会派視察報告 日進市の「くるりんばす」のついて
(04/03/18)

 町田市議会自由民主党会派では、11月24‐6日間、愛知県下を視察した。そのうちの25日には、日進市の「くるりんバス」の視察をおこないました。

 町田市では、「まちっこ」バスを運行していますが、利用があまり芳しくありません。今回の視察では、多様なルートを設定し、住民に好評である愛知県日進市の「くるりんばす」の運用状況を、視察者全員が乗車体験することを踏まえて視察しました。

日進市について

地 勢
 日進市は、愛知県のほぼ中央部に位置し、場所的には名古屋市東部に接する。
 行政区域は東西8.9km、南北6.8kmで、面積は34.90qを有し、海抜37mの日進市役所を中心に、周囲を海抜50m〜160mの丘陵地を形成しており、やや町田市に似ている。
 また、市のほぼ中央部を天白川が東西に流れ、その流域の平地には農耕地が広がっています。(町田に比べると、住宅地比率が少ない)

人 口
 町制施行された昭和33年の人口は1万人余りだったが、宅地開発などにより人口が急激に増加し、平成7年国勢調査では6万人を超えている。現在でも市内各地で土地区画整理事業が進んでおり、人口は7万人を越す。(町田市の6分の1よりやや少ない人口)

「くるりんばす」の事業について

経 過

 市の南部に私鉄線が通り、3駅があるが、バス路線が名古屋・豊田市方面へのアクセスが主であった。そうした交通の不便さを減らす目的で.公共施設巡回バスの運行が徐々に拡大した。本格運行後も好評で、平成13年5月より、毎日運行・有料化でスタートした。

規模と運用状況
(1)市内を5ルートで回る。1ルート当たり1日に9便、1時間間隔で運行。
(2)公共公益施設を周回する。のり入れ施設では、市役所・市民会館・福祉センター・日進駅がある。他の施設では、施設直近にバス停をおくところ、施設周辺にバス停をおくところなどがある。
(3)運行は、車両・人員ともに全て私鉄に委託する。
(4)運賃は、1乗車100円。65歳以上、もしくは中学生以下は無料。身体障害者などとその介助者は無料。
(5)利用状況は、平成14年度で284,621人、359営業日、16,155便、平均17.62人乗車の実績がある。
(6)費用では、平成14年度で77,340,115円の負担金が生じている。同時に、運賃収入運は8,534,600円あり、委託運行バス会社の収入となっている。

所 感

日進市を視察した際に、「日進市市内循環バス検討委員会」が開催されており、この事業を推進する見地から、協議がかさねられているようである。

課題は、ルート(くるりんばすが、乗り入れていない地区の解消)の拡大、便数、運賃となるようである。多様な住民要望の集約がそこにかかっていると言える.

人口増と、バス運用

 日進市は人口規模において、町田市よりかなりすくないが、名古屋市と豊田市の中間に位置し、現在に至るも人口増が著しく、住宅地が市の周辺部を含めて市内全域に広がるため、マイカー利用が中心である。バスは、(収益性の高い)通勤者用に路線展開している。結果として、その他の住民の足が不便であり、それを解消することは市政の重要課題であった。
 他に、日進市では自治体が規模的に公共施設をいくつも作ることが出来ず、公共公益施設への交通手段を確保して、住民サービスの地域間格差を無くす公平性を求め選択がなされている。結果として、この「くるりんばす」の理解が高いものになっていると考える。

民間バスの路線撤退と代替機能

 費用の面では、朝の通勤時間帯にバスが走行すれば乗車が増えるが、それは私鉄バスとの競合になるという.すなわち、実施不可能な施策である。現実には、私鉄バスが路線撤退をしたエリアの生活路線を補充する意味と、それぞれの公共公益施設を有機的に接続した機能が好評の理由であろう。
 すなわち、5ルートあるバス路線のどれでもが、市役所・市民会館・福祉センター・日進駅をめぐると言う、基本的な考えがこの事業が好評を博している根拠となっている。
 あわせて、決して実際の需要が多いわけではないが、土・日曜・祭日も運行してことが、公共施設利用者にとっても、役だっていると考える。

公共施設の適正配置と公共バスの運行

 日進市の「くるりんばす」と、町田市の「まちっこ」(公共施設巡回ルート)の大きな違いは、前者の「くるりんばす」が住宅地と公共施設を結ぶ生活路線となっている点である。   
町田市の場合、広域の住民から見れば、その「まちっこ」を利用するにしても、町田駅に他の交通手段を使った上でこうした公共施設に出向く様になり、利用者の向上がないのであろう。例として、町田市では市民ホールもその対象に入っていないことがあげられる。更には、以下の施設で市街地中心部でないためか、体育館(総合、旭町の両方)、市民プール、総合運動場などが一切ルートに含まれないことも、需要が伸びない理由であるであろう。

住民の理解と将来構想

 いずれにしても、このような公共公益バスの運行には市税の負担が前提であり、その限界をどこに置くか、常に意識しておく必要がある。そのためには、運行の利用者数、市税の負担金額、利用者の負担金金額等が常に明かにされ、住民啓発の情報源とするべきである。

 町田市内には、今後も公共バスを求める地域要望が多いが、上記の日進市の例を参考として考えることは有益である。