掲載原稿「政治家とインターネット時代」(第5回)

 第5回 インターネットと政治家の選挙戦略
                                       町田市議会議員 
                                        吉田 つとむ

● 内閣の強力な武器となった、小泉内閣メルマガ

 小泉内閣のメルマガの読者は、開設1ヶ月余りで200万人を超えた。その記事のレベルや仕掛け方法の賛否は別として、現実政治家と国民が直につながるパワーを有していることは確実である。なぜなら、マスコミを介在させずとも、直接、国民に対して広報PRが実施できるからである。加藤紘一元自民党幹事長、白川勝彦元自治大臣が、政治家インターネットの開花時代を乗り越えられず夢破れたが、小泉メルマガは、一般国民を政治に目を向けさせる強力な武器として浸透したのである。そうした意味で、政治家のメルマガは、低コストで後援者を組織できる強力な武器となると推測する。


● 公選法の壁と政治家の行動

 選挙中にホームページを更新することは、不許可の文書配布行為とみなされ、選挙違反とされてきた。それをクリアーできると証明したのは、民主党の島 聡代議士である。彼は、国会質問で、政治家HPを選挙中に更新しても「画像の無い記事更新は、図書類の掲示にあたらない」との答弁引き出した。同代議士は、その答弁を利用し、自分の選挙戦で、音声による選挙演説を発信する、画像の無いホームページを作成した。つまり、公選法の制限を実質的に突破したのである。しかし、まもなく、ネット時代に合わせ、そうしたインターネットを利用する選挙戦の制限は、いずれ解除されていくに違いない。


● 地方自治体議員選挙は、戦わずして勝つべし

 翻って見ると、地方自治体議員の選挙では、いわゆる風によって当落が決定する要素が少ない。つまり「選挙戦に入った時には、実質的に当落結果が出ている」という意味である。となれば、孫子風の表現で言うと、「選挙戦を戦わずして勝つ」ことが、政治家の理想であろう。「この候補者には、勝てない」と、相手に思わせることが最良の戦略である。それを可能とさせるのが、インターネットによる選挙戦術と言えるだろう。


● インターネットは、新しい地盤を開拓する

 以上のように考えると、政治家が自分の活動を、インターネット上で有権者にはもちろん、ライバルの政治家にも知らしめることが重要である。では、インターネットを使った効果的な選挙戦術とは、どのようなものであろうか。その答えとして、情報を進んで開示することが大切である。つまり、政治家自身が、自分の政治的立場を明快に主張し、さらに、先進的な政策課題を問題として取り上げる。また、日ごろから住民の相談に乗り、その結果、大変頼りにされる。このようなことを率先して情報発信することが、効果的な選挙戦術である。
インターネットを使いこなす政治家は、こうした日ごろからの実績で、その政治家の幅広さを感じさせ、新しい「地盤」をネットの世界に開拓するのである。ゆえに、インターネットによる選挙戦術は、政治家にとって強力な武器となる!


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