掲載原稿「政治家とインターネット時代」(第3回)

 第3回 住民との対話と、インターネットの活用


● インターネットの情報発信は、常識の時代

 ついにインターネット時代は佳境を迎えようとしている。それは、総理が所信表明演説で、「内閣のメルマガをつくりたい」と打ち上げる状況に至ったことからうかがえる。メールマガジンによる情報の発信はインターネットの愛好者にとって、すでにニュースには相当しないが、総理が言うと別である。内閣のメルマガがスタートすると、その後は、雨後の竹の子のように、政治家によるメールマガジンが出現するのは確実である。そのため、ホームページやメルマガを持たない政治家は、時代遅れの人物と見なされよう。 このように、政治家がホームページを持つ事、メルマガを発行することは常識となりつつある。しかし、ホームページやメルマガを持つだけでは、住民は相手にしない時代となることが必然である。なぜなら、IT化社会の住民意識は急速に進展しているからである。

● 住民との対話を確保する、双方向性の見地

 それでは、インターネット時代を一歩先に行く政治家の行動とは、どのようなものであろうか。それは、一方通行的な情報発信だけでなく、「住民との対話」の場も、インターネットの世界で導入することである。 IT化時代における住民との対話の場として、自分のHP内に掲示板を持つ方法が一般的に普及している。私が考える、住民との対話とは、政治家の情報提供に対して、住民が疑問を寄せ、その疑問に政治家が回答を出し、説明することである。こういった相互の意見のやりとりを積み重ねていくことこそが、政治の双方向性を体現することになるのである。

● ニュースソースとなるのが議員の役割

 住民との対話、双方向性の政治と言っても、せっかく掲示板を設置しても住民の書き込みがほとんど無い、と言う問題がある。加えて、今の時点では住民からの意見で、政治的課題に有効となり得る提案は多くない。つまり、政治家による一方通行の情報発信では、住民の意見の書き込みが見込めず、もちろん、政治課題に対しての提案で有効になり得るのは稀である。このことから、政治家にとって最も大切なのは、自治体の今日的な課題を丹念に伝え、その解決方法を具体的に明示することである。そうした政治家の提案を受けて、住民自身が自治体の問題に直接関心を持つことになる。故に、行政と議会の課題を最新情報として、自分の見解や意見をつけ、ホームページに次々と載せてゆくことが、政治家の重要な仕事の一つとなる。つまり、政治家自身が住民に対して政治課題のニュースソースとなり、その問題について、双方向に意見をぶつけ合う場を設けることが、これからの議員の役割である。

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