● 一般質問:収集した廃プラ類は、保管しているか焼却か

 今回の一般質問では、原稿やメモを用いず、壇上での質問を行いました。町田市議会本会議では、極めて珍しい例です。「清渓セミナー」実行委員会主催の研修会で、政治評論家である、福岡政行白鴎大学教授(政治学)の講演を聞いて、<NO原稿>にした次第です。  

 福岡先生、無謀な挑戦をさせていただいて有り難うございます。

 

◎ 私の質問趣旨と、市長答弁の大意

 

  以下の質問と答弁は、実際には4回の質問と、4回の答弁をまとめたものです。町田市議会の本会議一般質問は、一問一答形式は避ける事になっていますが、質問の回数に制限が一切あれません。質問のテーマや、答弁の要領で異なりますが、一回の質問で終了する議員も有れば、5回、6回と尋ねる議員もあります。議員(もしくは、政党も有る程度関係する)によって、特徴があるというのが正確な評価でしょう。

 

◎ 本文の構成

 1 この一般質問の大筋

 2 答弁の中身について

 3 再質問の内容と答弁

 4 今後の展望

 5 質問に漏れた内容とカットした部分

 

◎ この一般質問の大筋

  @ 廃プラ収集実験の実績と、住民意識がどのように変化について。
  A 中間処理施設の建設の具体化について。
  B 今日まで、収集した廃プラスチックの保管状況について、
  C 廃ブラスチックの資源化と処理方法は、具体的な過程について。

 @ 廃プラ収集実験の実績と、住民意識がどのように変化について。

 今年の4月から一部地域(町田市の南地域)で開始した、廃プラスチックの実験収集の状況を尋ねました。目的は、この実験が果たして1年間で予定どうりに終了して、全域の収集に替わるのかどうかを確かめる為でした。

 住民意識の変化を尋ねたのは、廃プラスチックの分別区分に対する参加状況を聞くためでした。住民の廃プラ分別の意識向上は当然ですが、廃プラゴミの減少にどれだけつながって行くのかが課題とするものです。

 A 中間処理施設の建設の具体化について。

 実験地域の廃プラ収集から、全域に広げると、処分場に野積みした廃プラが増えるばかりです。集めた容器包装プラを圧縮・梱包する施設建設は予定通り進行しているかどうかを尋ねました。また、遅れているとするといつ頃建設されるのかを尋ねました。

 B 今日まで、収集した廃プラスチックの保管状況について。

 これまで、廃プラを収集して、全て町田市で保管していると考えていました。野積みされた廃プラがどのようになるかを尋ねる意図でした。また、処分しているとすると、保管状況がどうなるかを尋ねたものです。

 C 廃ブラスチックの資源と処理方法は、具体的な過程について。

 町田市が集めた廃プラスチック類は、他県に持ち出して、焼却しているようだと考えられ、質問前に町田市のゴミ処分場に保管されている廃ブラと、町田市の廃プラが持ち込まれている、栃木県の産業廃棄物処理場を訪れたことを明らかにしました。そこで行われている、サーマルリサイクル(ゴミ発電)が果たして資源化と言えるのかと尋ねました。

◎ 答弁の中身について

  @ 廃プラ収集実験の実績と、住民意識がどのように変化について。
  A 中間処理施設の建設の具体化について。
  B 今日まで、収集した廃プラスチックの保管状況について、
  C 廃ブラスチックの資源化と処理方法は、具体的な過程について。

 

 @ 廃プラ収集実験の実績と、住民意識がどのように変化について。

 3、600所帯を対象に実験を行っており、容器包装ブラと商品プラを収集する状況をね数値を上げて答弁された。また、住民がとても協力的で、分別する意識が大変高まっているという答弁でした。

 A 中間処理施設の建設の具体化について。

 集めた容器包装プラを圧縮・梱包する施設に対する住民との対応、施設の密閉化計画などで、予定計画が遅れていることが報告され、来年末までかかりそうだとする答弁であった。

 B 今日まで、収集した廃プラスチックの保管状況について。

 以前から集めていたね粗大ゴミから取り出した廃プラの野積みしたものや、最近の実験収集による容器包装プラの処分を行っていることを答弁。機械で破砕し、持ち出していると答弁された。

 C 廃ブラスチックの資源と処理方法は、具体的な過程について。

 答弁では、ゴミ発電は「資源化」であること、町田市の焼却場の施設では、ダイオキシン発生の可能性が高まることの懸念が明らかにされました。廃プラをゴミ発電することがリサイクルの一環だと答弁されました。

 

◎ 再質問の内容と答弁

 

@ 廃プラ収集実験の実績と、住民意識がどのように変化について。

 廃プラスチックの実験収集は、それではどうなるかと尋ねました。そのまま延長されるのか、それともエリアなどが変更されるのかを尋ねました。

 答弁では、はっきりしたものに聞こえませんでしたが、そのままの状態で、1年ほど実験が継続される感じでした。

 A 中間処理施設の建設の具体化について。

 答弁では、杉並での問題を回避するため、集めた容器包装プラを圧縮・梱包する施設建設をね密閉式の建物にすることによって、住民の不安を回避する考えだと説明されました。

 B 今日まで、収集した廃プラスチックの保管状況について。

  無し。

 C 廃ブラスチックの資源と処理方法は、具体的な過程について。

 ゴミ発電が資源化だとすると、町田市と隣接する多摩ニュータウン環境組合(町田市も加わっている)の焼却場と比べ、発電効率にどのくらいの優位性があるかと、数字を上げて質問しました。さらに、多摩ニュータウン環境組合の焼却場では、蒸気の施設利用や施設外への供給もされていると、これも数値を上げて説明しました。

 答弁では、町田市の焼却場であるリサイクルセンターが古くなっており、ダイオキシン対策上、廃プラを分離し、別途処分する他無いとされた。栃木県の産廃施設は、通産省の認定を受けていると、何度も繰り返された。

 廃プラ対策の方法で、「油化」化の実験は順調でないこと、製鉄所の高炉でコークスの替わりに還元剤として使用する方法が、取りくまれていることを説明された。

 最終的な答弁で、現在の方法は緊急的なものだとされ、それ以上の追求に至らなかった。

 

◎ 今後の展望

 

 現在の廃プラを焼却する手段が緊急的なものと答弁されると、この栃木県にある産業廃棄物場で発生する灰やスラグはどうなっているのか、と質問する気力が無くしてしまった。質問の当初から、灰やスラグの持ち出し先を明らかにすれば、もっと問題点を掘り下げられたものと考えます。

 また、廃プラスチックを分別してもらっている住民の意識が大変に高いとするなら、プラスチックの使用をより減少する運動に取り組む方が賢明かつ、緊急と思うが、その日の質問では、<ゴミ発電>が果たして資源化か?とする質問に固持し、相手が比較資料を持ち合わせないままに対応したことが、論議の深まりを阻害してしまったと考えます。

 廃プラの分別収集エリアの事では、同じエリアの皆さんに、「もう一年、あなた方だけ、同じ実験を続けて下さい」とは、言えないでしょう。少なくとも、倍くらいのエリアに廃プラ分別収集を広げるほか無いのではないでしょうか。

 質問では取り上げませんでしたが、答弁で出てきた「製鉄所の高炉でコークスの替わりに還元剤として使用する方法」とは、NKK川崎製鉄所の高炉で行われている実験で、現在は産業用の廃ブラスチックが利用されています。鉄鋼メーカーとして、原料の多元化や、事業の拡大策(容器包装プラを圧縮・梱包する装置の販売)に取り組んでいます。ただし、高炉という大変デリケートなものに、雑種の廃プラ類が混ざることは、メーカーの欲するところではないと見ています。なぜ、このような書き方をするかと言えば、私は、NKK川崎製鉄所の高炉を現地で見た数少ない関係者だからであります。町田市議会議員では、ただ一人でしょう。行政の関係者でも、2−3人いるか、いないかの程度ではないでしょうか。

 

◎ 質問で漏れた内容とカットした部分

◇ NO原稿で質問したために、発言から漏らした内容は次の通りです。

  @ 前に行った、別の議員の質問に重複する答弁は、割愛してもらってかまわないとする事。

   A 自由民主党町田支部青年部(吉田が、部長を務めています)が主催した、講演会のテーマを「江戸のリサイクルに学ぶ」とし、環境問題に感心を払うべきだとする取り組みを重視していること。  

◇ 西多摩衛生組合(福生市等で構成する一部事務組合)のゴミ焼却場で発生する「焼却灰」が、すでに太平洋セメントの実験プラントに送られ、エコセメントが作られていることを報せようとしましたが、質問内容に即した事だけを取り上げることにしました。

 平成11年3月議会の一般質問で、「町田市が、焼却灰のエコセメント化が正しい考えるので有れば、町田市の焼却場で発生する焼却灰を、この太平洋セメントの実験プラントに持ち込み、エコセメントするべきではないか」と質問しましたが、「その事業は、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合でやってもらいたい」というのが、理事者答弁でありました。

 将来事業としては、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合で、エコセメントプラントを建設する計画していますが、実験段階は各自治体ごとに、特に先進自治体が行うべきものです。町田市のリサイクルの発想は、残念ながら他の自治体の後追い状態です。この件では、今回の廃プラ対策の質問に際して、状況報告をする考えでしたが、別の機会に持ち越し、エコセメント実験事業の提案は全面カットとすることにしました。

 そのため、町田市の中では、「焼却灰のエコセメント実験は、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合で行うものだ」とする間違った見解が、そのまま正されずに正当だ考えられています。

(「一般質問:収集した廃プラ類は、保管しているか焼却か」の記事は、この行で終わります)