会派視察報告(個人) 岐阜県可児市・市議選電子投票選挙
(03/10/02) 

<視察報告書をネットに掲載するにあたって>

  岐阜県可児市の電子投票選挙の現地視察(2,003年7月19−21日)に、会派視察ですが、一人で出かけたものです。旅費などの公費負担があり、公式記録を提出しました。下記のものです。会派の幹事長を通じて、議会に提出します。
 なお、今回の電子投票選挙では、投票時も開票時も、大きなトラブルが発生しました。現地で見学した事態を、出きるだけそのままの状態で書きました。失礼な表記も含まれていると思いますが、選挙の公正さ、電子投票のあるべき姿を考えて書いたものです。
 私の記述に誤りや問題点があれば、何時でもご指摘ください。

可児市電子投票の視察報告(2,003年7月19-21日)
まちだ新世紀 吉田つとむ

1. 視察月日 平成15年7月19日(土)-21日(月)
         ただし、21日は戻り日程。
2. 視察地  岐阜県可児市
3. 調査事項 7月19 日(土) 選挙の準備状況
                 選挙の候補者の電子投票の広報状況
    7月20 日(日) 電子投票の投票状況
                 電子投票選挙の開票状況


前書き

 岐阜県可児市は、このたび市議会議員の改選期を迎え、2,003年7月20日の選挙で電子投票方式を導入することにした。可児市の人口は約10万人規模と、今までに電子投票を実施した自治体では最も大きな人口を抱えており、新しい電子投票システムを導入した。その電子投票機は、「クライアント・サーバー方式」と名づけられ、複数の投票端末機を使い、その投票記録はハブを通じて、サーバーにつながれており、「MO」に記憶させる方法がとられていた。

 そうした投票機ごとに集計しない方式は、この電子投票機の採用では始めての事であった。可児市が発行したそのパンフレットには、<都市対応型選挙システム採用(クライアント・サーバー方式)全国初>と記載されている。

ちなみに、かに市議選では、候補者は29名となっており、当選者は24名とのことであった。すなわち、5名が落選すると言うことであった。

また、電子投票が選挙の候補者やその陣営にどのように受け止められているか、このことにも関心が深かった。そこで、そうした選挙の候補者とその陣営の取材も行うことにした。

可児市電子投票の執行に対する問題点(機材持込)
<電子メモ=メールマガジン記事を再現したもの>

 2,003年7月20日に執行された岐阜県可児市の電子投票では、前日に午後3時(実際には数十分前に開始した)に、広見公民館で設営がありました。

 その設営にあわせて、選挙の機材が搬入されましたが、(その後の問題が多すぎ)その時に気がついた問題点を書いていませんでした。

 それは、搬送トラックのパネル式荷台には、投票機器(サーバー、投票子機、投票カード発券機、その他の機材や備品)に合わせて、ガソリンエンジン用小型発電機(推測では2kwクラス)とガソリンタンクが積み込まれていました。明日の投票準備のことを考えると、そこにはガソリンが入っていたはずです。

 トラックの密閉したパネル式荷台の中に、そうした精密機械とガソリンエンジン発電機&ガソリン入りガソリンタンクを一緒に搬送する考えがわかりません。

投票状況の概略と所感

この節は、可児市電子投票の視察速報(メモ)7月20日分を利用したものです。

 岐阜県可児市の電子投票選挙が始まりました。午前7時には、大勢の視察見学者が待機するなか、指定の投票所でも投票が開始されました。その後、8時過ぎまでその場で見学をしていましたが、朝食のため最寄のホテルに移動しました。

 午前9時過ぎに、その投票所に戻ると、途中で投票機がストップするという事態が起きていたという事件がおきていました。 視察者としては、大事な事態を見逃したと思っていました。

 ところが、9時20分ころ、投票機のランプが全部赤ランプ(7台の内の6台。あと1台は、バリアフリーの音声対応式としたヘッドホンもついた機械)となりました。

 場内には、無音の中に緊張感が高まる雰囲気をかもしだしていました。なお、今回の方法は、複数の投票機をハブでつなぎ、1箇所の投票所では、1台のサーバーで集票することになっています。クライアント・サーバー方式と呼び、日本の電子投票では初めて実施されたものです。

 従来の機種だと、ストップした投票機のみが停止するのみでしたが、今回は、サーバーがストップすると、その投票所の投票自体ができない仕組みになっています。それは、投票端末機に投票データを保存せず、すべてをサーバーに保存しているためです。

 現実に、サーバーが9時20分ころにストップして、少なくとも15分以上、20分近くが投票行為事態ができなくなりました。その間に、まだ受付をしていない人が、時間がないと言いながら帰ってしまいました。もちろん、まだ投票時間としては早い時間ですので、再度、投票に戻ってくるものと考えます。

 一部に、投票従事者は、皆さんにしばらく待ってほしい旨の話をされたようですが、並んだひとの中で、いつ復旧するのかが不明であり、「しびれ」を切らして、10分ほどで帰ってしまう光景も目にしました。

 選挙の投票でトラブルがあり、投票が出来なかった時間帯が発生したことのお詫びと、その後再開し、投票を呼びかける放送が行われていました(防災無線を通じた、放送だろうと推測します)トラブルを隠さず、こうした放送で、一人でも多くの人に投票を呼びか
ける広報活動は、公正な選挙に欠かせない事柄と考えます。

開票のトラブルと、その影響に関する所感

 可児市の電子投票選挙では、投票時のトラブルが多発したため、その開票作業でもどのようなトラブルが発生するか、関係者と見学者が心配の目で見守った。

 予期したように、可児市の市議選開票に問題が発生した。その問題とは、投票者数と実際の投票数の記録に食い違いが生じたものである。

 投票者数の最終確定数が、投票所における投票者と不在者投票者数の合計で表示されたものであるが、電子投票記録の数字と合わなかったものである。選挙の投票者確定数としては、電子投票の発表記録に合わせた形で、不在者投票数も変更された。

 そのことに最初に気がついたのは、私と同じような視察入場者の一人であった。視察入場者は開票会場の後ろのほうに位置していたが、他の自治体選挙管理委員会業務者の職員であろうと思いました。その後、記者の中でも説明してほしいと言う声が上がりましたが、若干の中断の後に、最終的な数字として選挙責任者が当初の発表数値をそのまま発表しました。

 しかし、そんなことで、「選挙の開票」ということが納得されることはなく、その後に記者会見の要求があり、そこで延々と質問と答弁が続きました。

思うに、この間の経過は、これまで順調に経過してきた電子投票の実施例を覆す可能性
があるためです。そこで、電子投票選挙にかかわる人材の全てが、研究する必要があるでしょう。なぜなら、この電子投票システム自体の信頼性を疑わせることにもつながりかねないからです。

 結論的に言うと、私の考えでは、今回の電子投票選挙で用いられた「クライアント・サーバー方式」の機械の安定性が低く、そのために起きたトラブルで、さまざまの説明しにくい事態が発生したのではないか、と考えました。

この電子投票選挙の詳細は、下記に記載しました。

<見出し>
<現地の状況報告>
(1) 電子投票の投票所の準備状況
(2) 電子投票の選挙運動内容
(3) 電子投票の投票状況
(4) 電子投票の開票と、その後の状況
(5) 結論的な所感
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<現地の状況報告>

(1) 可児市電子投票の投票所の準備状況

私は、7月19日に町田市を出発し、午前中には岐阜県可児市に到着した。市内の移動では、可能な範囲でコミュニティーバスを利用した。料金は、区間均一で200円となっている。

ただし、乗り継ぎ場所があり、単一の目的地に行く場合、乗り継ぎ券がもらえる制度が導入。私は、市役所で一旦下車したため、その方法は利用しなかった。
選挙管理委員会の方に視察訪問の挨拶を行い、市内を若干見て回ることにした。投票所の設置準備が行われており、1箇所であるが、指定の投票所の設置状況視察ができた。午後3時からとなっているので、会場前でその時期を待った。

市内では、時おり、宣伝カーが最後の訴えをマイクで案内していた。 準備作業は、繰り上げて実施され、選挙の投票所つくりが開始された。視察者への公開場所は、「広見公民館ゆとりピア」(可児市役所広見連絡所)というところに指定されていた。現地に到着すると、その電子投票機材を積んだトラックが、すでに待機していた。

午後2時半ころになると、そのトラックの荷台からの荷下ろしがあり、選挙用品が会場に運び込まれた。不思議であったのは、電子投票機器(コンピューターやサーバーなど)に合わせて、その中に発電機と金属製のガソリンタンクが含まれていたことであったが、その運送方法に大いに疑問をいだいた。

そうするうちに、その投票所では投票会場つくりが開始された。午後2時40分くらいには、それぞれの機材を開梱さ、テーブルを配置する状況になった。視察を許可した電子投票方式の投票所設営の視察は、午後3時からとされていたため。他市の行政機関の人で、設置開始状況を確認できないでいた人も幾人も出た。現地のことのため、表面には出ない問題であろう。
ちなみに、候補者は29名で、当選者は24名とのことであった。ちなみに、今回の電子投票機は、「クライアント・サーバー方式」と名づけられ、複数の投票端末機を使い、その投票記録はハブを通じて、サーバーにつながれており、「MO」に記憶させる方法がとられていた。そうした方法では、この公職選挙における電子投票機の採用では始めての事であった。可児市が発行したそのパンフレットには、<都市対応型選挙システム採用(クライアント・サーバー方式)全国初>と記載されていた。なお、公開投票所には、このシステムのサーバーが予備機ともで2台持ち込まれました。

(2) 可児市電子投票の選挙運動内容

 今回は、市議選候補者の選挙で、この電子投票が広報されているか、その方法を具体的に取材した。しかし、視察日程が、選挙戦の最終日としているため、どの陣営にしても、有権者でもない人物の取材など受ける条件には、きびしいのが当然である。

 現地の日程で、投票日の前日の午後3時から投票所の設置状況見学を認めた個所があり、上記のように、まずそこを詳しく見学した。その後、市内にコミュニティーバスが運行していることがわかったため、そのバスを利用して郊外に出た。

 その郊外で、一つの選挙事務所を訪問することが出来た。そこでは、模造紙を用いて、電子投票画面に合わせた候補者リストを模しており、特に自分の候補者名を大きく描いていた。その候補者陣営では、郊外の戸建て住宅を地盤とする地域密着型の選挙運動が行われており、電子投票自体に対する広報は、行政機関の広報で幅広くその方法が知れわたっていたと判断していたようであった。なお、その候補者は当選した。

 次に、ロードサイドに事務所を構えた候補者事務所を見学した。大変若い候補者であったが、事務所内外に電子投票に関しての記載したものは一切がなかった。聞けば、選挙運動の中でも、電子投票に関しては特に広報してこなかったと言う。たまたま、最終番の選挙運動が行われていたが、電話掛けの際にも、その説明は一切なく、候補者の案内がなされていた。結果は落選であった。

 最後に、街中の候補者事務所を訪問した。いわゆる「選挙の打ち上げ=最終演説」の時間に遭遇した。その陣営では大勢の後援者が終結しており、それぞれの挨拶もきっちりしたものであった。合わせて、事務担当者が、この電子投票のやりかたに付いて、詳しく説明をしていた。候補者の画面における位置、あるいは候補者名を選択するタッチペンの使用法まで十分に説明していた。その候補者は、比較的に上位の当選であった。

 なお、上記の3名の候補者は、いずれも新人での兆戦であった。

(3)可児市電子投票の投票状況

 岐阜県可児市の電子投票選挙は、2,003年7月20日午前7時に始まった。大勢の視察見学者が待機するなか、指定の投票所では投票が開始された。私は、投票前の時間から午前8時ころまで、その投票所で見学をした。その後の一時、朝食のため最寄りのホテルに移動した。

実は、私がそこを離れた後の午前9時過ぎに、その投票所に戻ると、途中で投票機がストップするという事態(事件)が起きていたという。現場の視察者としては、大事な事態を見逃したと思っていた。ところが、午前9時20分ころ、投票機のランプが全部赤ランプ(7台の内の6台。あと1台は、バリアフリーの音声対応式としたヘッドホンもついた機械)となった。

場内には、無音の中に緊張感が高まる雰囲気をかもしだした。なお、今回の方法は、前述のように、複数の投票機をハブでつなぎ、1箇所の投票所では、1台のサーバーで集票することになっていた。そのやり方は、クライアント・サーバー方式と呼び、日本の電子投票では初めて実施されたものと言う。従来の機種だと、ストップした投票機のみが停止するのみであるが、今回は、サーバーがストップすると、その投票所の投票自体ができない仕組みになっている。それは、投票端末機に投票データを保存せず、すべてをサーバーに保存しているためである。

現実に、可児市が見学を指定した投票所では、サーバーが午前9時20分ころにストップして、少なくとも15分以上、20分近く、投票行為自体ができなくなった。その間に、まだ受付をしていない人が、時間がないと言いながら帰ってしまう事態が発生した。もちろん、まだ投票時間としては早い時間ですので、再度、投票に戻ってくるものと考えることもできた。一部には、投票従事者が、「皆さんにしばらく待ってほしい」旨の話をされたようであったが、並んだ人の中で、いつ復旧するのかが不明であり、「しびれ」を切らして、10分ほどで帰ってしまう光景も目にした。

 選挙管理委員会は、しばらくして、選挙の投票でトラブルがあり、投票が出来なかった時間帯が発生したことのお詫びと、その後再開し、投票を呼びかける放送を行った(防災無線を通じた、放送だろうと推測した)トラブルを隠さず、こうした放送で、一人でも多くの人に投票を呼びかける広報活動は、公正な選挙に欠かせない事柄と考えた。

そのトラブルでは、全部の投票機に投票者が立ち並び、全員が投票操作をする段階で、赤ランプが点灯した。緑は、投票待機中。オレンジは投票行動中。赤はトラブル発生の知らせのようであった。赤になると、投票者はその登録が継続できません。いかにせん、サーバーにトラブルが発生したとなると、一切の投票行動をストップするようになり、投票者に多大な迷惑をかけることになった。

 サーバーのドアーがあけられ、その保存データが取り出されたかのようであった。立会人もなく、そうした職員(メーカー担当者か?)の人の行動がいきなりの雰囲気であったので、こうした手法の「クライアント・サーバー方式」で良いのか、この疑問は会場にいた視察者の誰しもが持ったが、後で、十分な説明があるものと思われた。

 サーバーダウンの立ち上がりには、相当の時間を要した。この場所には、予備のサーバーを確保していたので、万が一の時には、当初のサーバーの使用をその段階で打ち切り、予備のサーバーに切り替えるものと考えられた。しかし、投票所では、サーバーの入れ替えはなされなかった。20分近く、投票行為が中断された。対策をとって、電子投票が再開された。サーバーは、その間、トビラが開閉され、保存したデータを入れたMOが取り出された様子であった。移送用の保管のケースにそれを入れる状況を見た。その後、サーバーが動き出したが、その機械には扇風機の風が送られはじめた。当初は1台、後には2台の扇風機を用いて、後方のトビラを開き、内部に風を送っている様が伺えた。

 私の解釈は、次のとおりである。投票者が立て込み、サーバーが熱を持って、ダウンした。それまでの投票データ記録のMOを取り出し、移送用の保管箱に保存した。その後の投票では、投票記録のサーバーを安定運転させるため、扇風機で熱を冷まさせながら、機械の使用を継続させた。さて、そのサーバーの上側には、パソコンが置かれていましたが、最初はその画面が、視察の見学者席から見て、後ろ向きとされた。ところが、トラブルが起きて以降は、画面が視察の見学者側に向けられていたのが不思議であった。ただし、その画面は遠くからは内容が読み取れず、しかも画面が動いている様子はないようであった。視察報告では、自分が見た光景を記録することにした。

岐阜県可児市の市議会議員選挙の投票は、午後8時まで行われた。全投票所の記録は、「可児市総合会館」に持ち込まれることになっていた。予定では、午後9時から開票作業が行われる予定であり、私は、その時間には会場に到着し、その状況を視察見学する予定をたてた。

(4)電子投票の開票と、その後の状況

 可児市の市議選開票に問題が、発生した。
 その問題とは、投票者数と実際の投票数の記録に食い違いが生じたものである。

 投票者数の最終確定数が、投票所における投票者と不在者投票者数の合計で表示されたものであるが、電子投票記録の数字と合わなかったものである。選挙の投票者確定数としては、電子投票の発表記録に合わせた形で、不在者投票数も変更された。

 視察入場者の中で、最初にその違いに気がついた人があった。そのうち、記者の中でも説明してほしいと言う声が上がり、若干の中断の後に、最終的な数字として選挙責任者が当初の発表数値をそのまま発表した。

 その後に記者会見があり、延々と今まで、紛糾した。

 私の考えでは、今回の電子投票選挙で用いられた「クライアント・サーバー方式」の機械の安定性が低く、そのために起きたトラブルで、さまざまの説明しにく事態が発生したのではないか、と考えた。

 記者会見では、この「1票の差」問題が延々とやり取りされた。

 翌日の新聞では次の見出しの記事であった。
「読売」ーー電子投票1票で混乱の大見出し
「中日」−−1票合わずの小見出し

「朝日」−−見出し・記事になし
「岐阜」−−見出し・記事になし
 
 最初の発表では、
 投票所における投票者数は、男19,881人、女21,334人 合計41,215人。不在者投票数は、男2,371人、女3,270人、5,641人。
 候補者の得票結果では、
 電子投票による得票数40,954票、電子投票の操作を途中で終了したもの262票、合計41,216票。
 この二つの数字が合わないものであった。

 最終発表として、下段の数字が正しく、不在者投票数は5,640票と訂正された。

 最初の数字発表では、個別投票所の人数がでており、記者団は「それでは、間違いがあったのはどこか」と詰め寄った。

 記者会見で出てきた資料は、各投票所分ごとに分けた不在者投票者数の日別合計であった。そこでは、その合計が5,641人に間違いがないこと、不在者投票の空票もなかったと言う報告があったという、説明であった。

 そうした結果、ますます、選挙の確定票として発表されたものが正しいとする根拠が、希薄となった。

 記者団には、一層の疑問がつのったが、MOや不在者投票用紙は、既に封印され、後は誰かが選挙の無効の申し立てをするかどうか、という世界の話題が中心となるであろうと予測した。(後日、異議申し立てがなされたという)
―――――――――以下、参考として記載―――――――――――――――――
 しかし、投票者名簿、入場券、不在者投票が入れられていた封筒等のチェックをやると言う段階に入りました。この後、どのような解明がなされていくのでしょうか。

岐阜新聞の記事発表(不明票)

 岐阜新聞は、7月22日の新聞で、可児市議選の投票結果数について、記事を載せている。(ネットでの確認記事)
 開票後の記者会見で話題となっていて、その中では状況が把握されていなかった「仮投票」に関して、選挙管理委員会の調査結果が、記載されている。
 「仮投票」が、紙に書く形式で「3票」あったこと。その結果、実際には投票数と4票の違いが合ったことになる。
 岐阜新聞では、この「仮投票」者は、別に電子投票をやっていたので、その投票は無効にされた可能性が高いとしている。
 さらに、電子投票分のもう1票と、不在者投票分の1票の違いに付いては、未だ解明されていない状況を伝えている。

岐阜新聞の記事発表(続)
 さらに、岐阜新聞は、7月22日の新聞で、可児市議選の問題で、次の問題点を指摘している。
 投票システムのトラブルでは、電子投票機器の業者に早期の原因究明を指示したという.機器のテスト不足の可能性も考えられ、説明を求めているという.
 また、候補者、有権者では、「投票の中断で棄権者が実際に出ている。見過ごすわけにはいかない」という声があることを紹介している。
 私は、こうした状況を現地で見ていて、上の2件は当然起きるクレームとして理解できる。
 開票後の記者会見について、記者はこの電子投票メーカーについても、同席を求めたほうが、問題点の解明はやりやすかったのではないか、私はこのように思っていた。
 もとより、私自身が、記者会見の場でそのような質問を言う立場には無かった。記者会見場内に入れたのみでも、特殊な状況であったと考えている。

結論的な所感

現地で、この電子投票選挙の投票と開票の両方を見学したものからすると、今回の岐阜県可児市の事態は、後味がすっきりしないものになった。言うまでもなく、民主主義国家における政治において、自らの代表者が公正に選出されることは前提であり、その過程に疑念を生じさせたことは、一般に電子投票の公正さを疑わせる事態にまで及びそうになった。その責任は大きいといわざるを得ない。

日本で最初に電子投票が行われたのは、2,002年6月実施の岡山県新見市の市議選であった。次いで、広島市長選挙では安芸区のみが、電子投票選挙を実施。次には、宮城県白石市と福井県鯖江市と電子投票が続いた。その次が、この岐阜県可児市の電子投票選挙であったが、この選挙では投票、開票ともに大きな疑念が生じさせた。次に、福島県大玉村で電子投票選挙が順調に行われた。こうした電子投票では、この可児市を除いて、他の例では、全て順調に投・開票が行われた。

こうした電子投票選挙では、この可児市の選挙のシステムのみが、投・開票システムを違えており、クライアント・サーバー方式と称されるものであった。それは、複数の投票機のデータをまとめて記録媒体に記録するものであった、その安定性が確保されていなかったものと思われる。
 
この可児市の選挙では開票結果とそのプロセスに、関係住民より異議申し立てが行われたが、選挙の重みから考えると、そうした疑念自体を起こさせないレベルで選挙事務は行われる必要があるだろう。現に、日本全国で選挙管理の過程で、候補者や有権者から、クレームが出ることはほとんど例がない。そうしたことを踏まえて、この選挙における投票過程のトラブルと、開票における発表数値の食い違いを解明してもらいたいと考える。

 また、今後行われる電子投票選挙においては、上記のようなトラブルが起きないことを祈りつつ、選挙システムの情報公開を確立するべきであると考える。(終わり)