掲載原稿「政治家とインターネット時代」(第4回)

 第4回 行政を変える政治家のインターネット戦術
                                       町田市議会議員 
                                        吉田 つとむ


● インターネットと森内閣の遺産

 旧聞に属するが、森喜朗内閣はインターネットの世界と地方自治体に、歴史的な遺産を与えた。我が町田市も、その例外でない。なぜなら、「IT革命」という口実で地方自治体にパソコンを無料でばら撒いてくれたからである。その結果、ほとんど関心が無かった自治体職員でさえも、住民対応の一手段としてインターネットに取り組み、行政のIT化を進めていかざるを得なかった。一方住民側は、そのような経緯は知らず、パソコンの前に座っている職員なら、誰でもパソコンを操り、インターネットを駆使しているだろうという先入観を持つことになった。ゆえに、インターネットを活用できない職員は上司だけでなく、住民からも「能力が低い」と判断される時代となったのである。

● 行政職員は議員のHPの記事に注目する!

 行政職員は、議員のHPの記事に注目するようになってきた。なぜなら、インターネットの普及により、個々の職員の行動や対応が、住民から議員にメールで情報が届けられるようになり、加えて、議員ホームページの掲示板に、直に行政に対する意見が載せられることが起こりうるからだ。その情報が緊急のものであれば、その議員は、現場に直接出向くだろう。問題が大きいと思うと、議会で質問として取り上げることになる。そして議員自身が、自分のホームページで自己の見解を表明することになる。
ゆえに、職員にとって、議員のホームページを見ることは、住民と議員の動向を把握する為であり、職員としての上司に対する仕事でもあり、自分の能力を示す最良の機会であるといえる。
このことは、議員にとっても良い影響を与えている。なぜなら、議員のHPを閲覧した職員から、記事の問題点の指摘を受け、かつ、不当性についての訂正を求められることが考えられるからである。つまり、議員がインターネットによって行政を変えていくとともに、行政職員がその記事を注目することによって、議員のHPも成長していくのである。

● 議員の力は情報力の時代

 議員の持つ情報収集力は、インターネットにより飛躍的に強まりつつある。加えて、インターネットを通じて問題提起をし、住民の反応や意見を聞き、行動に反映させてゆけば、議員の情報力とともに、発言力も増してゆくことになるだろう。現に、自分のホームページを住民意見の交流の場としている議員の掲示板には、無数の意見が寄せられている。議員がローカルであればあるほど、真実の議論が交わされるのである。
 ゆえに、議員の力は情報力によって表され、このことにより、現代は、議員のインターネット戦術が、行政を動かす時代となったことを告げている。

<紹介>
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