政治家ネットTVの可能性 その2

 政治家HPで「ムービー」を使用する例がでてきたことや、議会中継がインターネットを使って行われることが普及していることで、これからの政治家はどのように対応していくべきでしょうか。また住民の皆さんは、そうした事態に対して、どのように望んでいるのでしょうか。
 自分の取っても重要な課題ですので、そのことに着目していきたいと思います。

 さて、町田市議会では、議会運営委員会がその導入をきめ、行政の来年度の当初予算に盛り込むことを求めました。このことは、何度か述べてきましたので、今日は、これを別の角度から観ることと、政治家HPの中で、「映像」をどのように取り扱っていけばよいのかを、基礎的なレベルで検討していきたいと思います。

<どのような映像が、まず考えられるか>

 政治家にとって、皆さんに知ってもらいたいこと、観てもらいたいこと、これを自分のHPに記録するわけですので、単純なものを列挙すると、次のものが挙げられます。

1 自分の議会発言(一般質問、本会議質疑、討論、委員長報告など)
2 選挙運動の公約・決意表明
3 自己紹介記録ビデオ

 1の場合は、発言ごとに新データが出るわけですが、2と3では、選挙ごとといっても4年に1度のことであり、3の場合は状況で更新する事柄はあるでしょうが、早々にデータ更新をしても、視聴者にとって果たしてどこまでの魅力があるか、それほどの期待は持てません。(自分のファン以外の人を想定しての記述)しかし、上記のものは、「必須アイテム」の範囲と考えていきたいと思いますし、「自分の議会発言」は、議会の公式記録として残すことがこれからの情報化時代の考え方です。そうした意味では、自分の議会発言の全部を自分のHPに盛り込むことの意味は、少ないと思っています。やるとすれば、それのさわりの部分を記録することや、その発言の前後関係を明らかにし、背景説明をつけたものは記録として大変重要でしょう。

 この他の映像では、「各種の挨拶記録」、「コメント記録」、「取材記録」などが、今後の政治家HP「ムービー」で主要なテーマと考えます。他に、後援会活動・行事記録が、大きく普及が見込める分野ですが、ここではあくまで政治家自身の活動記録に限った分野で話していきたいと思います。

<主要な政治家HP「ムービー」の課題>

 「各種の挨拶記録」、「コメント記録」、「取材記録」と列挙しましたが、こうしたものは、極一般的な政治家に必要なアイテムとして、想定されるものです。

 全国的に有名な政治家の場合、こうしたことはしなくとも、メディアのほうで膨大な情報を垂れ流ししてくれるでしょう。しかし、大半の政治家の場合は、そうではありません。メディアのメガネにかなうのは、ごくごく少数の政治家に過ぎません。都市部が議席を持つ議員であれば、そのことは自明のことです。メディアに注目されるには、都市部では、自分でスキャンダルや裁判・監査請求を起こすこと以外には、ほとんどありません。

 ここでは、あくまで自己責任で自分の主張や行動を明らかにしたい、メディアと言うフィルターを通さずに自分の考えをオープンにするべきだという、意見に関心がある人が前提の話しです。都市部の住民は、意識において脱組織化する傾向は自明です。各種の地方選挙において、従来型の地盤が通用しなくなり、議員個人が奮起することが要請されるようになりました。そうした議員本人の活動を住民に見せないで高得点を維持する議員は、都市部では一層減少することでしょう。あるいは、立候補すら困難になっていく様相です。平成14年の町田市議選の選挙結果は、そうした側面を顕著にしめしました。

 さて、話を「ムービー」に戻します。

「コメント記録」
 「各種の挨拶記録」、「コメント記録」、「取材記録」が、今後の政治家HP「ムービー」で主要なテーマと書きましたが、これらの中で最も簡単に作成できるものは、「コメント記録」です。自宅や事務所で、自分が喋ったことを録画し、それにタイトルをつけて、HP上にアップロードすれば完了する作業です。もちろん、それを行うには、作成ソフトが必要であり、相当量のHPサーバーも必要です。もとより、作業がしやすいパソコンも必要です。こうしたことを考えると、結構面倒な作業が含まれるようですが、HPで日記を書いている人多いのですが、それを「映像」で行うと思えばよいわけです。よとより、私が実行しているわけではなく、むしろ人があまりやっていないことをするのが、これからの政治家のありようだと思っています。

 そうした手法をもいちれば、タイムリーに発言が出来ますし、「記録時間もさほど長くなくても良い」と言う特徴があります。また、放映期間としては、週に1回も実行し、全部をバックナンバーに保存すれば、1年後には50回ほどの記録になります。

 「各種の挨拶記録」
 政治家は、各種の会合に出席する機会が、たびたびあります。また、その会合も、政治・経済・文化・スポーツ・業界などなどと様々の分野があり、そこでも挨拶は、時候的なもの、お祝い・お悔やみから始まり、時事的なことがら、政治の内幕、自分の手柄話などなど、多岐に分かれます。そうした挨拶を、そこに居合わせない人にも伝えたいとするのは、これまた政治家の本旨に相当することです。

 「挨拶」の本論を切り出して、その記録を掲載しつけることは、ある人たちから見ると大きな関心を呼び起こすでしょう。地方議員の場合、月に1度くらいは挨拶の機会があり、その挨拶時に自分のことをデジタルビデオカメラに素早く集録することは、一人ででも可能なことです。その撮影したビデオに、タイトルをつけ、HPにアップロードしてあげれば、それで挨拶記録として完了です。これをコンスタントにやれば、HPに見出しを付して、自分の挨拶記録を内容ごとや、発言時代順にまとめれば、有権者に観てもらう十分価値があるものとなるでしょう。

「取材記録」

 上記の物以外で、私がもっとも重要で効果があると思うものは、「取材記録」です。議員は、委員会や会派で視察に出かけますので、現地の視察先で自分が質問をし、施設や施策にそうした記録を映像に収めれば、一つの「取材記録」になります。平成8-9年には、私は8ミリビデオで盛んに「視察記録」、取材記録を撮影した時期があります。会派の視察記録では、タイトルや若干の説明文を入れ、VHSテープに収めたものを、会派視察報告書に添付しました。議会には、今でも保存されていると思います。
 個人としては、阪神大震災に関して、その記録を当事者のコメントを入れ、映像に残しました。編集する時間や技術が無いため、人に観てもらう形にはなっていません。
 撮影する前に、その作成する記録のシナリオを書いて、その流れにそって撮影したものでないと、後で全部を編集するとなると、これは大作業jになって、とても「取材記録」にはなりません。誰かが、作品に仕上げる人がいたにしても、自分が目をとさずには納得がいく記録にはなりえないでしょう。

 ですが、パソコンを持ちいて、編集自体は容易にできるように変化してきています。これまで、困難と見られてきた仕上げ工程が、たいした作業にならず、むしろ「コンセプト」が主要課題だと受け取められる時代にあっては、再度、このデジタルカメラを引っさげて、視察に出向くのが政治家にとって、必要な時代となってくるのではないでしょうか。

 「百聞は意見にしかず」に相当する、ビデオによる議員取材記録に取り組む必要性を感じてきました。とは言ったものの、自分が、その時間までどのように捻出するか、まだまだ思い浮かべません。しかし、全国のどこか、「コンセプト」優先のHP「ムービー」に取り組んでいる政治家が、これから誕生してくるでしょう。政治家HPの有り方として、閲覧者に興味を持たせる、話題になる「ムービー」をいち早く立ち上げた議員は、有権者からも「有能な政治家」として、評判を得るだろう。 (続く)