会派視察報告(個人) 福島県大玉村・村議選電子投票選挙
(03/09/19) 


前書き
 福井県鯖江市の電子投票選挙の現地視察(2,003年7月5−7日)に、会派視察ですが、一人で出かけたものです。旅費などの公費負担があり、公式記録を提出しました。下記のものです。会派の幹事長を通じて、議会に提出します。

 福島県大玉村の電子投票のその現地視察(2,003年8月3-4日)
               まちだ新世紀 吉田 つとむ

1. 視察月日 平成15年8月3日(日)−4日(月)
         ただし、4日は戻り日程。
2. 視察地  福島県大玉村
調査事項 1.8月3日((日) 村議選電子投票の投票状況
                    村議選電子投票の開票状況 

1 視察対象の概要
 
 今回の電子投票視察では、日程の都合で、私は投票日中心の限定された取材となった。その選挙が「村議会議員」であるため、選挙運動期間は5日間とされており、福島県大玉村の選挙は、2,003年7月29日に始まり、8月3日に行われた。

この選挙では、定数16名の立候補者が17名で、1名のみが落選と言うある意味では厳しい選挙であった。もとより、そうした電子投票を用いた選挙運動がどのようなものであったか、そのことも確かめるべきであったが、今回の選挙では、私が到着したのが投票日であったため、実際の選挙戦は見学できなかった。

また、大玉村の選挙運動時間が、午後6時までとされていたのが特徴であった。元来、投票率が90%台を示してきたことが、投票時間の延長を実施していない理由であろうかと判断している。

この福島県大玉村では、即日開票分の投票分が、全国で7番目に相当する電子投票形式で実施された。選挙の開票は、午後の7時30分に開票作業が始まり、午後の8時30分には、事前に発表されていた通りに、全ての作業手続きが終了した。

2 福島県大玉村の電子投票と状況

 2,003年8月3日、福島県大玉村では村会議員選挙があり、即日開票分は電子投票形式で実施されました。 午後の7時30分に開票作業が始まり、午後の8時30分には、全ての作業と手続きが終了した。 まずは、電子投票選挙が予定通りに終了したといえる。

この大玉村の選挙では、投票時間が午後6時に締め切られた。自分の常識では、午後8時まで投票時間があると考えていたが、目の前でその私の常識は覆された。 もっとも、この大玉村では、前回の投票率が「90%」を上回っていたとのことであった。なんともうらやましい限りのことである。

この大玉村の選挙では、投票場所は、6箇所で行われました。視察者が見学できる場所は、2箇所が指定されており、村の役場からは比較的な離れた場所が指定されていた。 そうなると、移動手段はタクシーを貸し切るか、レンタカーを利用して自分で運転するしかなく、私は大玉村でもレンタカーを利用した。ちなみに、同じく視察に来ている一般の自治体では、庁用車を利用するケースがほとんどであった。(自治体の選挙管理委員と選挙管理委員会職員) 

大玉村の有権者は、6,000人と町田市に比べるとはるかに少ないが、投票率は、うらやましいほど高い。議員選挙で、前回は90%を越したと言う。 視察に指定された投票所(西部ふれあいセンター=玉井第2投票所、及び北部ふれあいセンター=大山第3投票所)では、投票所室内に視察スペースが指定されており、比較的に見学しやすい場所に設定されていた。また、入り口側からも見学しやすく、視察見学者には評判が良かったと判断した。 他に、役場に近い場所にある第1投票所を外部から視察した。

投票所の入り口付近では、選挙事務の担当者が有権者に声をかけ、その方法を知らない人に、パネルを使った説明をしていた。 電子投票の導入と言うことで、その方式を説明するわけだが、投票台の前で説明するより、そこの場所の方が相応しいと思った。その説明は、メーカー担当者が行っていたようである。 電子投票に当たっては、事前に体験のためのデモ機を積載した広報車を回していたと言う。今回の投票では、電子投票で利用が定着した、電子投票の投票記録を単体の投票機に記憶(スタンドアローン)させる方式のため、1台の投票機を車両に積載し、バッテリーも積載して電子投票体験を増やしたとのことであった。

この大玉村の電子投票選挙では、その実施に当たって、トラブルが発生した際に、その事実の公表が明快であったと感じた。 私は到着した時点では、投票機の1台がストップしていた。その投票機は、投票立会人のそばに置いたままにされており、その公正さを示す立場を感じた。他に、投票機に差し込むカードのトラブルが、全部で6件あったとのことであった。今回の方式では、投票機にカードを中ほどまで差し込む方法が取られていた。CDを使い慣れているものからすると、カードを機械が全部を飲み込まない方式であり、それを差し込む際に若干不安定な様子を感じた。つまり、投票者はカードが差し込まれたかどうか、分かりづらいと言う欠点が見えた。

どの方式を採用しても、一長一短がありそうだが、操作する人が、世代的にもさまざまであり、選挙の機会は滅多にないことを考えると、特殊の操作方法は不釣合いの可能性が高いと考える。 私はその場に居合わせなかったが、今回の選挙では、こうしたトラブルの件数が、開票所で順次公表されていたとのことであった。岐阜県可児市の例を見ての対応であろう。

大玉村の電子投票開票状況

大玉村の電子投票選挙の開票は、保健センターで行われた。 従来に比べると、そのスペースが狭くて済むということで、この場所は選定されたとのことであった。 開票場所は、その建物の2階が使用された。その建物は規模が小さく、一般の住民見学者とわれわれは1回のスペースでモニター見学の方法であった。 そうした一般の見学者に、開票に先立ち、その書記長の説明があり、会場が狭く、モニターを見る方法で見学を予定したとのことであった。

実際に、その開票作業が始まると、映像と音声が別系統で流され、数値の発表の際など、かなりの場面で音声が聞き取れなかった。その度合いが、あまりにひどかったので、私はその場で異議申し立てを行った。これでは、せっかく来た視察者にひどいではないか、という主旨のものである。何度かクレームをつけると、1階にいた担当者は、開票所の書記長にそのことを伝言している様子が、音声のない状態で伺えた。担当者は1階のスピーカーを数回操作したが、最終的には不良の状態が続いた。

大玉村の電子投票では、午後6時に投票が締め切られた。その直後から、電子投票で使ったコンパクトフラッシュ(CF)を入れたケースと、不在者投票分の投票箱が、各投票所から次々と持ち込まれた。電子投票では、その投票データを「正」・「副」の2組を作るため、コンパクトフラッシュは2つの入れ物に入れて運ばれた。(CFの大きさに比べて、その入れ物の大きさが目立った)
選挙の開票事務は、保健センターの2Fで行われたため、それらは全部が2Fに運ばれた。 当初からの予定であったが、われわれは1Fの部屋で、TVカメラを通じたその開票を見守ることになった。

さて、その投票率ですが、大玉村民の政治意識は高く、前回では90%に近い人が投票したとのことでした。今回は電子投票の導入と言うことで、その投票率の高さが注目されていましたが、その低下を留めることができず、前回の89.49%から83.44%と大幅に投票率を下げた結果に終わりました。少なくとも、電子投票で投票率を上げるということには、つながらないことが明らかでした。 

当日投票分は、電子投票方式で行われましたが、それを除いた不在者投票は、従来通りの投票用紙に書き込むものでした。今回の開票では、それらが合算して発表されました。途中では、電子投票のCFの枚数が発表され、1台がフリーズしたため、全部で23台の投票機を用いたが、1台を入れ替えたため、全部で24台の投票記録を合計する必要があるとのことでした。

今回の選挙では、これまでの大半の電子投票選挙で導入された、投票機ごとにデータを保存する方式でしたが、その記録の際には暗号化がされていたため、開票集計にあったっては、その暗号変換が事前に必要とのことでした。なお、この方式(スタンドアローン)で、なぜ暗号化が必要かの説明がありませんでした。 

そうして、開票作業から10分もすると、電子投票の記録は読み込めたという説明がなされた。そうした説明を受ける側では、それでは電子投票の結果を公表すればよいではないか、と思った。不在者投票分の開票は、1台の開票台に広げられ、淡々と開票作業が行われた。大半の投票用紙は簡単に区分けされたたが、疑問票らしき分のみが、区分けに時間がかかったようであった。

しかし、開票までに、1時間もかけずに全部の得票が確定でき、以下の数字が発表された。
投票総数 5,538票
有効投票 5,507票
按分票    0票
無効票    0票
電子白票   6票(投票せずに終了するを選択)
持ち帰り   0票

こうして、順次得票が多い候補者から、順に氏名と得票数が発表された。先にも書いたとおり、落選者は1名であったので、最後に発表された候補者がその落選者であった。最高位の得票者が485票、最下位当選者が213票、落選者は151票であった。(終了)