● 地方自治法改正案の成立を祝す

◎要旨

 この原稿を書いているのは、平成12年5月17日です。今朝の新聞によると、地方自治法の一部改正が進められており、明日の18日には委員会で可決、本会議で成立の見込みとある。大変喜ばしいことです。

 私は、その情報を事前につかんでいた訳ではないので、その内容については関しては明かでない部分があります。しかし、地方議会と議員にとって、おそらく歓迎すべき事柄でしょう。

 改正内容では、@ 政務調査費(調査研究費)の支出を条例で決めることが出来るように改める。A 地方議会の意見書を国会宛にも出せるように改める。 B 常任委員会の数の制限を撤廃する、とあります。

 政務調査費(調査研究費)の支出の関係では、一部マスコミなどから、それの支出は議員への第二報酬であるなどと、議員活動を無視した無差別な批判があったことでした。また、意見書の提出では、国会宛とした文面であっても内閣に送付せざるを得ないなどの矛盾がありました。二つの課題に、国会がようやく重い腰を上げてくれたものと感謝致します。

 常任委員会の数も問題では、子細は別として、それぞれの自治体議会に応じた対応が出来るようになります。法律成立と施行日に合わせ、条例を整備して、より充実した議会を作って行かねばならないでしょう。ただし、人的・財政的に委員会数の増大は、すぐにというわけにはいかないかもしれないことです。

 


◎見出し

1 政務調査費の法的裏付け

2 地方議会意見書提出の国会提出が可能に

3 その他(常任委員会数の制限撤廃)

4 今後の展望




1 政務調査費の法的裏付け

 私たち地方議員に対する一般マスコミの印象は、議会で発言をしない・政治活動はやらずに挨拶まわりばかり・地方の視察は名所旧跡巡り、と批判の相場は決まっています。そんな議員に政務調査費(調査研究費)を支出するなど、盗人に追銭だという非常識な批判もあれます。議員サイドの立場で、その種の報道を100%間違いである、ウソであると言うと、これまた問題発言でしょう。

 私は、<そもそも地方議員とはどのように発言し、どのような行動をとっているか、出来るだけ克明に伝えるべきではないか>、といつも考えています。情報公開の考えから、自分の24時間の行動を全て撮影し、インターネットで動画発信する方法もあるでしょう。しかし、政治に携わっているものの立場として、政治的な意味のあることを判りやすく発信することに意義かあり、そのことを自分で意識するか、あるいは他者からその公開を求められるものを、きちんと情報発信することが必要であります。

 そのためには、議会で発言する(質問や質議、及び議員提案など)ための情報収集を行政任せにせず、議員が独自に調査活動を行うこと、そのための行動費用(いわゆる他都市などへの視察)、情報収集機器とそのソフトウェアー類の装備と、住民との情報交流手段(議会報告類の発行、アンケート類の収集)が欠かせません。私にとっては、その支給対象が現在の会派であれ、個人であれ同じことになります。(吉田つとむは、大会派の自由民主党会派に所属しています)

 私の場合は、上記の情報収集する活動のため、大半を政治資金(自己資金を自分の後援会に寄付をし、その資金で活動する)を使用する方法を採用しています。そうしたものが、自己資金でなく、議会の調査費として、法的な裏付けを持った「政務調査費−調査研究費」が法律で定められ、個々の自治体が条例で、交付の対象や額、方法を定めることになると言うのは歓迎すべき事柄です。

 この「政務調査費−調査研究費」が法律で裏付けられることは、大変ありがたいことです。一般マスコミは、現行の「政務調査費−調査研究費」の支出が、議員の第二報酬だという批判を繰り返してきました。しかし、その論法は、議員に全て自前のお金で資料収集しなさいと言うことになり、資金を持った人材しか必然的に地方政治に関与させない論理になります。あるいは、行政に対する独自判断を低める作用をなすことにつながりました。この法律が成立し、それぞれの自治体でこの法律に関する条例が制定されると、議員が行政に偏らず、健全な批判力を持った意識を生み出す行動の基盤が保証されてきます。

 問題点を事前に挙げれば、その使途の明白さが保証されることが必要です。公金支出の対象を、議員にも、住民にも判りやすくすることが、情報公開時代の議員活動の根幹です。まさに、議会と議員の自己開示の時代を迎えます。


2 地方議会意見書提出の国会提出が可能に

 続いて、地方議会の意見書の問題を取り上げます。恥ずかしい話が、私は地方議会が出す意見書は、その内容によって内閣に出したり、国会に出したりしている思っていました。議事録をしっかりとは読んでいなかったのです。市議会の議事録を読むと、国会宛に出したはずの意見書が内閣総理大臣宛になっています。しかし、当該法律の早期成立を求める意見書など、内閣に出してどんな意味があるのでしょうか。なんどか疑問に思ってきたところでした。やっぱり、そうなのかの思いです。

 平成10年12月、町田市議会は議長名で、「情報公開法の早期成立を求める意見書」を国に提出しました。意見書の提案者である、私は当然のこととして、政府から提案された「情報公開法案」を国会が早く成立させてほしい、と要望したものです。政府はすでにその法案を国会に提出しており、提出した法案を早期成立させてほしいと、政府に求めることは筋違いのものであります。現実には、今まで地方議会の意見書はそのように取り扱われてきました。

 私としては、今までのことはさておき、地方議会の意見書がどしどし国会に出されることと、そんな意見書など国会や内閣に出さずとも、地方議会で決定できることを増やしていくことの方が、大切だと考えています。

 
3 その他

 議会の常任委員会の上限数は、法律で定められています。その数は、人口などによりますが、町田市の場合は、6委員会が最大と定められています。実際に置かれている数は4常任委員会であり、上限よりも2委員会下げています。

 法律が変わることで、他の都市では常任委員会を増やす自治体が出てくるものと思われます。常任委員会を減らすと、議員にとっては所管する部門が少なくなり、審議内容を深めることがやりやすくなります。反面、担当所管が減り、一人当たりの議員が監視できる分野が減少することになります。また、委員会の開催などで、議会事務局の職務が増えることになります。

 時期的には、この種の課題の方向は、どちらに向かうか難しいところです。個人的な判断としては、委員会数を増やして、審議の中身を深くすることの方がよりよいと思っています。

4 今後の展望

 町田市議会の場合、調査研究費は月額相当で5万5千万円(年額66万円)と、同等都市に比べて極めて低額です。町田市では、この聞く額の範囲で視察などの費用をまかなうことになり、他の支出に使える範囲はおのずと制限されます。なお、都内の23区では月間で20万円以上の調査研究費を支給する自治体が数多く見られ、町田市のように低額の支給例は皆無です。

 議員は、しっかり働いてこそ存在価値があるものです。私は、マスコミから、この政務調査費(調査研究費)が議員の第二報酬呼ばわりされる時代から、きちんとした報道機関によって、個々の議員に対する<費用対効果>が問われる時代に移ってくるものと考えています。

 そのような時代に、自分がより相応しい議員であるよう、務めて参ります。

a21205173  <「地方自治法改正案の成立を祝す」の行は、ここで終わります。>

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