一般質問「コールセンターについて」
質問日:2005年3月10日(インターン生 小滝 恵理さん作)

質問項目
@ 導入の計画
A コールセンターが行う業務範囲
B 委託対象の形態と特徴

資料目次
1. コールセンターとは
@.コールセンターとは
A.コールセンターの種類
B.コールセンターの形態
2. 自治体では
@.札幌市コールセンター「ちょっとおしえてコール」
A.横浜市コールセンター
3. 町田市では
@.スケジュール
A.業務範囲
B.民間委託
C.その他


1.コールセンターとは
@.コールセンターとは

 コールセンターとは、企業の中で、顧客への電話対応を専門に行なう部署のことである。特に、消費財メーカーや通信販売事業者などが設けている、一般消費者からの問い合わせ受付窓口となる大規模な電話応対センターのこと。従来は単純な注文の受け付けや苦情の対応が主な業務であったが、ナンバーディスプレイの本格化やCTI技術*1によるコンピュータと電話の連動、顧客データベースの整備などによって、CRM*2の要として戦略的な意義が高まっている。コールセンターの業務は、大きく分けて顧客からの電話を受ける「インバウンド*3」と、企業からセールスなどの電話をかける「アウトバウンド*4」の二つに分かれる。PBX*5やCTIサーバ機、オペレータ用端末などを持ち、FAX処理や音声応答装置による無人応答(IVR)などの機能を持つことも多い。電話対応だけではなく、その結果を元にしたデータベースの作成・メンテナンスなど、マーケティング戦略上からの関心も高まっている。なお、システムの構築にかかる負担が大きいこともあって、コールセンター業務を請け負う業者も存在する。
                          (「IT用語辞典e-Words」より)
[注釈]
*1 電話やFAXをコンピュータシステムに統合する技術。
*2 CRM:情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている。
*3 外から中へ入り込んでいくこと。企業のコールセンターなどでは、顧客からかかってくる電話に応対する業務などを「インバウンド業務」という。
*4 中から外に流れ出ていくこと。企業のコールセンターなどでは、見込み顧客に電話をかけて営業する業務などを「アウトバウンド業務」という。
*5 企業などで内線電話同士の接続や、加入者電話網やISDN回線などの公衆回線への接続を行なう機器。

A.コールセンターの種類
 コールセンターの種類について、「株式会社もしもしホットライン」の例をあげて、分野別に具体的にみてみると、以下のようなものがある。

[サービス]
ISPのコールセンター、ADSLのコールセンター、FTTHのコールセンター、アウトバウンドによるADSL加入促進、電力会社のお客様センター、自治体のコールセンターなど
[金融]
生命保険の資料受付センター、自動車保険の見積もり受付センター、自動車保険の事故受付センター、カード会社のコールセンター、クレジット会社の代理店サービス、アウトバウンドによる保険商品販売など
[通信]
長距離・長距離通信のコールセンター、携帯電話のコールセンター、携帯電話の故障受付センター、回線獲得のアウトバウンド、IP電話のヘルプデスクなど
[放送]
衛星放送のコールセンター、ケーブルテレビのコールセンター、放送事業者のコールセンター、テレビ番組の調査・分析、テレビ通販など
[製造]
AV・情報機器のコールセンター、PCのテクニカルサポートセンター、PCのメール対応センター、ゲーム機器のコールセンター、OA機器のコールセンターなど
[情報]
ソフトウェア製品のコールセンター、デジタルコンテンツのコールセンター、ゲームソフトのコールセンター、新聞社の世論調査、就職支援のコールセンターなど

さらに企業の提供による生活の悩み相談(育児相談や、小・中・高校生を対象とした悩み相談など)まであり、コールセンターの運用は多岐にわたっている。

B.コールセンターの形態
コールセンターの体系構築には多大な時間とコストがかかるため、エキスパートである外部企業に委託する企業・組織は少なくない。アウトソーシング(情報通信システムの設計・運用・保守を企業外の専門業者に全面的に委託すること)の形態も様々で、まずは大きく二つに分けられる。外部に委託する形態のアウトソーシングと、内部にコールセンターを設置するインハウスである。そしてこれらはさらに二つずつに分類できる。

[アウトソーシング]
@全面外部委託(アウトソーシング)
ある特定の業務遂行を全面的に委託業者に委託する。したがって、業務の指導命令、業務を行う場所、実際に業務を行う人員募集、採用並びにその研修等の業務をアウトソーシングすることにより、省力化が可能となる。
A一部外部委託(時間外、夜間、オーバーフロー)
業務内容が季節的・時間的な要因により、一定していない場合この形式をとる。これらの要員を自社で抱えることは非効率的であり、作業の平準化を図るために委託する場合が多く見られる。
[インハウス]
B要員の派遣契約(インハウス)
自社内で業務を行うので、セキュリティの問題はなく、また、自社で要員の手配を行った場合に比べ、労務管理等の諸作業の省力化が図れる。ただし、業務上の指揮命令および教育研修も自社負担となる。
C要員の出向契約(インハウス)
契約形態を出向契約にすることにより、派遣契約と同様、業務上の指揮命令及び教育研修は自社負担となる。また、労災についても、自社負担となる。


2.自治体では
@.札幌市コールセンター「ちょっとおしえてコール」
 札幌市は、「札幌市IT経営戦略」(2001年3月)の3本柱のひとつである『市民サービスの向上』の3つのビジョンを満たすサービスとしてコールセンターを位置づけ、中央区・豊平区・西区での先行実施(2003年1月から)の後、同年4月1日から全市域を対象としてサービスを始めた。2004年には、CRM協議会が選ぶ「2004年ベストプラクティス賞」を受賞した。先進的な企業が受賞するなか、行政からは唯一の受賞となった。

コールセンターは、市民からの問い合わせ窓口を一本化し、様々な制度や手続き、イベント情報、施設案内などに関する質問(電話、FAX、E-mail)に、データベース化されたQ&Aに基づき回答するというもの。札幌市は、コールセンターでの電話対応、電話回線、交換機、ブース設備の一切を、高い顧客対応能力と情報処理のノウハウを持つ、札幌市内に施設を有するコールセンター業者((株)もしもしホットライン)に業務委託している。オペレータは基本的に5名(うち1名は英語対応可能)で、オペレータの統括、Eメール・FAX対応などを行うスーパーバイザーが1名、リーダーが2名という体制で運用している(平成16年10月現在)。年中無休で、午前8時から午後9時まで対応しており、開設時間外にはテープによる案内を行っている。また24時間対応の電子申請がスタートした際には、コールセンターの24時間化が求められてくると市では見通しているという((株)ぎょうせい『ガバナンス』2003年7月号)。

回答範囲は、広報さっぽろ、市民便利帳及び札幌市ホームページに掲載されている内容で、このほか、よくある質問のうち簡易なもので、各部局がコールセンターで回答可能と判断したものについては、Q&Aを事前に準備することで対応ができるようになっている。苦情対応については、職員による高度な判断が求められるためコールセンターでの対応にはなじまないものとして、コールセンターで回答する範囲とはしていない。Q&Aのデータベースはホームページ上で「よくある質問検索サービス」として公開されており、市民が自分で調べることもできる。

また対応履歴は、市民の意見を収集し、統計資料をつくり施策づくりに活かすというかたちで活用している。その一方で、個人情報の保管や、ファイヤーウォールの設置、折返し連絡先の情報は1ヶ月経過時点で自動削除、折返し連絡先が記述されているテーブルの情報はエクスポートできない仕様でシステムを構築するなど、札幌市はセキュリティポリシーをホームページ上に公開している。

A.横浜市コールセンター
 横浜市コールセンターは、青葉区・旭区・港南区で平成16年3月15日よりモデル事業として実施されている。オペレーターは6名、スーパーバイザーが1名という体制である。年中無休で、午前8時から午後9時まで対応。平成17年2月には、対応人数等はモデル事業と同規模のまま、横浜市全域で展開。横浜市コールセンターは、横浜市の制度や手続き、イベント、施設に関する問い合わせなど、市政情報や生活情報について案内するものである。委託先は、札幌市コールセンターと同じく「(株)もしもしホットライン」である。

また横浜市は、膨大な問い合わせに迅速に対応するため、これとは別に「粗大ごみ受付センター」と「水道局インフォメーションセンター」の2つの専門コールセンターを設置している。

施策へのフィードバックについては、応答記録を活用してデータベース化して市民ニーズを把握し、職員のスキルアップ・業務改善にも活用できるよう具体的な施策への反映手段を構築する、としている。またコールセンターにかかってくる苦情・要望の取り扱いについては、関係局と調整して全市的な整合性を図る、とする。

3.町田市では
@.スケジュール
 平成18年開設。今年夏をめどにコンセプトを。

A.業務範囲
 問い合わせへの対応は当然として、苦情対応はするのか。市民の意見は収集して施策に反映させるのか。その際、個人情報のセキュリティ問題はどうするのかが課題となる。

B.民間委託
 委託形態:全面外部委託か?市の職員はどう関わっていくのか?
職員常駐?巡回?必要があるときだけ出向くのか?
監視、コントロールの問題がある。
 時間:札幌市、横浜市と同じように午前8時〜午後9時か?
いずれは24時間体制とするのか?
 場所:上記のように監視、コントロールの問題がある以上、最低でも何かあったときにとんでいける距離である必要があるのでは。
 セキュリティ:個人情報等、重要データの取り扱いは?
質問履歴のデータベース化はするのか?

C.その他
 市役所の職員が直接対応することが少なくなることで、市民との距離が広がらないかということが危惧される。

<参考資料>
・IT用語辞典e-Wordshttp://e-words.jp/
・(株)もしもしホットラインhttp://www.moshimoshi.co.jp/
・札幌市コールセンターhttp://www.city.sapporo.jp/callcenter/
・横浜市コールセンターhttp://www.yoppi.ne.jp/info/0409call.html
・横浜市提供資料
・自治体情報政策研究所http://www.jj-souko.com/elocalgov/contents/c155.html
(2005/03/01現在)
(順不同・敬称略)
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