議会における議員の自由討議について( 宮沢昭夫氏に答えて)

 私のHP掲示板に、 「開かれた議会をめざして」かつどうされている、宮沢昭夫さん(栃木県矢板市議」から、議会における議員の自由討議に関して、意見を求められていました。宮沢昭夫議員が、朝日新聞に投稿された記jに関して、私の意見を求められたものに回答したものを、以下に私の意見に納めました。
 記事は数回に分割して、議論掲示板に記載しましたが、最終的に4回の記事で終わりとしました。連載で書いた関係で、記事が重複した部分もありますが、あえてその際は原文の主旨を生かしました。元記事のアップした日は下記のとおりです。

★ - 宮沢 昭夫氏に答えて(1) - 吉田 つとむ 05/02-20:51 No.539
   宮沢 昭夫氏に答えて(2) - 吉田 つとむ 05/07-09:09 No.553
   宮沢 昭夫氏に答えて(3) - 吉田 つとむ 05/07-20:41 No.555
   宮沢 昭夫氏に答えて(終) - 吉田 つとむ 05/08-23:18 No.559

1 宮沢 昭夫氏に答えて(1)  開(開かれた議会を目指して)

 こんにちは 宮沢昭夫 様 
 ご案内の<朝日新聞「私の視点」14,4,14,投稿>につきまして、こちらの「議論掲示板」で意見を申し述べさせていただきます。

 まず、宮沢様が提起されているのは、開かれた議会を目指すべく、「会議の公開、特に委員会の公開」について、どうあるべきかの問題であります。
 宮沢様のご指摘を踏まえて、町田市の例で申し上げます。
 会議の公開で言いますと、町田市は、全ての常任委員会、議会運営委員会、法外委員会、あるいは各種の特別委員会(今は、設置していないが、昨年度までは、3つの特別委員会が設置されていた)の会議が公開です。

 昨年より、私達の会派が提案して、次のことを実施しています。
 本会議・委員会の開催にあたっては、議員が配布される資料を、一定数野範囲で傍聴者用に配置する。(他の自治体議会の状況を知って、町田市でも導入を提案したものです)
 会議議事録は、もとより全文公開されていますが、その会議録のインターネット化を導入しました。一部の議会では、委員会議事録を公開していない例を聞きましたが、町田市ではそうしたものを公開するのは当然とし、さらにネット上でも公開することにした次第です。この時は、導入時期で、早期導入派と慎重派が争いました。われわれ自民党会派は、ネット議員が多く、早期導入に論陣を張りました。(昨年の9月議会分より、開始した。ただし、まだ議会運営委員会の議事録は要点筆記であり、そのためか、ネット上に出ていません。**ネットで議会運営議事録を公開している議会もあります)
 議会のTV公開については、町田市は同等規模の都市でもっとも遅れており、委員会だけでなく、本会議の中継すら行われていません。以前に、先進市である富山県魚津市議会の「本会議のインターネット中継」を視察に行きましたが、町田市議会ではその関心の程度がまだまだでした。(ブロードバンドの話しが、まだ十分に見えていない時でした)

 こうした議会の公開を推進する施策は、開かれた議会を目指す観点で行われるものですが、一方で議会の活性化にもつながるものを持っています。つまり、議会が住民監視の中にあるということでしょう。

 これからは議会における会議の公開は前提として、委員会での発言制限の自由化が、大きな課題になってくるでしょうか?
 町田市においては、従来より委員会での議員の質疑回数には制限がありません。当然のこととして、委員会では一問一答質疑を行う例もたびたび起きていますし、核心に迫った質疑内容である場合は、当然のこととして受け入れられてきています。

 最後に、議員の会議における自由討論に関してです。
 今、その任にある議会運営委員会の場合は、当然のこととして自由討論がありえます。
 これも町田市で昨年度に導入したことですが、委員会の視察に際して、その委員の一人ひとりが、個人の視察報告書を提出することを決めました。(従来は、視察した内容に関する議員の所感を書き記していなかったため、その改善を提起した結果、ようやく実現したもの)その導入に際しては、議会事務局に質疑で聞くだけでなく、当然のこととして、導入の是非とそのやリ方をめぐって、議員間の相互やり取りが行われました。当時の「議会改革特別委員会」で導入決定をしたものですが、その文書形式を決める「議会運営委員会」の審議段階で、一からその導入の是非が論じられることになりました。消耗な議論の積み重ねではありましたが、翻ってみると、そのこと自体が、自由討議に類するものと考えています。

 こうした事例を、一般の議案や住民請願の審査で行うにはどのような課題があるのでしょうか? 迎合主義の議会にならないか!多数の横暴が専行しないか!自分自身が最大会派に所属する議員として、こうした疑問を払拭できる方策を考えたいと思います。

 付け加えておきますが、私自身はもとより「漸進主義者」です。「大胆な改革より、小さな改良を積み重ねること」を良しとしています。
 今日は、少し疲れましたので、残りの議論は次回ということで、・・・・。


2 宮沢 昭夫氏に答えて(2) (議員提出の条例修正案が両案激突)

 こんにちは 宮沢昭夫 様 
前回に続いた話を行いますが、持論の展開より具体例をもって、とりあえずの回答(2)とさせていただきます。

 では、議会の自由討論はどのように進展されるのでしょうか。もちろん、全国数多くの自治体の中には、「議員の自由討論」か、もしくはそれに比べ得る議論を行っていることも考えられます。私が指摘するまでも無く、地方自治体議会は、地方自治体住民のために活動しているのであり、なにもそのことを外部に宣伝することや、マスメディアに登場することを目標にしていない例も数多くあることでしょう。

 ここでは、直接の例ではありませんが、自分の係わりある限りでいうと、町田市議会では、市計画税の税率改正問題で、議員提出議案が2案出たことことの経過とその内容をご紹介いたします。

 今から3年前(平成11年9月議会)になりますが、私が総務常任委員長を務めている時でした。「町田市税条例の一部を改正する条例」として、我々自民党(当時の会派名)は、都市計画税の税率を現行より引き下げて、0.25%とする案を提示しました。公明党案はその税率を0.235%とする案でした。

 当時の両会派は、何かにつけてあい対立していましたが、この都市計画税の税率改正問題で激突しました。自民党はその引き下げを主張し、共産党が同調しました。公明党案には、その他の会派が同調し、議会勢力は真っ二つとなりまいた。本会議質疑と委員会審査では、両提案者に対して詳細な質疑が集中しました。この際は、当然提案者が議員ですので、それぞれの会派代表がそれぞれの条例案の提案者となり、総務常任委員で一括した審査を行い、質疑を受けました。

 極めて、白熱した論戦でした。自民党案は会派代表の熊沢洋議員が提案説明し、公明党案は同会派代表の佐藤常雄議員が提案説明しました。その主旨としては、私自身が自民党会派所属でしたので、熊沢議員の提案を「良し」とする考えでしたが、その議論自体では、熊沢・佐藤の両者がいずれも甲乙つけがたい論戦を張りました。町田市議会の議論においては、もっともハイレベルの議論を両者が行ったと考えてます。

 その議論方法のスタイル自体は、提案者と質疑者がいる通常の方法でありましたが、両者の意見が異なる(対立する)議員提出議による条例案の審査は、議員主導の議会運営にもっとも相応しい内容であったと思います。(続く)

(注記)この議論自体は、次期までも持ち越して両者相打ちとなり、この平均をとった「ミニ減税」の議案を行政提案として行う自体になりました。自民党はとにかく減税を実施できた。公明党は1票差のマイナスをカバーして、自民党+共産党による「減税」を食い止めることが出来た。それぞれに評価したものでした。


3 宮沢 昭夫氏に答えて(3) (洲本市の委員会審査の最後は議員のみ)

 こんにちは 宮沢昭夫 様 
 今日は、また新しい内容で、兵庫県洲本市議会の委員会審査光景を説明し、第3回目の回答とさせていただきます。

 兵庫県洲本市議会の委員会では、条例に関する質疑応答を行ったあと、理事者を含めた行政職員をはずした形で議論をしています。
 一昨年、私が、友人の洲本市議会議員を尋ねて行った際、ある「常任委員会」が開催中でした。そこでは新規条例案の委員会審査をやっており、市長がその条例案の相対的な説明を行い、役職の人が細かいところを説明していました。(もっとも、市長がそうした説明を行うのが慣習なのか、その市長の積極姿勢がそうさせているのか不明でした)
 その質疑・応答が終わり、私は「ここで討論かな」、と思ったところでした。しかし、委員長は行政側の人員に退場を求め、委員会室は議員と議会事務局員のみになりました。(私は、傍聴者として、この議会の光景に興味を持ちました。町田市では議案ごとに委員会の採決を行い、行政担当者は委員会の「散会」直前まで同席しています)
 その後の審議では、議員のみの自由討議になり、その条例に意見をつける意見文の審議ような話が進みました。そうして、(「討論」が行われたか、そうでなかったかの記憶は無い)採決があり、全員賛成の結果になりました。
 うちの議会では、意見書をつけるのに、あれほどの時間がかかることはまず無かったと思います。なぜなら、「意見書」をつけても極短い文がほとんどです。この洲本市では、詳細な意見(注文)をつけて、賛成としているのでしょう。
 なお、議事録の作成には、速記者が入っておらず、担当の職員の人が、要点速記で頑張っていました。

 以上、私が洲本市議会の委員会で見た光景は、議員の実質的な自由討議ではないでしょうか。
(続く)


4 宮沢 昭夫氏に答えて(終) (自由討議の出発点)

 宮沢 昭夫さん こんばんは 
 いろいろ書いてきましたが、今回はその最後の記事としたいと思います。

 では、議会の自由討論はどのように進展されるのでしょうか。もちろん、全国数多くの自治体の中には、「議員の自由討論」か、もしくはそれに比べ得る議論を行っていることも考えられます。私が指摘するまでも無く、地方自治体議会は、地方自治体住民のために活動しているのであり、なにもそのことを外部に宣伝することや、マスメディアに登場することを目標にしていない例も数多くあることでしょう。

 自分の係わりある限りでいうと、町田市議会では、市計画税の税率改正問題で、議員提出議案が2案出たことがあります。

 今から3年前(平成11年9月議会)になりますが、私が総務常任委員長を務めている時でした。「町田市税条例の一部を改正する条例」として、我々自民党(当時の会派名)は、都市計画税の税率を現行より引き下げて、0.25%とする案を提示しました。公明党案はその税率を0.235%とする案でした。当時の両会派は、何かにつけてあい対立していましたが、この都市計画税の税率改正問題で激突しました。自民党はその引き下げを主張し、共産党が同調しました。公明党案には、その他の会派が同調し、議会勢力は真っ二つとなりまいた。本会議質疑と委員会審査では、両提案者に対して詳細な質疑が集中しました。この際は、当然提案者が議員ですので、それぞれの会派代表がそれぞれの条例案の提案者となり、総務常任委員で一括した審査を行い、質疑を受けました。

 極めて、白熱した論戦でした。自民党案は熊沢洋議員が提案説明し、公明党案は佐藤常雄議員が提案説明しました。その主旨としては、私自身が自民党所属でしたので、熊沢議員の提案を「良し」とする考えでしたが、その議論自体は、熊沢・佐藤の両者がいずれも甲乙つけがたい論戦を張りました。町田市議会の議論においては、もっともハイレベルの議論を両者が行ったと考えます。
 その議論方法のスタイル自体は、提案者と質疑者がいる通常の方法でありましたが、両者の意見が異なる(対立する)議員提出議による条例案の審査は、議員主導の議会運営にもっとも相応しい内容であったとおもいます。

(注記)この議論自体は、次期までも持ち越して両者相打ちとなり、この平均をとった「ミニ減税」の議案を行政提案として行う自体になりました。自民党はとにかく減税を実施できた。公明党は1票差のマイナスをカバーして、自民党+共産党による「減税」を食い止めることが出来た。それぞれに評価したものでした。

 議員が行政職員に質疑をして条例案の中身を尋ねる方法から、議員が自由に討議をして、条例案を煮詰めていこう、というのがこれからの議会の筋道である。わたしもできればそうあってほしいと考えています。

 では、現実にそうした事態をどうのように作り始めるか、どこから手をつけるか、考えてみたいと思います。地方議会では、いたるところの自治体議会で議員による「条例作り」が目標にされています。しかし、結論を先に言いますと、議員提案の条例案作りの面子のためにそれを行ったり、効果の程が知れないような内容の条例案作りでは、これまた、その意義が問われると言うものです。やはり、住民生活に直結した内容の条例案を作り上げないと、本来の意味がないといえましょう。

 そうした意味では、我々が手がけるのは、現状にそぐわなくなった「条例を改正する条例案」や、「条例(の一部)を廃止する条例案」を作成すると言うのが、より現実的ではないでしょうか。特に、住民と行政との関係で、住民要望が条例の存在を持って、退けられるような事例が適当だと思います。
そういう考えが脳裏にあって、市議会議員同士が提案しあった、町田市の「都市計画税の税率改正案」の攻防戦を、前回までの記事でご紹介しました。このケースは、私が議員2期目の前半の時で、先輩議員が行う議会の論戦の中で、もっとも白熱したものでした。

 その次に上げたいのが、議員自身に関わる条例案の作成問題です。町田市議会の場合、お手盛りになってはいけないと言う理由で、会派に支給する政務調査費に関する条例案を、最後は市長部局に任せました。今翻ってみると、こうした条例案は、その作成過程を住民に十分に情報開示して、議員自身が作り上げると言う方法が良かったのではないか、そのようにも考えます。
 取り合えず、これをもって今回の回答と致します。

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