● 視 察 報 告

    ◇富山県山田村の全戸にインターネット網!

◎ 全体の要約

 わたし(達)が山田村に、全戸に配布されたパソコンの利用状況を視察に訪れたのは、平成11年8月11日でした。その2週間後、同じ山田村に、しかも同じ「情報化センター」を、小渕恵三内閣総理大臣が視察に出向かれました。 ここから写真版にリンク出来ます

 山田村のホームページを見ると、私たちが訪問した「情報化センター」を、小渕総理が訪問されている光景が、動画でアップされていました。さらに山田村のホームページは、その後の情報更新で、総理官邸に直接アクセス出来るように、ボタンが配置されました。この山田村の対応は、コンピューター化に取り組む自治体に相応しいものですし、自治体と関係職員の即応性を感じさせるものでした。とかく腰が重いと考えられる、自治体や公務員には珍しいハイレベルのセンスです。コンピューターやインターネットのことになると、何でも専門家に相談することが好きなわが町田市の市政も、こうあってほしいものですね。情報化の過疎地帯である町田市の職員を、一度、山田村に連れていきたいですね。ほんと。

 さらに、次のように申しあげると、寺田市長に失礼な言い方になる可能性がありますが、このような事態(総理の突然の来訪)に、わが町田市は対応できるのだろうか。あるいは、事態を生かせるのだろうか。それとも、町田市は地方交付税の不交付団体であるから、総理の来訪があったとしても、一イベントに過ぎないと言う考えで、町田市には関係ないことと見なすのでしょうか。これらの事業導入の判断は理事者のものと考えずに、一般職員の立場であっても、どこまで自己の検討課題とするかによって、自治体のレベルが決まるものではないでしょうか。一般職員がどの様に育っていくのか、高い意識を持つ傾向が出てくるか、と言う観点で、自分たちの山田村視察を、じっくり見つめ直すことにしました。

 今回、私たちの視察成果で最大のものは、山田村が進める事業の中で、全戸にインターネット網の配備ということに関して、一般家庭と高齢者施設でのインターネット利用状況を、見学・面談できたことであります。さらに、事業支援ために来訪していた、学生ボランティア(お助けマン)と会えたことは、さらに有益なことにつながっていくことでしょう。私は、この訪問を機会に、それぞれの皆さんと、メール交換をはじめることが出来ました。

 <少なくとも、地方議員の視察というものは、「遊びばかり」とは言えないと言う印象を、情報化に関心を持つ学生に与えることが出来たと考えます>

(この、視察報告 富山県山田村の全戸にインターネット網!の要約は、この行で終わります。本文をご覧いただける方は、次へお進み下さい。)

◆ 全体の構成

   1、 ○ 小渕総理を迎えた、山田村の人工雪ダルマが語ること

   2、 ○ 総理に先立ち、山田村に至る

   3、 ○ 山田村との出会い

   4、 ○ インターネット先進事業を、山田村に見る

 

◎ 小渕総理を迎えた、山田村の人工雪ダルマが語ること

 平成11年8月28日(土)、小渕総理は堺屋太一経済企画庁長官を伴い、富山県山田村を視察することになりました。その朝、私は、総理の来訪予定ニュースを新聞見たため、帰宅後、山田村のホームページを開きました。そこには、早速総理の歓迎風景と視察の模様が、写真と記録ビデオで表現されていました。その貴重な記録は、先日お会いした、「情報化センター」の皆さんのご努力のたまものと思います。

 さらに、日をおいて、山田村関係のホームページを見ていると、村のホームページの選択ボタンに「総理官邸」が登場しており、インターネットが一挙に国政を近づけさせた、と言う印象を受けました。さらに、個人のホームページの中に、小渕総理を歓迎する雪ダルマの写真を発見致しました。総理が視察をされた「情報化センター」(公民館の中に設置)の入り口の両脇に、2体置かれていました。自然に雪がある季節でなく、総理の来訪が冬の時期から予定されていたのか疑問になるところですが、その雪ダルマは人工雪であることを確認しました。山田村の方なら、その雪がどこから運ばれたか、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 山田村は、富山市の郊外にある温泉とスキー上の村であります。失礼ながら、私が見るに、これと言った特徴の少ない自治体です。数年前、全戸にパソコンを配布し、インターネット網を張り巡らせた村だと言う以外に、特別の情報が全国に伝わっていないところでありました。しかし、私たちは、「山田村にあるスキー場の名称が牛岳スキーと言い、そこには雪の確保のために、人工雪の製造機があり、その経費がバカにならないくらいで、一日動かすと5万円以上もかかる」、と言う情報を、たまたま現地に到着して、すぐに入手しておりました。

 この雪ダルマは、その牛岳スキー場に大勢の来客を招き寄せたい、と願う関係者の総意であろうと考えます。牛岳の頂上近くに、村営の温泉施設も作られているのですが、現地へのアクセスは決して十分ではありません。また、スキー場に至る、交通サインも完備しているとは思えません。

 今回の総理の視察に対する山田村の歓迎を見て、私が考えたのは次のことでした。

 おそらく、山田村の皆さんの熱意は、この雪ダルマの姿によって、国の関係者にも十分に伝わるでしょう。次に、私がこの山田村を訪問する時には、スキー場に至る道のりが、随分と整備されているのではないでしようか。とりわけ、スキー場に至る、交通案内システムは、第一級のものが配置されると思います。

 山田村の個人のホームページ上に、写真として登場しているこの雪ダルマは、今後の牛岳スキーの繁栄を願い続けているかのように、私には映るのでした。(皆さんも、その雪ダルマを見つけて下さい)

◎ 総理に先立ち、山田村に至る

 山田村の視察に向かったのは、天目石要一郎氏(武蔵村山市議)、小粥義雄氏(吉田公一衆議院議員政策秘書)、吉田つとむの3名でした。私たちが山田村に到着したのは、視察日の前日である8月10日(火)のことですが、現地地形の予備知識もなく、天目石議員の手配による自動車で、山田村に入りました。宿泊は民宿を利用し、翌朝から予定の行動を取る考えでした。

 偶然にも民宿の経営者の方は、山田村村政に長くかかわられた方で、我々に貴重なお話を提供して頂きました。時間の関係で、役場と議会には立ち寄らずに、直接、「情報化センター」を訪ねることになりました。施設では、岩杉陽一さんより、下段の記述のように丁寧な説明を頂きました。

 今にして思うことですが、このころ、小渕総理の山田村訪問は果たして決まっていたのでしょうか。それとも決まっていなかったのでしょうか。私たちの視察目的は、「情報化センター」の施設とそのシステムを知るためのものでした。「総理来村」と言う情報は、現地にどのように伝わり、どのように準備されたのか、同じ自治体の、同じ施設を視察した、私に取っては大変興味があることです。

◎ 山田村との出会い

 私の山田村視察は、最初から決めていたことでなく、富山県の方からお聞きしたことでした。魚津市と小矢部市の「議会の公開」を調査計画策定中に、こちらの方から、「パソコンを全戸に配布して、インネット事業を進めている山田村に行ってはいかがですか」と進められたわけです。数年前に、テレビニュースでその村のことを見た記憶がありました。

 早速、視察のお願いをし、「情報化センター」と高齢者施設「山田村高齢者生活福祉センター 福楽」でのパソコン利用の状況を見させていただくことになりました。同センターの皆さんにもお世話になりました。

 有志の視察ですので、宿泊先も「民宿」にしました。公式の視察だと、こんな方針を出すとなかなか、賛成を得られないのが常ですし、提案することも考えられません。偶然にも、民宿の経営者の方は、依然「村政の重責」を担っておられた方で、有益な事柄をお聞きしました。しかも、自分からは身分を名乗らず、地方の名士と言うに相応しい人柄の人物でした。ここで、それらのご教示に再度御礼を申しあげます。

 本来の視察の際には、議会を先に尋ね、事務局の方にご挨拶をし、目的地に行くのですが、時間の都合もあり、直接「情報化センター」を尋ねました。その施設は、公民館の建物の中にありましたが、独立した出入り口と、大きなスペースを占め、パソコンを初めとする情報機器が配置されていました。

◎ インターネット先進事業を、山田村に見る

 ◆ 一応、並んでいる機械を書いてみます。

 「情報化センター」に並んでいる、パソコン(Mac、Aptiva)、及びノートパソコン、カラーレーザー・プリンター、AO版プロッター等でした。うらやましいー。情報化後進地の町田市には、そろっていないものがずらり。

 本庁役場とは、屋上から赤外線ランで結ばれており、この建物に、サーバー類が配置され、各過程のテレビ電話とつなぐことも、インターネットとつなぐことも、住民レベルで対応できるように計画されていました。未開の「町田市民」としては、テレビ会議など利用させて頂いていれば、もっと話の種に出来るとことでした。

 ◆ お助け隊の学生さんに、インタピューが出来ました。

 私たちが視察に訪れる直前(平成11年7月31日−8月9日)には、「電脳村ふれあい祭”99」が開催されていました。もちろん、この行事に関しては、事前にホームページで内容を知っており、一部は動画でも見ていました。遠く離れた人と、お互いに意見の交流が出来るのがインターネットですが、その人たちが出合って、一緒に過ごすことが、ここでは生活の中にいかされようとしています。

 希望者全部の所帯にパソコンがあり、インターネットで通じていると言っても、これらを動かすのは「人」で以外では無理なことです。まずは、興味を持てるか、情報を取り出したいと思うかという段階があるわけです。また、少なくとも、技術的に機械を動かすことが出来ないと、「人と人」との交流もありません。

 この「インターネットを暮らしに取り入れる」と言う事業に、興味を抱いたのが、お助けマンの皆さんです。この情報も、すでにホームページの記事で知っていたのですが、私たちは、この視察で、お助け隊のメンバーとお会いすることが出来ました。

 一人は大学生、もう一人は専門学校生とのことでした。自力でこの山田村にたどり着き、宿舎(積雪期間に、通学出来ない地域の児童生徒が寄宿する建物のようでした−今回は、その場所に尋ねていません)で寝起きし、パソコンが扱えない人たちに、パソコン操作を教えて廻るということをやっているそうです。

 中には、一度ならず、定期的に村を訪問している学生や、時折訪れる人もあるようです。私たちは、はじめてのメンバーと、現地でなじみになっているメンバーと、それぞれに合うことが出来ました。まさか、「情報化センター」の皆さんの手配で、彼らが、居残ってくれていたわけではなさそうです。

 ◆ パソコンで、新聞やチラシを作り、掲示板に貼る作業が目立ちました。

 この村にやってきて、ビックリしたのは、ポスター類が多いことです。ちょっとした案内も、大型ポスター(A0版、A1版)で作られています。作品の内容は、関係者がパソコンで作成したもので、プロッターで印刷したとのことでした。山田村には、印刷屋さんが無く、この種のものの全部を自前で作成していると言う次第です。

 職員でその種の経験があっても、町田市のような自治体では、その技術を活かすことが無く、全て外注していくのではなかろうか。ここまで言うと、言い過ぎかな。この山田村では、そのうち、ポスターデザイナーが出てくるのではないでしょうか。 

 ◆ 村の駐在所のお知らせだって、ホームページで広報されているのです。

 山田村のホームページを開くと、駐在所のホームページがあり、駐在さんがこまめに記事を書いておられます。掲示板でも、その記事を見つけました。

 ◆ 極めつけは、村の住民の手による、「個人のホームページ」です。

 山田村で、個人のホームページを持つ家が、25件もあると言います。村のホームページに全ての案内があり、そこから入っていけるように作成されています。すごい、ボリュウムです。今回の視察を通じて、メール交換を行う人が出来ました。この視察報告書をアップする段階になったら、早速メールを送ります。

 ちなみに、「ヤフー」で検索すると、政令指定都市を除いた区市町村の中で、町田市に関する、個人のホームページが一番多いようです。行政のインターネット化は、随分と遅れている町田市ですが、住民レベルの情報発信において、町田市は随一と自負しています。

(山田村の視察報告は、この行で終わりです)