● 視察報告

◇処分場組合議会の地方視察(旧作を収録)

 下記の文章は、私が平成8年7月25日に書いた、東京都三多摩地域廃棄物広域処分場組合(複数の自治体で構成する一部事務組合議会、東京都日の出町にある、八戸沢ゴミ処分場・二ツ塚ゴミ処分場)の視察報告を再録したものです。

 提出した元文を、同上の組合議会事務局より、FAXでお送り頂いたものを、OCRで読み込みしたものです。事務局長宛の送付文と、報告書の2つに分かれています。視察報告を提出する制度があるわけではありませんでしたが、特別禁止する制度もありませんでしたので、提出した次第です。

 今読み返すと、わかりにくい部分や、状況が異なっている部分、誤字などがありますが、出来るだけ原文の添って、再録しました。

 また、当時の自分の見解と、現在の問題意識の中では異なった考えの部分もありますが、すでに自分ら離れた文書であり、この文章そのものとして内容を明らかにしました。 

◎ 視察報告書の送付文書 

                                       平成8年7月25日
東京都三多摩地域廃棄物広域処分場組合
事務局長  飯山幸雄様

                    御礼

                                       町田市選出議員                                              吉田勉

 去る7月10日ー12日に実施された、実りある視察に関して、ささやかな感想を記しました。拙文でお恥ずかしいのですが、なるべく印象が残っている内にと考え作成致しましたので、別紙にてお送り申し上げます。

 私ごとでありますが、町田市議会議員選挙に平成6年2月に初当選した1期生議員であります。町田市議会におきましては、2年ごとに改選が行われており、本年(平静8年)3月、当組合議員に選出され、5月28に開催された組合議会の全員協議会の席にて皆様にご紹介頂いたばかりであります。

 去る、7月1日に行われた「谷戸沢処分場」の場内視察では、初めて侵出水処理施設の監視盤設置機器を見る機会を得ました。その際に資料として求めました、従来機種電気伝導度表示器などの名称と、取扱い説明書の写しを今月に入って頂戴致しております。

 さらに、去る7月l0日より行われた、鳥取・島根県への行政視察に視察団員の一員に加えて頂きました。キャリアを積まれたベテランの方々と、親切な事務局担当者の皆様方に、全日程中は先輩の皆様方に何かとお世話になりました。また、各々の視察地におきましては、私は、不明な点は全部聞くという姿勢で、講師を務めて頂いた担当者の方々にお尋ね致しました。視察先が多く、忙しい日程の中をさらに時間を使い、宿泊先に入るのも夕方になるほどでした。

 以下、1期生議員の感じたままを記さして頂きますので、宣しくお願い申し上げます。
さらに、今回お世語になりました、事務局にも同文の感想をお送り致しましたことを申し添えさせて頂きます。
                                                以上

*上記文面について訂正するべき事項、最後の文節の「事務局」は「議長」の間違いです。


◎ 視察報告内容

1)豊富でバラエティーに富んだ視察でありました。

@「烏取県東部広域行政管理組合」の東部環境クリーンセンター
(処分場造成現場
A安来市高尾クリーンセンター(粗大ゴミ処理施設)
B安来市クリーンセンター,穂日島(最終処分場・浸出水処理施設)
C日本理化学研究所(東出雲実験場)
D出雲リサイクルセンター(Eとともに出雲市外市町広域事務組合)
E出雲クリーンセンター(埋立処分場・粗大ゴミ処理施没)


2)視察先の熱意に感謝するものです。

 とかく挨拶というものは形はかりだと見られておりますが、視察先の鳥取県東部広域行政管理組合」の,影井潔巳監理者(鳥取市助役)の挨拶には特に心が打たれました。午前の視察を終え、昼食に先立ってのご挨拶では、新設の処分場の用地買収に当たって日本中の処分場施設を回られたこと、住民の皆さんと200回以上の交渉を重ねられたことなどを詳しくお話し頂きました。

 またその建設用地は、周辺住民の方々に二度と持ってこないと約束して建設された従未の処分場に隣接している場所に決めての交渉であったという話には絶句致しました。ようやく2年前に交渉が妥結し、平成9年度に完成というスケジュールで工事に取り掛かっており、日の出処分場に比べると大きいとは言えませんが、総工費は75億円に達するる施設ということでありました。関係者の自負心がひしひしと感じられました。

 安来市の視察においては、現地視察に先立ち説明が行われましたが、平成3年のこととして、安来市のゴミ処分場が、県に対して無届け出であることが明かになり、使用不能という事態に陥ったということでした.その後、わずか1週間で分別処理の対策を作成し、1ケ月間でゴミの分別回収が行われるようになった経緯が述べられました。行政が明白な違法行為を行っていた典型でありましょうが、担当者の皆さんのご努力に感心しました。(去る7月18日、安来市より、その過程を記録したビデオを、吉田宛てにお送り頂きました。)

 容積で埋立ての半分を占める廃プラスチックの削減には、下記の白本理化学研究所による廃プラスチックの油化還元に、その内の1割を委託しているということでした。

3)掘削方法を聞けたのは幸いでした。

 最初に訪れた「烏取県東部広域行政官理組合」の処分場は、現在の処分場が平成8年度で埋立が終了し、平成9年度からは次の処分場を必要としており、その処分場の第1工区の工事が進行しており、進捗率80%という事でありました。

 埋立容量が52万立法メートルという規模ですが、締切堰堤は重力式コンクリート式、遮水シートはしなやかなポリウレタン製のものが使われ、シートの下には、保護材として厚さ2センチメートル程度の不繊布が敷かれているという事でした。さらに埋立地底部には不透水材のモンモリナイト(粘土成分)を30センチメートルごとに締め固めながらアースライニングを行うという事であり、漏水検知システムも完備しているという事でした。

 質問に答えるという形でしたが、ゴミ処分場に於いて、ゴミが深くたまった部分でシートがやぶけた場合、深いところはライナープレートを設置し、その中を掘削していく工法を考えていると説明を受けました。

 ご承知のことでありましょうが、私の知識では、ライナープレートというのは、立て坑をほっていく際に用いる、山止め用の組み立て式円形(もしくは楕円形)鋼板であります。通常の杭打ち工法だと、杭打ち込み用の大きな機会を必要としたり、打ち込み作業に振動を伴ったりしますが、ライナープレートを使えば、深度があっても、狭いところでも、上から下に掘り下げることが出来、掘った分づつ、そのライナープレートを下に付け下げることが可能であります。

 先の全員協議会の席上、最後の質問において、新たにつくられた研究プロジェクトの「谷戸処分場調査検討P.T.」の検討結果を、議会に都度報告してほしいと要望致しました。 先日、会合が開かれた旨の内容を記した、第1回目の報告書を頂きましたが、埋立て地の掘り下げの検討に際して、このライナープレートを使用する掘削方法は調査検討の対象とされているのでしょうか。改いた改めて思いついた事柄であります。

4)ゴミ減量で地域に貢献したい。

 ゴミ減量策として、安未市においては,透明袋の使用義務化や、出雲市ではさらに透明袋の販売による一定以上のゴミ排出を有料化する方法も合わせて取られておりました。近い将来、収集の安全性の問題からも透明袋の使用義務化と、個人・個人家庭レベルのゴミ排出の削減方法として、収集袋の一部有料化の採用が迫っていると感じました。

 また、以前に出雲市で一部採用されていた、燃焼装置を積載した可燃ゴミ収集車は、騒音等の理由で現在は使用されていないという事でした。

 次に、廃プラスチックを油化するという「日本理化学研究所」の倉田大嗣氏の話を、研究所のプラント場所で、直にお伺いしましたが、その内容は大変興味深いものでした。2基の実験機械を交互に運転させながら、私達は直にその過程を見せて頂き、2時間にわたる説明を受けました。

 説明によると、1基は発泡スチロールを機械の上部にある蓋より入れ込み、パイプの先端より灯油(灯油相当の高温の油、以下灯油と記す)が出てくるという装置であり、別のもう1基は、高さが10メートルにも達しようとする大型の機械で、雑多な廃プラスチックを機械上部より入れ込み、(円滑さを加える為)製品化された粒状のプラスチックを加えて、同様に油化するという機械でした。それらの装置の中では触
媒が利用され、高温(230℃)の灯油の中に混ぜ込むという説明でありました。機械の中では1%の浅さが残ると言うことでしたが、運転されている機械の受け口からほ、勢いよく先の灯油が噴き出で参りました。実際には、上部に入れ込んだプラスチックが油化して、直ぐに出ているのではなく、出てきているのは既にこの機械で作られた物が、パイプの先端より噴き出ているとのことでした。本来ならば、1日掛り
日程で視察をすれば、我々にももっと理解しやすい機械なのでしょう。

 また、その製品は現在では混合油として出荷するということでありました。理由として、灯油としての製品を出荷するには、石油製品の製造のための精留塔(蒸発点により、ガソリン・灯油・軽油・重油などに分類精製する)の設備を要するという運産省の厳しい許可制限があると説明を受けました。

 代替ガソリン(十数年前に,韓国などから輸入されていた、商品名フェル)のように流通当初は無税でも、普及しだすとガソリンと同じ税率がかせられたようになるのではないかと質問の中に入れました。もっとも、それほど生産高が増えれば、連産省でなく、菅直人大臣の厚生省による支援措置が取られるのかも知れません。

 当の機械類の問題については、見ようによっては、それぞれの機械は安定的に十分に稼働するのか、小型の機械のように発泡スチロールに限定するのでは、管理が大変ではないかなどなど疑問も感じられるのでしょうが、合田所長の熱意と、廃プラスチックを燃やしてダイオキシンを発生させないように、燃料化して使用するというリサイクルの考えには傾聴すべきものを感じました。是非、事業として成功して頂きたいものであります。

 翻って、我々の自治体では廃プラスチックは、限られた大型店・スーパーにおいてトレーの引き取りによるリサイクルが行われていたり、可燃ゴミとして焼却されたり、破砕して処分場に埋め立てられるしかないのであります.

 さらにいくつかの自治体で試みられている「固化」の方法と合わせて、それぞれの自治体が改善方法を取り入れるべきなのではないでしょうか。

                                                  以上