です。まず、町田市の場合、本会議を欠席する議員はいないため、議長を除いて、39名の過半数である20人の起立で、成立となります。

◆ 常任委員会

 町田市には、それぞれ定数が10名の4常任委員会(総務、文教社会、環境・企業、建設)があり、各議員は議長を含めていずれか1つの委員会に所属します。

 委員会では、委員長を除いた9名で採決が行われ、5名で過半数となります。事情によって、1名の欠席者や退席者が出ると、可否同数のケースが生じ、委員長の判断で決します。ただし、委員会の決定は、最終決定でなく、あくまで委員会における決定に過ぎません。委員会の構成は、会派の所属議員数にばらつきがあり、本会議の採決で、委員会報告の結果と反する結果を出すこともあります。

 * 事例として、■ 私の議会発言とその成果、及び失敗の教訓 の「● 市施設の公平な利用はいかに有るべきか?(テニスコート)」をご参照下さい。委員会報告で否決すべきとした請願が、本会議で「反対討論」をし、逆転の結果を得たことがあります。


 その他に、定数10名の議会運営委員会があり、会派の人数に所属議員数が決まっています。閣議案の取扱は、まず議会運営委員会で協議されます。行政から提出されるものは、行政側の担当部署がまず決まっているため、所管の委員会は自動的に決まりますが、とくに、住民から提案される請願の場合、審査をどこで行うかは、その都度、協議の対象となります。最近では、「議員定数の削減を求める請願」をどこで取り扱うかで、随分と協議が重ねられました。また、議会の運営に関する規則・要項などが長年の積み重ねで策定されています。

◆ 特別委員会

 継続的に存在している災害対策委員会があります。他の都市では、特定の問題で長期間もしくは、継続的に特別委員会が設置されているケースがあります。多摩地域では、「基地」、「都市交通(モノレール建設を含む)」、「市街地開発」等が、その例です。

 他に、平成11年3月議会より、定数14名の議会改革特別委員会と、同じく定数14名の行財政改革特別委員会が設置されています。通常は、常任委員会で取り扱うものでも、特別委員会が設置されているものについては、その委員会で審議されるケースがあります。ただし、期限限定の委員会のため、目的が果たされると廃止されます。

◆ 代表者会議

 様々の内容を協議します。国会の国会対策委員会と幹事長・書記長会議をあわせたもの(それ以上の存在)に相当するのではないでしょうか。ただし、決定事項に関しては、全員一致の原則があり、意見が合わない場合、協議は終わりとなります。

 今回の都市計画税の税率改正では、議員提出議案であるため、当初、代表者会議で「統一案」の絞り込みが図られていました。市長の市政執行に対して、議会で2つの案が競い合うという事態は好ましくないと言う共通な認識があったためです。

 自民党側は、現状より少しでも税率を低くする。そのため、税率自体に関しては「妥協しても可」と言うスタンスを取っていました。一方、公明党などは現状の0.25%の線は譲れないとするものでした。

 通常、期間3年のものを1年とする暫定案も模索されたようですが、いずれも「来年」をどうするかで、最終決着が着きじまいとなりました。

 いずれにしても、代表者会議は、全員一致の原則があり、代表者会議で決定されたことは、会派全員が拘束される内容となります。逆に、代表者会議で一致を見ないものは、通常の議会のルールで決することになります。

◆ 経過

 今回の都市計画税税率改正の議員提出議案がそれであり、本会議に出され、所管の総務常任委員会で審議することになった経緯です。別記のように、総務常任委員会では、税率0.25%とする公明党等の提出議案が多数となり、その結果を本会議に報告する次第となりました。

 ところが、今回は、総務常任委員会の決定と、本会議の判断が逆転する可能性、可否同数となる可能性、いずれにしても僅差の結果が事前に予測され、総務常任委員会の終了後に、最終日の朝にかけて、委員会における再審査を望む方向となった次第です。

 この後の経緯については、 「議員提出議案・都市計画税税率案は、両案否決」の記事で、詳述しています。

 今回の経過を踏まえ、自分がどの立場に立つか、どの方針が採用するのが適切か、という事態で、直接の判断を下すべき当事者となりました。様々の情報が乱れ飛び、これが適切だとする意見が飛び交い、一瞬の判断が引き返せない事態を生じさせる結果を引き起こします。

 今回は、本会議で両案を否決−通常の事態でないことは自明ですが、この事態を受け入れるほかはなかったということが結論でしょう。住民の皆さんにね経過を出来るだけ正確に伝える必要があると考えました。

 今回の事態は、本会議や委員会の記録を見るだけでは、大事な部分が欠落している考え、この記事を書き留めた次第です。

 別の議員からは、また異なった見方や意見があるかもしれません。特に、この種のケースでは、一般紙・地方紙を含めて記事になることことはほとんど無く、議会の広報でも、両案否決の結果のみが掲載されるに過ぎませんので、町田市議会(議員)の動きを示すという立場で、記事としたものです。

 私としては、一言の発言の重要性をかみしめました。 

(「常任委員会審査と、代表者会議のあり方を巡る攻防」の記事は、この行で終わります)