ガイドウェイバスシステム視察報告
(04/03/18)

 町田市議会自由民主党会派では、11月24‐6日間、愛知県下を視察した。そのうちの24日には、名古屋市内を走るガイドウェイバスシステム志段味線(=ゆとりーとライナー)の視察をおこなった。内容では、先ず全員が体験乗車を行い、さらに高架部分の先端にある現地の事務所に訪問し、詳細な説明を受けることが出来た。

ガイドウェイバスシステムについて
概要

システムの特徴
 一般の道路は、通常のバスとして走り、都心部の交通渋滞個所では、高架式の専用軌道を使って走るバスのことを言う。1台のバスで両方の機能を備えるデュアルモード方式であり、そのため乗客が途中で乗り換える必要はなく、運転手も交代がいらないことが特徴となっている。

設立経過
 平成6年に設立され、運転開始をしたのは平成13年の3月23日となっている。下記の会社などのほか株主として、政策投資銀行、株式会社UFJ銀行、中部電力株式会社、トヨタ自動車株式会社などが参画した。
 名鉄踏み切りや河川があって、交通渋滞が激しい区間に導入された。第1期工事として、大曽根より小幡緑地の区間6.5kmが高架軌道部分と開設された。この地区は、旧守山市部分に相当し、その地域の市街地開発の側面も持っている。

事業内容
 運行は5路線を走るが、高架の軌道部分は1路線のみであり、出発側である「大曽根」から小幡緑地までは全て共通の専用高架部分を利用している。
 総事業費は約375億円(1qあたり、約55億円)に達し、インフラ部分(約320億円)は道路特定財源を用い、名古屋市が負担した。インフラ外部(約55億円 内容では、案内レール、車両、駅施設、舎屋など)は、第三セクターが負担した。
 全部で駅(停留場)は全部で9ヶ所あり、その区間は0.5qか1qとなっている。基本的に全てバリアフリー化がなされている。
 運転速度は30q/h、10分間隔で走行するが、ラッシュ時は3‐5分で走行。営業時間は5時台から23時台となっている。運行回数で302回(平日)及び、258回(土・日・祝日)となっている。途中に、名古屋ドーム球場があり、野球や公演などの際には増便されると言う。
 さらに、その所要時間は約13分である。

経営の内容
 名古屋ガイドウェイバス株式会社(第三セクター:名古屋交通局、名古屋鉄道株式会社、JR東海バス株式会社)で経営する。運賃等の収入が年間で5億(運賃は4億円)で、支出は9億8千万円(内、3億1千万円は原価償却費)という。
 料金は1区間で200円。大曽根から小幡緑地までが300円となっている。通勤使用路線でもあるため、定期券が発行されている。利用者では、1日平均6,800人に達しており、毎年10%近く増えていると言う。
 
所 感

 全国唯一存在する、一般道路と高架軌道の走行を組み合わせてもので、渋滞の激しい一般道路上の上に設けた高架専用軌道を走行するため、地上の交通ラッシュを避けて、定時走行できるのが特徴といえる。建設が阪神淡路大震災以降に進んだため、震災対策設計は、見直しをされたと言う。

 バスの運転手は軌道部分でハンドルを持たずに、速度の制御とスタート・ストップの操作のみとなっており、車両の下部に装備した「案内装置」(H鋼でできた案内板に、横向きの案内板を押し当て、通常のエンジンを用いて自走させる。乗車した体験では、違和感は特に無い。

 欠点では、モノレール・路面電車などに比して、一度に運べる乗客数に限界があることであろう。もとより、人を大量輸送させることは前提としていないが、車両の連結が可能であれば、その面の改善が考えられる。

 乗車したのが祭日の午後のためか、この高架専用部分の走行は快適であったが、もう少し、車両の走行が目だってほしかった。ラッシュ時には、都心に近い大曽根(駅)で、特設の改札を設けているのも特徴的であった。(視察した時間とは異なり、その利用状況は見ていない)

 ガイドウェイバスは、高架部分の走行では、乗客のことを考え、バリアフリー化は必須条件である。主用駅にはエスカレーターが付き、全部の駅にはエレベーターが設置されている。その他に、誘導ブロック・転落防止柵・点字案内・車両接近表示も駅(停留所)ごとに備わっており、この分野では優れた施設と言えよう。
 
 路線の延長については、地域の開発が進めば検討されると言うが、その具体的な進展計画は期かなかった。この方式における高架を作るインフラ整備に多額な費用を要し、果たして路線延長が行われるかどうか、なんとも言えない段階と理解した。

 運行の管理と安全管理は、小幡緑地駅の先に、運転司令室が行っている。一般車両から軌道走行への転換、専用軌道導入に対する走行間隔の指示、バスと駅を結ぶ連絡、バスの走行と駅舎の監視システムの注視、地震や風量監視を行い、その情報提供も行うことになっている。現状は万全に行われているが、人件費削減がどこまで進められるか、それの影響も出てこよう。